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エピソード106 我思う、故に我あり

{もう話しても構いませんかな?。我が主}


『はい。帝都魔法学園に戻って来た時点で、念話による会話を再開しても構わなかったのですよ?。髪飾ハール・シュムックり』


貴族街にあります、希望ナディーネさんの御父君であらせられます男爵バローン閣下の上屋敷かみやしきでは、念話による会話を控えていた意志ある魔道具でもある遺失魔道具の髪飾ハール・シュムックりですが。真実ヴェレーナさんが女子寮にある私の部屋から退室するまで沈黙をしていました。


首飾ハルス・ケッテりの主の部屋は、我が主の隣室ですので。出来れば声に出さずに念話での会話をして頂けますかな?}


ふむ?。


解りました。明日受講します講義内容の予習をこれから行いますから、声に出さずに脳内での念話による会話を行いながら勉強する事にします。髪飾ハール・シュムックり。


{感謝申し上げます。我が主}


ヴェレーナさんと二人きりで話す際には、学生寮シュトゥデンテン・ヴォーンハイムの狭い部屋ですので、私は自らの寝台に腰掛けながら話していましたけれど。先程まではヴェレーナさんが座っていられた勉強机の椅子に移りまして、明日受講する講義の予習に必要な準備をしますと。


首飾ハルス・ケッテりの主は、御学友である我が主に対して、かなり強い執着心を抱いているように見受けられますが?}


教科書を開いて、明日の講義で学ぶ予定のページ瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳の視線を向けた私は、脳内にて念話による会話を行っている髪飾ハール・シュムックりに対して。


私は地方部出身の平民身分の村娘に過ぎません。帝都魔法学園に入学した初日には、ザスキア女史に声を掛けて頂けましたが、私の落ち度によりザスキア女史とは一年以上に渡り話しをしませんでした。そんな私にヴェレーナさんは積極的に関わり、帝都で暮らすすべを一から教えてくれた恩人です。


{我が主にとっては、首飾ハルス・ケッテりの主は御学友である以前に、恩人だという訳ですな}


『トンットンットンッ』


勉強机の上で私は、軽く指を三回突きましてから。


ヴェレーナさんに対して、友情と恩義のどちらを強く感じているのかは、私自身にも解りません。人間は自分自身の感情を完全に客観的に分析するのは、非常に難しい存在であると私は考えています。


髪飾ハール・シュムックりに対して念話により脳内で答えた私は、明日受講する講義で使用する教科書に目を通しまして。


哲学フィロゾフィーの講義では、我思う、ゆえに我あり【コギト-エルゴ-スム】を非常に重視しますけれど。私自身がヴェレーナさんに対して、どのような気持ちを抱いているのか、少なくとも現時点では判断を下す事が出来ずにいます。髪飾ハール・シュムックり。


腕輪アルム・バンドの主がハンナ女史に向けている、多少屈折はしていますが解りやすい好意とは異なる感情のようですな。我が主}


ナディーネさんが大切な幼馴染みであるハンナさんに向ける感情は、私にでさえ解る程に明らかですが二人の関係ですので、私は口出しはしません。髪飾ハール・シュムックり。

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