エピソード115 知らない振り
『あっ、いらっしゃいませ♪』
古物市が開催されています会場の隣にある建物の飲食店に、黒髪の幼年学校の男子学生であるカール卿に案内をして頂きましたが。給仕をされています私とは同年輩だと思われます女性が、嬉しそうに明るい笑顔で挨拶をされました。
『四人分の席は空いているでしょうか?』
物腰の柔らかいカール卿に尋ねられた給仕の女性は、飲食店の店内を見回しまして。
『今日は隣で古物市が開催されていますから、お店が混んでいますけれど。丁度今お客さんが帰った席がありますから、直ぐに食器を片付けさせて準備をします』
給仕の女性はカール卿に対してそう説明されますと、お店の奥の方に向かい。
『直ぐに食器を下げて、テーブルを拭いて綺麗にして』
『へーい。解りやした』
お店の奥から返事が聞こえて、少年が姿を見せましたが。
『げっ!』
見覚えのある少年です。以前に図書館帰りの私の懐を、日没後の街路で狙った浮浪児ですね。
『どうかしたの?』
飲食店での仕事を見付けたらしい浮浪児が、引き攣った表情で私を見ていましたので、給仕の女性が不思議そうに聞かれましたので。
『この飲食店には初めて来ましたカール卿。貴方や兵士卿やお店で働く人達を含めて、初めて面識を得ます』
チラッ。
『直ぐに食器を片付けやす』
『テーブルを綺麗に拭くのも忘れずにね』
『へい』
{以前に懐を狙われた浮浪児に対して、知らない振りをされましたな?。我が主}
本日は既に自体が複雑になっています。これ以上の厄介事は御免被るだけです。髪飾り。