エピソード116 会話内容から推量する立場
『勘違いから騒ぎ立てまして、ご迷惑をお掛けしたのを心底よりお詫び申し上げます。花女史』
『御気になさらずに兵士卿。誤解が解けて何よりです』
ザスキア女史の弟であるギュンター卿の誤解を解いた私は、飲食店の四人掛けの席で隣に座られていますカール卿に対して、瑠璃之青の瞳の視線を向けまして。
『こちらの飲食店に案内をして頂きまして、改めて心底よりの御礼を申し上げますカール卿。あのまま古物市で帝国之住民の皆さんによる好奇の視線に晒され続けていましたら、冷静に誤解を解くのは難しかったと思われます』
私による嘘偽りの無い感謝の言葉を聞かれました、幼年学校の制服を着ていられます黒髪のカール卿は、柔和な笑みを御浮かべになられまして。
『お役に立てて幸いです。フロリアーヌ女史♪』
やはり止事無い身分であらせられる、貴族諸侯の家門の生まれの御方でしょうか?。カール卿は非常に物腰の柔らかい、処世術に長けた殿方であると感じます。
{もし止事無い身分であらせられる貴族諸侯の家門の御当主様が、平民身分や奴隷身分の愛妾に産ませて認知をされていない私生児ですと、出自を尋ねるのは非礼となりますから。御本人に直接尋ねる訳にはいきませんからな。我が主}
帝都は私が生まれ育った地方部と比べますと、非常に便利で快適な生活を送れますけれど。封建制度の社会における序列や立場を常に意識しなければいけない点は、気疲れするのは否定は出来ません。髪飾り。
『御待たせしました。カール卿♪』
飲食店の給仕の女性が、嬉しそうに笑顔で注文した料理と飲物を運んで来られますと。
『ありがとうございます。このお店の料理は美味しいので、父上に宛てた手紙にも書かせてもらいました♪』
ふむ?。人前で父上と呼ばれるという事は、少なくとも御令息様として、カール卿は御父君から正式に認知はされているようです。
{帝都魔法学園での、レバークーゼン家のアンリ卿との会話の経験が役立っておりますな。我が主}
地方部出身の平民身分の生まれである私は、希望さんと真実さんから、封建制度の社会に関する様々な知識と情報を教えて頂いていますけれど。自発的に学ぶ意識も常に持つように心懸けています。髪飾り。