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万幾ら重ねて届かずとも。  作者: ナノマシン
第一章 Beginning of World impact
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ダンジョン調査 其の三 

危なかったです、ぎりぎり完成しました。

 第八階層、ここの敵はゴーレムはゴーレムだけど少し物が違う、機械仕掛けというのが適切かもしれない、大量の矢を発射してきたりバリスタのようなもはや丸太のような矢を放ってきたり回転しながら斬りかかってきたりと奇怪だったり珍しい攻撃をしてくる。

 大量の矢を一度に放つタイプのゴーレムは腕が一本の筒のような形になっていてフレシェットゴーレムという名前がついている狭い通路では躱すのは不可能に近く盾を持っている人の陰に隠れるなり対策を取らないと怪我では済まないことになってしまう、他にも本当に色々と種類があって十種類くらいいたと思う、そしてそれぞれにちゃんと対応が求められるので実力の足りていない補給部隊を置いてきたのだ。

「フレシェットが出てきたら私が守りを展開するので守りがない人は私の後ろに居てください」


 仮に装備の整っていない民間人がジョブの力だけでこのダンジョンを攻略するとしてこのダンジョンは攻略できるのだろうか、当然銃を持たせるわけにはいかないし魔物とはいえ生き物を殺すようなことを民間人にあまりさせたくはないからやっぱり無しだ。


 少し考え事しながら通路を進んでいくとゴーレムが現れた、敵は四体でゴーレムウォーリアーと呼ばれる剣と盾を構えたゴーレムが二体とフレシェットが二体だしかも都合の悪いことに二体とも両腕が筒になっている、あいつらの攻撃は使いきりじゃない、二十秒程度で矢の補充が完了する、つまり四個も筒があれば五秒に一発は撃てる計算だ、流石にやっていられない。

「接敵! ウォーリアーが2、フレシェットが2! 筒は四本、総員防御隊列!」


 盾を持っている隊員は盾を構えて持っていない隊員は私の後ろで武器を盾にするように構える、魔剣は盾にもできる、当然盾に使うようなものではないから強度に不安は残るものの弓矢位なら問題はない。

「盾を展開して角まで後退、角で迎え撃ちます」


 私も魔剣で大きめの盾を作って歩調を合わせながら後退していく、流石に正面切って戦うのは無謀が過ぎるので曲がり角までゴーレムを誘引して最速で前衛を倒してから後衛を倒すのが作戦だけど今回は角が少し遠いのが問題で悠長にしていると損害が出かねない。

 とはいえこの作戦以上に有効な手立てもないので後退していくとフレシェットが次々と矢を放ってきた、一発一発はそれほど威力が高いわけではないけどフレシェットゴーレムの武器は矢の壁のようで通路のような空間では凶悪すぎる。

 矢が弾かれる音と衝撃が盾越しに伝わってくる、弾幕が終わったかと思えばすぐに次弾が撃たれるから息を整える暇すらない。

 なんとか全員が曲がり角の先に展開し終わると盾はもう割れる寸前になっていた、慎重に撤退して時間がかかったからとはいえ流石に肝が冷える、この威力の攻撃をくらったら私もただではすまないと思う。

「ウォーリアーがでてきたら武技で滅多打ちにします、第三部隊前に!」


 打撃系の武器を使う第三部隊が前線を張り私も小さくした盾と片手槌を手に角の近くで待ち構える、ゴーレムの鈍い足音が聞こえるごとに手に力がこもっていく。

 

 ウォーリアーの腕が見えてこっちに曲がってくる、近くで見て改めて思うけどやっぱりでかい、二階層のより二回りは大きいから一度足を崩さないと頭は狙えそうにもない、ウォーリアーは私たちを見つけると剣を振り回してきた、パワーもリーチも段違いだから簡単には近寄れそうにもないけれどウォーリアーの攻撃には隙があり三回刃を振った後身体の横に剣を戻す動作をする、ここがウォーリアーの最大の隙でそれを見つけるが早いか私が一体、第三部隊がもう一体を担当する、まず思い切り力を込めて右足を叩いてやると少しだけのけぞった、私は片手槌を頭に向かって力いっぱいに投擲する、片手槌は頭に直撃するとさらに態勢を崩しさらに追い打ちとして私は魔剣の魔法を発動した。

 片手槌に使っていた魔法は少し改造した魔力弾で威力よりも衝撃力に能力を偏らせたものになっている、その甲斐もあってかウォーリアーは地面に仰向けに倒れこみあとは私になぶられるのみとなった、もう一度片手槌を出し頭を砕く、これがなかなかに硬くて四回か五回ほど振り下ろしたところでようやく倒すことができた。

「一尉! もう来てます!」


 後方に待機させておいた部隊から声が上がる、少し時間をかけすぎたみたい。

 一体はもうこちらに筒を向けてきている、つまりもう一撃は放たれてしまうのだろう、小さめの盾だとこの位置から射線を全て塞ぐことは難しい、でも形状をいじってる暇はない、だから私は飛び出した。


 フレシェットに肉薄して筒に盾をかぶせる、急いでいたから態勢は不十分だったけど矢を防ぐだけなら問題はない、矢は一度に全てが放たれて私は左腕が吹き飛んだんじゃないかと思うほどの衝撃を受けたけど矢はすべて防ぎきれたようで被害はなにもなかった、それからフレシェットの筒に注意為しながら総出で近接戦を行うと決着はすぐについた、やはり武技は強い、魔剣士に武技はないから特定の動きにしか恩恵がないとしても武技の瞬間的な効果の大きさは羨ましく思ってしまう。


 戦闘が終了すると私たちはしばらくダンジョンの地図を埋めてから休息と装備の点検を兼ねて近くの小部屋を制圧してそこで小休止を取ることにした、すると田上さんが私のそばに寄ってきて腕を見せるように言ってきた、結構な量の攻撃を盾で受けたのだから診察させてほしいというのだ、確か田上さんは衛生兵研修の経験があったからそれで来たのだろう。

「群青一尉、あまり無理はしないでくださいね」

「気を付けるわ、でも部隊に被害を出すわけにはいかないからある程度はね」


 田上さんは呆れたような顔をしながら骨に異常が出ていないか確認を続けてくれる。

「痛かったら言ってくださいね…………大丈夫そうですねよかったです。」

「盾が衝撃を分散させてくれるから助かったわ」

「万能ではないんですから気を付けてくださいよ? 盾で受け損なえば重傷は避けられません」

「わかってるわ、負傷者はどれくらい?」

「数名ですが行動に支障はないようです」

「それは僥倖ね、ちょうど補充と点検も終わりみたいだし戻りましょう」


 再び通路にでると地図を完成させるのを優先して探索を続けていく、ここまで探索して分かったことだけど出てくるゴーレムの種類はある程度場所に依存しているらしい、さっきまでは飽きるほど出てきていたフレシェットがあるときからめっきりでなくなり逆にゴーレムランサーやゴーレムシールダーなどの槍を持ったゴーレムや大きな盾をもつゴーレムがでてくるようになった、フレシェットがいなくなったので探索は順調に進んでいった。

 ランサーは少し離れたところから攻撃されるだけだしシールダーも堅いと言えば堅いけれど武技や魔剣を使えば問題なく倒せる。


 楽なので他の部隊長と話す余裕すら出てくるものだからつい話してしまう、でも雑談ばかりではない、第二部隊長とはお互いの疲労の蓄積など話し合わなければならないのだ。

「このエリアは楽ですね、フレシェットがいなくなっただけでここまで進度が上がるとは思いませんでした」

「あれは面倒でしたねそのうちガトリングでもでてきそうです」

「出てきてもおかしくはないですね、まあ深層に潜った時くらいでしょうそのレベルの敵は」

「私もそう願っていますよ、そろそろ地図が埋まるころでしょうか、この通路が最後です」

「次は十階層ですか、ここまで4時間ですから順調ですね休息は少し長めに取りませんか?」


 確かにそれくらいの余裕はあると思うし余裕をもって行動するのは大事だと思う、十階層近くの小部屋で休息をとるのがいいかな。

「そうですね、そうしましょう物資が足りないようなら取りに戻る必要もありますし」


 そのまましばらく進んでいると通路の最奥にたどり着いた、でもそこには一つの大きな扉があって私たちは混乱していた、なんでかというとダンジョンには一つたりとも扉のようなものはなったからだ。

 扉は置いておいて一度小休止を近くの小部屋でとり部隊長同士で会議を行う

「これはやはりあれでしょうか?」

「ゲーム的に言うとボス部屋の扉に見えますが下の階層の扉は既に見つけてますしね」

「隠しボスや隠し部屋のようなものなのでしょうか、扉があるからには閉じ込められることも考える必要があるでしょう」


 話がまとまらない、あれがなんなのか考える人や入るべきという人や入らず情報だけ持ち帰るべきだという人までいる、ここまで状況が混乱してしまうと正常な判断をすることは難しい、そもそも任務に含まれている内容とは若干外れるから無視してもいいのだけれどあれが気にならないといえば噓になる。

「わかりました、とりあえず可能な範囲で探ってみましょう、扉に入ると閉じ込められるかもしれないのであれば扉だけ開けて中はドローンで探索させるというのはどうでしょうか」


 私の提案は受け入れられて私たちは再び扉のある通路に向かうことになった、ただ私たちのぽっとでの作戦ごときお見通しだと言わんばかりに扉を開けてもそこには通路が広がるばかりだったしなぜかドローンは50mほど進んだところで操作を受け付けなくなってしまった、通路は少し暗めになっていてあまり遠くまでは見通せないし楽はさせてくれないのだろう、暗視装置も途中からカットされてしまって何も見えなくなる。

 それからも何度かいろいろと試していると赤い眼光が通路の奥の方に見えた、それは徐々に近づいてきていた、大量の眼を持つ大型の蜘蛛のような魔物が走ってきていた、徐々に近づいてきているように見えたのはよく見えなかったからと通路が長いからだった。

 これはまずいと思い間に合うかはわからないけれど私はすぐに指示した。

「扉を閉めて! 総員あいつを撃て! 第一部隊は特殊弾薬の使用を許可します!」


 後から思い返すと私はあの時、強烈な恐怖にとらわれていた、足がすくむことはなかったけれどただあれを回避するために全力で指示を出していたのだ。


 扉が重たげな動作でゆっくりと閉められていく相当に重いのだろう開けるときも苦労をしていた、でもこの速度じゃ間に合わない、それだけは確実に思えた。

「武技で扉を叩いてください!」


 打撃系の武器を持った隊員が扉を武技で叩く、かなりの威力だというのに扉は少しもへこんだ様子はなく逆に武器のほうが痛んでいるようだった、私も魔剣を飛ばしながらけん銃を撃つけれど効いてるような様子すらなかった。

 本当にすんでのところで扉は締まり切りすさまじい質量の物体が壁にぶつかったような衝撃音と揺れが私たちを襲った。

 ……扉はきしむような音を鳴らしていた、長くはもたないかもしれない。

急展開に急展開が重なり何もわからなくなってきました、もう少しゆっくり展開すればよかったと遅まきながら後悔しています。

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