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万幾ら重ねて届かずとも。  作者: ナノマシン
第一章 Beginning of World impact
22/22

彼らの余暇の過ごし方。

 探索が終わって準備期間が訪れた、わりとみんな思い思いに過ごしているけど、私たちは定期的にジョブ練習用に用意された訓練場でジョブの修練を行っていて各々研究を行っている。


 私の場合は魔剣の構築や調整、魔法の調整などをメインで練習しているけど今はクロスボウの練習をしている

「火薬は再現できないけど、矢は行けるわね」

「でも弓なりは無理か」

「弦がね、再現できそうにないのよ」


 魔剣では柔軟性のあるものや現実の物質を模倣するなどはできない、あくまで魔力の塊を武器の形にしているにすぎないからだ。 まあ固体なら作れるので武器なら問題ないのだけどギミックや複雑な機構は再現できない。

「少し慣れてきたかも、どうせ魔剣は近距離じゃないと維持できないしこれくらいでちょうどいいわね」


 成幸は新しく用意されたダンジョン産の素材で作られたジョブ製の直剣を振っている、物理では測れない常識外の性能をダンジョン産の素材は持っている。

 例えばあの剣は獣が多く出るダンジョンで収集された魔物の牙と鉄なりを素材にしたらしいが何故か生物へ与えるダメージがでかいらしい。

 私にはわからないことだが、生産職などの非戦闘職の解析ができる人からすると概念や特性といったものが付加されているらしい。

「ジョブで作られた道具なりも増えてきたし、なんかわけわかんなくなってきたな」

「なんだか、新時代って感じはするわよね」

「まるで大海賊時代だね、未知の探求の時代がまた来たんだよ」


 世間もそう賑わっている、しかしこれが非常によろしくない。

「だから不安定になってるんだけどね、嬉しい気持ちも嫌な気持ちもたくさんだわ」

「世界の情勢も悪化してる、今じゃどんな仕事も多かれ少なかれジョブの恩恵を受けてる」


 遥人は短剣に魔術をまとわせてリーチを延ばせないか工夫しているらしい、ただ風魔術では斬ることはできても刃を維持することは難しいらしい

「そもそも魔法って構成要素をいじれるわけじゃなくて数字だけいじれる感じだから、逸脱した別の魔法にはしにくいよね」

「魔術師ならいじれる要素多いんでしょ?」

「うん、俺みたいな魔法使いタイプは魔法がそのまま与えられるんだけど、魔術師タイプは素材が配られて自分でそれを組み立てて魔法にするみたい、だから自由度があるらしいよ」

「でもその分、展開に時間かかるみたいだからな、積極的に戦うなら遥人みたいなタイプが優秀だ」


 あ、決まったかも。

 頑丈に作られた的が矢が刺さって一拍経つと、はじけ飛んだ。

 魔力弾で作った矢を当たってから自動で起動するように調整していたのだがこのタイミングが最適だろう、頭の中でこれ以上はないと確信めいた直感を感じた。

「うん、いいのはいったわね基本はこれでいいかも」

「あれってめっちゃかたい標的だよな、よくやるわ」


 まあ内部で炸裂させてるだけだけど爆発の起点を調節するのに手間取った、直感で作るしかないからこれが結構苦労するのだ。

 魔法は感覚で調節するからその分思い通りの効果にはなりやすいけど細かなところで誤差が起きたりして難しい面もある。

 魔剣は魔法をそのまま武器にして作っているのでそのベースの魔法を発動することもできる、ただこの時、魔法へ魔力を多く使わず魔剣としての性能を強くしたりその逆もできる。

「これは魔法の速度と強度のパラメータを限りなく下げて威力に特化させた魔力弾の矢だから相当な威力が出るのは間違いないわね、私の魔力が持てば部隊に配備できるくらいの代物ではあるんだけど」


 弓部隊、まさか現代でそれの運用が真剣に考えられるようになるとは考えもつかなかったけど銃よりも威力や速度では劣るけど、重さや弾が使いまわせるところを考えれば一考の余地はある、実際弓の訓練を始めることを検討しているらしい。

「剣に弓に、魔法? 本当にファンタジーの中みたいだわ」

「夢ばっかじゃねえけどな」

「既に世界単位で治安の悪化とダンジョンやジョブを悪用した犯罪で被害が続出してる、その上スタンビートも発生するというし、たまったものじゃないよね」


 異世界人からもたらされたいくつかの情報は日本政府に大きな衝撃を与えた。

 一定以上ダンジョンの魔物を討伐できなければ発生してしまう、スタンビートと呼ばれる現象、これは発生するとダンジョンが地上にまで浸食し始めてしまう場合あるらしい、そうなると地上でまで魔物が発生してしまうから大きな被害が発生すると言われている、もちろん非公開の情報ではあるのだが他国もこの情報を握っているとしたら秘匿し続けるのは大きなリスクだ。

 もちろんスタンビートが起きる前に大規模にダンジョン攻略を進めてそれを阻止できればいいけど、未発見のダンジョンなどに関してはその対策ができないので難しいものがある。

「私たちにできることは攻略することだけ、せめて強くなりましょ」


 そうして私たちが訓練していると訓練所に第一から第五まで、技術者と公安を除いた全員が訓練所に揃った。

「お待たせ、結和、始めようか模擬戦を」


 ウィンが機材を準備しながらテキパキと進めていく。

 そう今日から数日の間、私たちは模擬戦をして対人戦闘に備えることにしたのだ、なぜそうなったのかというとそれは現代の情勢が問題だった。


 ジョブを持った人間は普通の人間より手軽に強くなれる、身体強化、魔法、他にも様々だ。

 問題はそれを悪用すること、一瞬でスーパーマンやトップアスリート、超能力者になれる手段が人の悪意を助長した、それらの例を踏まえて余裕が出てきた私たちはこうして対人戦闘の技術を磨きあうことにしたのだ。


 模擬戦の形式はジョブの恩恵は全部使っていいけど、致命傷は禁止で基本的に刃は潰すこと、致命判定をくらうまで戦うことになる。

 最初はレベルやジョブはなるべく近い者同士で戦うことになっているけど多分この中で一番強いのは第一部隊がダントツだろう、彼らの戦闘スキルはとびぬけている。


 訓練所にラインが敷かれて呼ばれるまま前に出ていく。

 第一エリア、第一回目の組み合わせは第一部隊『クリストファー』vs指揮分隊『結和』のセットアップになった。


 クリストファーのジョブは『跡刃士せきじんし』だ、直接的な攻撃の武技は少なかったはずだけど能力が直撃したらどう考えても致命判定を受けることになる、まあそれで言ったら私もたいがいだけど。

 リングは直径で50m、ちょうどいいくらいかもしれない、それは相手にとっても同じなんだろうけど。

「クリス、お手柔らかにね」


 クリスは金髪の男で身長も高い、成幸と同じくらいだろう、その手には刃がないだけの直剣が握られていた、腰にはあと一振り剣が備えられている、予備だろうか?二刀流でもするつもりかもしれない。

「次回からまともな直剣を使えるようになるらしいからね。 今のうちに練習しておくよ、いい試合にしよう」


 お互いに距離を取ると私は斬れないように調整した魔法の直剣を構えて合図を待った。

 審判役をしているウィンの号令で試合は始まる。


 クリスの職業だとおそらく戦闘系のパッシブスキルを持っているはず、正面戦闘だと私が不利だ。

 クリスは早速、跡空間をリングいっぱいに広げて斬撃をそのあたりに置いている。

 私だと跡空間を塗りつぶすのは無理ね。

 魔力弾の投げナイフを幾度か投擲するけど、うまく弾かれる、一度、二度、手を変えて三つ同時に放る。

 そのどれもを彼は容易く弾きながら近づいてくる、どうせ跡空間で囲って逃げれなくするつもりなのだろう……でもそうはいかない、次も三本を投擲する、でも一つは速度に特化させた魔力弾を起動させていた。

 あまりの速度に驚くクリスだったけど、流石に回避する、でも態勢は崩してる、私はその隙を逃さず、今まで投げた魔力弾のナイフを炸裂させた威力よりも範囲に重点を置いた魔力弾はしっかりと砂埃を上げてお互いの姿を隠した。



 姿を消した二人の思考は一致していた。


 結和はここで勝負を決めてくる、正面戦闘で俺には勝てないから。


 ここで仕留める、クリスに反撃すらさせずに。


 両者は自分にとっての最適の行動をとり始める、クリスは奥の手をここできる、跡刃士は自分が振るった刃を持つもの軌跡を再現するジョブだ、であればとクリスは考える。

 その刃の定義、有効な範囲を。

 その答えが彼の持つ武器に現れていた、右手で直剣を持って左手で柄を抜きさる、それは剣ではなく鞭、刃を大量に備えた百刃の鞭。

 それを自らを囲むように振るう、砂の煙幕を揺らしながら迫るそれを感知するとクリスは鞭を捨てて直剣を構えながら後ろへと下がっていく。

 圏内にそれが入った、能力を知ってるわりにはお粗末な攻撃だが手札がないのだろうと彼は思った。


 しかしてクリスの跡撃がそれを切り裂くと、激しく爆発しそれは細かく砕ける、そして魔力をほんの一瞬だけその場に満たした。

 空から落ちてくる紅、それはクリスを真上から強襲し、クリスを地面に縫い付けて水晶の短剣を喉元に突き付けた。

「今回はもらったわよ、クリス」

「降参だ、流石だね」


 状況を見ていた、ウィンは大声で勝者を宣言し、二人の奮戦を称えた。

 あの時、結和は飛んでいた、その仕組みは上へ飛んでいく足場の魔剣を生成しそれに乗っていくことで彼女は空中歩行を実現していた、武者戦でも使った技法で結和の奥の手の一つとなっている。

 その対戦を見ていた彼らは大いに盛り上がっており、次のマッチアップが済むと彼らが意気揚々と模擬戦に精を出す。

 しかしこの模擬戦で最も大変なのは戦闘職ではなく、支援職、新たに増員された二人のヒーラーを動員しても彼らの傷を治すのは手間であり、数日間彼らを泣かせることとなった。


メンバーの整理のためにも模擬戦に力を入れるか次のシーンを書くかで悩んでいます。

はい、実は決まっていません。

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