表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/448

エピソード118 立志伝中の御方の御嫡男様

『カール卿が、ツヴィングリ男爵バローン閣下の御嫡男様であったとは驚きました』


ザスキア女史の弟である兵士ギュンター卿に、幼年学校カデッテン・アンシュタルトの同期生であるカール卿の紹介をして頂きましたが。


『父上をご存知ですなのですか?。フロリアーヌ女史』


飲食店ガスト・シュテットの四人掛けの席で私の隣に腰掛けていられます、帝国では平民身分に数多く見られる黒髪シュヴァルツをされていられますカール卿による問いに対しまして。


『直接御会いする栄誉を得た事はありませんけれど、帝国軍で三十年間勤め上げられました、退役軍人である祖父から聞いた事があります』


私による説明を聞いた、向かい側の席に座られていますギュンター卿が、得心された表情にて頷かれまして。


『異国のシュヴァイツ共和国のゾロトゥルン州から、単身にて帝国に移住をされまして。最初は傭兵ゼルドナーとして活躍なされましてから、最終的には皇帝陛下から爵位を叙爵じょしゃくされたツヴィングリ男爵バローン閣下の事は。幼年学校カデッテン・アンシュタルトでも、半ば伝説となっています。フロリアーヌ女史』


ギュンター卿の仰られる通りです。封建制度を政治体制に採用している帝国で、異国から移住なされて来られまして、最終的には皇帝陛下から爵位を叙爵じょしゃくされたツヴィングリ男爵バローン閣下の事は。基本的には現役の帝国軍時代の事は話されない祖父でさえ、憧憬どうけいの念を込めて話されていられました。


『退役軍人の祖父を家長とする農家で生まれ育った、地方部出身の平民身分の村娘の私からすれば。カール卿の御父君であらせられますツヴィングリ男爵バローン閣下は、人生における模範となる御方です』


嘘偽りの無い本心からの私の話を聞かれましたカール卿は、嬉しそうに満面の笑みを見せられまして。


『父上の事をそのように想って頂けて、子息として誇らしく思います。フロリアーヌ女史♪』


{生ける伝説とも呼べる立志伝中の御方の御嫡男様でありながら、カール卿は礼節をわきまえられた物腰の柔らかい貴公子ですな。我が主}


その通りですね髪飾ハール・シュムックり。親元を離れて帝都にある幼年学校カデッテン・アンシュタルトにて寄宿生活を送られている点から考えましても、幼い頃から御父君であらせられますツヴィングリ男爵バローン閣下からは、跡継ぎの御嫡男様として非常に厳しくしつけられて成長されたのだと思われます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ