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万幾ら重ねて届かずとも。  作者: ナノマシン
第一章 Beginning of World impact
19/22

仙台ダンジョン攻略『其の三』

一日遅れだけどセーフです、予定は未定、決定ではないのですから。

あと前話ですけど誤字がたくさんあったので気づいた分だけでも修正しました。

第三部隊を第二って書いてたとかそんな感じですね、でも一応部隊ごとにルビを振っているので大まかな理解には支障をきたさなかったはず……そのはず……すみません。

 ドロップアイテムの回収を終えて魔石の数から敵の総数を計算すると36体もいたことが分かった、特殊なドロップアイテムもいくつかあるけど正直これが不思議でならない、槍兵が落としたのであろう槍の穂先が2つと弓の弦の部分だと思われるそこそこ長い一本の糸が5個ほどだけだ、何に使えばいいのかわかりにくいけど流石に一年も研究されていればこの手のものの使い道もわかってくる、ダンジョンのドロップアイテムは職人系jobの人間が扱うことでより効果的に運用することができるのだ、もちろん槍の穂先を棒に括り付けたりそのまま加工して使うこともできるだろうけどそんなことをするくらいなら初めから鉄なり鋼を用立てて鋳造でもしてしまった方が早い。

「なかなか幸先がいいね、ドロップアイテムが多い」

「え、ええそうね、数が多いと多少雑に扱えるだろうしどんどん集めていきましょ」


 素材が集まるのはいいことだ、でもそれが私たちのせいだとばれてはならない、流石にアレキサンダーの寵愛なんて持ってるのを知られてしまったらその影響は計り知れないし最悪誘拐されて研究対象もありうる、いや流石にないかも知れないけど油断はできない。

「結和、次は『トリプルカラー』を試したいんだけどできそうかな?」

「わかった、じゃあ行きましょ」


 それから十分ほどだろうかゆっくり進んでいくとまた次の群れと出会った、槍と弓で数は初回より少し少ないくらいだ、この角を曲がったら150mは先で彼らは動く様子がないから戦うのであればこの長い通路を進む必要があるわけだけどまあ問題ないか。

『この角を曲がって150m先に敵集団がいる、魔力消費はLv5、パターン『トリプルカラー、ファストアタック』』


 ウィンが私にもうやってくれとサインを送ってくる、2,5,3かまあ妥当だと私も思う。

 組み込む概念と効果を明確にイメージしながら魔剣を創造する、今回の形状は大型の旗だ、機能をバフに全部振るならこの形が一番効率的だ、旗の色が濃藍こいあい色のようになってそれが私の右手に生み出され私はそれを地面に突き立て無線で告げる。

レッド2、グリーン5、ブルー3』


 私を含めて全員にバフが乗せられる、バフによって身体に違和感を生まないように連携に差異が生まれないように訓練を重ねた私たちの戦術だ、赤は力、緑は速度、青は頑強さを示しそれを数値にして定量のバフを授ける。

『go』


 第一部隊ギガント第三部隊イロハがその身に風の防御壁を纏わせて駆けていく、あれは遥斗の魔術だ、正面から雨を傾けたように降ってくる矢を上手く避け、避けれない場合は風壁で弾き風壁がもう無くなりかけた頃、彼らはもう斬り結んでいた、さきほどよりも魔力の消費制限が緩和されたからかその戦闘は一方的であり今度はクリスが【顕現】を使うまでもなく武技と物理の暴力の前に兵士たちは沈んでいった、これなら問題なく進めるだろう、そう思った私たちは鉄砲兵もものともせずその日のうちに第三階層まで進みそこの大部屋でキャンプを設営することにした。


 キャンプの設営が終わりスケジュールなりの伝達と会議も終えると私とウィンにヤンはその場に残りイスと適当な箱をテーブルにして飲み物を片手に奥州なり戦国時代の資料などを入れてあるスマートフォンを見ながら雑談交じりに会議の続きをすることにした。


 ウィンは水出しコーヒーを片手に今回の戦闘の写真を幾つか私たちに見せてくる。

「んー魔物の鎧は統一されていたけどなんていうかやっぱりあれは魔物なんだよなって納得するよ、鎧に傷もなければ時代背景の割に肌もまあまあ綺麗、少なくとも鎧を着てこの環境の気温で何時間も歩いてたら汗もかけば地面の砂埃だってつくよね」


 魔物は普通の新陳代謝を行わないというのは今や当たり前と言えるレベルの話で戦闘時以外では汗をかかず排泄の類は全く行わない、というか何を食べて生きているのか不明、解体の際には腸を切り開いてもそういうものは見つからなかったと聞く。

「環境にもよるらしいけどな、砂漠のダンジョンとかならさすがに砂の汚れとかは着くらしいしな、ていうか俺はそんなことより早く魔物の素材をこねくり回したいんだが?」

「ヤン、ここには機材もない上に公安の監視もあるんだから勝手にそんなのできないわよ、リストを作って一回国に引き渡してからじゃないと怒られちゃうわよ」

「まじかよ、渡りに船と思って日本に来たのは間違いだったか? やっと自由に研究できるってワクワクしてたんだけどな」


 身振り手振りで落ち込んでる様を表すヤンにはちょっとイラつくけどこれで腕もいいし頭もいいやつだから無理に怒りたくはない。

「どうせ長くても四日なんだから我慢しなさいよ、まあ槍の穂先とか弓の弦くらいならその場で持ち帰ってもOKってなるでしょうし、まあ鉄砲兵が落とした火薬みたいなのはしらないけど」

「俺はそれを一番研究したいんだけどな、ていうか日本は大丈夫なのかよ、この火薬っぽいのは未来の武器に欠かせないものになる可能性があるってのによ」

「確か魔物が落とす素材でjob持ちがスキルで道具を作ると質量を無視したような完成品ができるんでしょ? ちょっと怖いわよね」

「まあそうだな、物質的には密度がやたら高いとか異常な熱量であるとかそういうのはないから余計に不気味だ、もしかしたら高次元的な素材なのかもな、俺は研究者じゃないから知らねえけど」


 三次元に生きている私たちにはそれより上の次元を正確に認識することはできないのだし仮にあれらがそれと密接な関係を持っていてそれが理由で意味わからん自体が起きてても博士でもない私にわかるわけもないだろう。

「ヤンめっちゃ頭いいじゃない、なんかわかんないの?」


 そう聞くと少しイラついたような顔をしてヤンは言い返してくる。

「お前なあ俺はあくまで技術者、しかも半導体とかそこらへんが専門だぞ、別に高次元的な解釈がわからんでもないがそもそもそういうレベルの話じゃないかもしれんしな、考えるだけ今は損だ」

「まあそうよねせめて足掛かりがないと」

「詳しいことは確かにわかんねえ、でもスキルのおかげだろうな、その素材がどんなもんなのかは漠然とわかるんだ、なんていうかな五行、五大元素、四元素って知ってるだろ? それそのものじゃないけどそういう属性が付加されてるのがわかるんだよな、でもそれがまた難解でなわかりやすく言うと水だと思ったら鉄にも見えてまた視点を変えると水晶になってた、とかそんな感じなんだ要は複数の属性というか性質が組み合わさっててなやっぱ色々と試してみないとわかんねえわ」


 何言ってんだろうこいつって思ったのは内緒だ、でも言ってることは本当に何となくだけどわかった、それにヤンのこんなに楽しそうな表情はもう何年も見たことなかったから久々にうれしい、難しい顔をしていて口も悪くて、でも技術だけはあるから何かと頼りにされてまた悪態をつくこんな男でも笑ってるときは本当にかっこいい。


 そんな話をしているといつの間には席を立って何処かへと離れていっていたウィンが職人達を連れて戻ってきた、そして各種の素材と何やら不思議なルーペに見える道具とリトマス試験紙のような形状をした真っ白な紙の束を机に広げると私たちに言った。

「なんで僕たちが見張りのシフトに組み込まれてなかったと思う? 戦闘能力がないからでも指揮分隊の人間だからでもない、こいつらの解析を進めるためさ、明日は部隊を二つに分ける、第二と第三に指揮分隊の一部と第六の支援系のjobの隊員、あとは第五だね、彼らには二階層下まで地図を埋めながら降りもらう、勿論安全第一だけどね、その間に第六の職人は素材の解析と運用についての配分と資料作り、特に火薬っぽいのは最優先ね、他の部隊は見張りと大部屋周囲の魔物の群れの間引きだ」


 いやそれ知らないんだけど、ていうかヤンも知らなかったぽいな、あとなんか変だと思ってたらいつの間にか遥斗が盗聴防止の風の結界を貼ってるしもしかしなくてもこれは……。

「ちなみに公安の二人は今リザたちと明日の話し合い中だから心配はいらないよ」


 ああやっぱりだ、ウィンはここで簡単な研究をしようとしてる、多分目的は危険性のある物質として押収された時のカウンターとかどうしても入手したい素材なりの選別だと思う、まあ研究してはダメとかそんなことは言われてないし、仮に研究してもその成果の公表が必要とも言われてない、だから問題は一つもないんだけどなんていうかアメリカの人は本当に強かだ、本当にそう思うばかりだ、ヤンはめちゃくちゃ嬉しそうだ、ていうかもうルーペっぽいのの説明書を読み込んでいる、あれ多分魔道具だな、宝箱にたまに入ってる貴重品だ、日本が貸してくれたわけでもないだろうから絶対にウィンの持ち込み品だろう。

「あ、ちなみに説明書とか実物はもう見せたし各々僕のUSBから説明書をダウンロードしてね、もう足止めもできないしこれ全部片づけるから。」


 ヤンの絶望したような表情も珍しい、まあ職人たちは全員似たような表情をしているし彼らにとってはそれくらいショックなんだろう、私も片づけを手伝い終わって解散したころに公安の二人が来て何を話していたのか聞かれたけど私たちは口裏を合わせてそれをのらりくらりと躱したのだった。





 ウィンはこの探索で未知の階層の探索と素材の簡単な研究を済ませてしまうようです。

 公安の二人は離れたところでウィンたちが何してるのか興味がありつつも明日の業務連絡などを雑談とわかりにくい言い回しをされて時間を稼がれてます、リザは英語で会話するもののたまにイタリア語で話をすることでそこの話を英語で繰り返すことで時間を稼いだりと隠れた努力が見えます。

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