エピソード114 怒るだけ無駄な事
『ここですと人の目がありますから、宜しければ場所を移しませんか?』
ザスキア女史の弟である兵士卿と同じく、幼年学校の制服を着用されていられます男子学生は、一の襟章から判断をしますと一年生のようですが。処世術に長けていられるように感じます。
『はい。周囲の皆様方を騒がせましたから』
金髪と瑠璃之青の瞳をしている私の容姿から想像を膨らませて、様々な憶測を話されていた古物市に来られていられます帝都の帝国之住民の視線から逃れられるのは、私としても助かります。
『行こう。ギュンター』
『ああ。カール。姉さんも行こう』
カール卿ですか。帝国では平民身分に多く見られます黒髪をされていますが、背筋を伸ばされた姿勢や物腰から判断をしますと、アンリ卿のように御父君は、止事無い身分であらせられる御方の可能性があるように感じられます。
{レバークーゼン家の子爵閣下が認知をされた、奴隷腹の庶子であるアンリ卿と同じような境遇の男子学生かも知れませんな。我が主}
容姿から憶測で判断する問題点を、私はたった今この古物市で学んだ所です。髪飾り。ただ、背筋を伸ばされた姿勢や、育ちの良さを感じさせる立居振舞等から導き出される推測は、カール卿は貴族諸侯であらせられます皆様方の家門で生まれ育った可能性が極めて高いというものになります。
{我が主は嫌悪感などの一時の感情に流される事無く、沈着冷静に物事を観察されて考える事の出来る御方ですな♪}
私は地方部出身の平民身分の村娘ですけれど、農作業をする際に思い通りにならないからと自然に対して怒りの感情を抱くのは無駄であると学びました。髪飾り。
{雨が降らないからといって、天に向かい怒りを示しても意味がありませんからな。我が主}
そういう事です。私の金髪と瑠璃之青の瞳という容姿も生まれ付きですから、周囲から様々な憶測を持たれて噂話をされるから気に入らないと怒るだけ無駄です。