エピソード124 持ち運びと保管に注意が必要な品
『花とザスキアは、この後に図書館に行くんだな?』
『はい。希望さん。ザスキア女史が購入されました、根元魔法が付与されています香水の瓶について、図書館で調べようと思います』
古物市を一緒に見て回りまして、会場の出入口まで戻って来たナディーネさんは、灰白色の髪の毛を揺らされながら私に対して御頷きになられますと。
『アタシは一度貴族街にある、親父の上屋敷に寄ってから、学生寮に帰る事にする』
ナディーネさんによる話を聞いた私は、刃物に血糊が付着しない根元魔法が付与されています、皮剥ナイフを入れてある紙袋に、瑠璃之青の瞳の視線を向けまして。
『帝都魔法学園の学生寮の女子寮に、皮剥ナイフを持ち込む訳にはいきませんから、御父君であらせられます男爵閣下の上屋敷に預けに行くのは解りますけれど。検問所で衛兵の方に職務質問をされませんか?』
コクッコクッコクッ。
私の疑問を聞いたザスキア女史も、繰り返し首を縦に振り同意を示されましたが。男爵閣下の御息女であらせられます令嬢のナディーネさんは、軽く肩を竦められまして。
『検問所の衛兵に万ヶ一何かを言われたら、皇帝陛下の宮城で宮仕えをしている官吏でもある下級貴族の親父と、軍務省で勤務をする将官でもある准将の軍階級の爺さんに、アタシが本当に男爵家の令嬢なのか、確認を取れと言うだけだからな』
{平民身分の衛兵からすれば、下手をすれば物理的に首が跳びかねない危険を冒してまで、腕輪の主を検問所で足止めする可能性は極めて低いと思われますな。我が主}
誰でも我が身が可愛いですから、余計な厄介事に首を突っ込まないのも、封建制度を政治体制に採用している帝国で生き抜く為の立派な処世術であると。地方部出身の平民身分の村娘に過ぎない私は思います。髪飾り。
『私も一緒に行くね。ナディーネ♪』
ナディーネさんの大切な幼馴染みでもある恵さんが、笑顔にて同行を申し出られますと。
『お袋に頼んで、ハンナの分の夕飯も出してもらう事にするさ♪』
『ひっどーいっ。まるでご飯目当てに私が付いて行くみたいじゃないっ!』
『違うのか?』
『うっ。まあ、少しは期待していたかも?』
《腕輪の主とハンナ女史は、本当に仲睦まじい幼馴染み同士ですな。我が主》
少し呆れているようですね?。髪飾り。
『じゃあな。フロリアーヌにザスキア』
『気を付けてね。フロリアーヌにザスキア♪』
『はい。ナディーネさんとハンナさんもお気を付けて』
「あ、有難う御座います。ナディーネ女史にハンナ女史」