エピソード120 読書時の集中力
「パラッ」
ふむ?。
「パラッ」
成る程。
「パラッ」
ほう。
「あ、あの、花女史…」
「パラッ」
これは興味深い記述ですね。
「そ、その。あまり長時間立ち読みするのは…」
「パラッ」
{我が主…}
少し黙っていて下さい髪飾り。非常に興味深い記述がされている本なのですから。
「パラッ」
成る程。こうした見解もあるのですね
「……………」{……………}
『フロリアーヌ。図書館の本じゃ無ぇんだから、全部読む気なら買えよ』
うん?。
『希望さんも、古物市に来られていましたか』
読んでいた本から視線を上げまして、声がした方向に瑠璃之青の瞳の眼差しを向けますと。男爵閣下の御息女であらせられます、灰白色の髪の毛と藍色の瞳をされていられます、長身のナディーネさんが呆れたような表情で私を見ていられました。
『本好きのフロリアーヌは、読書している時の集中力が凄いよね』
ナディーネさんとは幼馴染みの関係にある、私と同じ平民身分な、赤茶色の髪の毛を短いツインテールの髪型にされています恵さんが、薄茶色の瞳による視線を私に向けながら苦笑されていました。
『ザスキアが泣き出しそうな顔をしてんぞ』
ナディーネさんに指摘をされまして、古物市にザスキア女史と一緒に来ていたのを思い出しまして。
『申し訳ありませんでしたザスキア女史。私は一度読書を始めて本の世界に入り込みますと、周囲が見えなくなる悪癖があります。心底よりの御詫びを申し上げます』
我に返り古物市で長時間の立ち読みをしている間に待たせてしまいましたザスキア女史に対して、伸ばしている金髪を揺らしながら深々と頭を下げて心底よりの謝罪を行いますと。
「い、いえ。とんでもないです。フロリアーヌ女史は本当に読書が御好きなのだと知れて、嬉しく思います」
髪飾りも申し訳ありませんでした。私は大好きな読書を邪魔されるのは、許容が出来ない心の狭い人間です。
{御気になさらずに我が主。女魔法使いとして、優れた集中力は非常に有用ですからな♪}
ザスキア女史と髪飾りへの謝罪を済ませますと、ナディーネさんとハンナさんの幼馴染み同士に、瑠璃之青の瞳の視線を向けまして。
『私は学生食堂でザスキア女史に古物市に誘って頂きましたけれど、御二方は何か欲しい品があり探しに来られたのですか?』
私の問いに対してナディーネさんは、軽く首を振られますと。
『いや、特に何か欲しい品がある訳じゃ無ぇな』
『ナディーネと一緒に掘り出し物が見付かれば良いって感じで、二人で来たんだ。フロリアーヌ♪』
{腕輪の主とハンナ女史は、本当に仲の良い幼馴染み同士ですな。我が主}
その通りですね髪飾り。ナディーネさんは私から見ましても、ハンナさんに対して大切な幼馴染み以上の感情を抱いているように感じる事もありますけれど。