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万幾ら重ねて届かずとも。  作者: ナノマシン
第一章 Beginning of World impact
14/22

最後の墓参り

実はひとつ前の投稿消してます、まあ理由としてはここで視点変えるのは流石に忙しすぎるし動きもなんもわかんなくなるよなと思ったからです、ちゃんとここら辺終わらせてから次の章行きます。

ウィンと合流して随分と高い会計の額に驚きながらもカフェを出ると私はメールの通りに隊長の墓参りをするため墓地に車を走らせた、命日ではないけどウィンも他の友人も暇を見つけてはこうしてたまに墓参りに来てくれるのだ。

「それで本当なのかい? 彼は間違いなく死んだと聞かされたんだけど」


 バックミラー越しにウィンを見ながら話す。

「ええ、それ自体は間違ってなかったわ、でも最近世界で起きたことわかるでしょ? その筋で隊長がまだ生きてるかもしれないってなったのよ」


 ウィンは思案するように腕を組み外国人らしくよく動く表情で困った顔を浮かべながら私に聞く、まあ到底信じられる話ではないだろう日本まで来てくれただけでも感謝があふれる。

「なるほどね、確率としてはどのくらいだと思う?」


 私は笑みを浮かべながら答えにならない答えを返す

「言ったでしょ信じてるって」


 ウィンはもちろん成幸も遥斗も苦い笑いを浮かべるけれどその顔には少しの否定もなかった、あのミラって人が本当のことを言ってるとはまだ思ってない、でも何回か話してみてこの人は私たちの知らない隊長を知ってるって確信してる、少なくともその全貌を暴くまで止まることなんてできないのだ。

 

 墓地につくと私たちは墓前で静かに手を合わせた、でも今までとは違って何も添えないし何も報告はしない。

「ねえこのお墓このままにしとくの?」


 遥斗が訪ねるように私に聞いてくる、実はそれ自体はずっと考えていた、生きていると願うなら墓なんか要らないだろう不吉だろうとも、でも私は首を振ってから答える。

「隊長を見つけたらね、ここまで連れてきて目の前でこれを叩き割ってやるわ、ついでに隊長の頭に水をかぶせるの」

「そりゃいいな! 俺もやるわ!」

「クレイジーだな、結和のそういうところ大好きだよ」

「……一応他の人も眠ってるんだけどね?」


 遥斗の言葉は無視して私たちは墓地を後にした、もう腹は決まったし走るだけだ、こんなに簡単なこともないだろう。


 しばらく買い物なりに付き合ってからまた夜にと手を振ってウィンと別れると私は今日のもう一つの用事を片付けることにした、実は今日もう一人会う予定があるのだ、こればっかりは口止めをされていて轟さんにも言えなかったけれど重要性を考えればこうせざるを得なかった、まあ最も轟さんに対する感謝はあれど忠誠はないから申し訳ないとも思わないけれど。

「なあ本当にいいのか?」

「んーなにが?」

 成幸が後部座席からスマホを片手に弄りながら聞いてくる。

「俺だって反対はしねえけどこれは隊長の遺言通りって言えるかよってな」


 随分と痛いところを突いてくれるものだ、でもこれは成幸の優しさなのだと思う、引き返すなら今日が最後の機会なのだ。

「……隊長も言ってたでしょ、私たちは私たちの好きにやりたいようにやれって」


 呆れるように成幸は言う。

「危険なことは控えろよとも言ってたろ」

「それって隊長を取り戻すより大事なの? それにわかってるでしょこうなって一番頑固なのが私の隣にいるじゃない」

「俺ってそんなに頑固かな?」


 遥斗がとぼけるように言葉を返す、普段から物静かで影の薄い遥斗だけど決めたことだけはなんとしてもやり通すのだ、そしてもう遥斗は決めてしまっている。

「もう手遅れだったよなそういえば」


 笑みを浮かべながら手を放すように言う成幸に遥斗が追い打ちをかける。

「成幸だってとっくに決めてるくせによく言うよね」

「ほんとよ、それで? 何が言いたいの」


 成幸はその体躯とは反対に行動は慎重だし物言いも少し遠回しになることが多い、親友だから慣れたものだけどこれでは少し生きづらいだろうと思う。

「言ったとおりだよ、隊長は遺言を捻じ曲げられてでも会いに来てほしいのかって話だ」

「図体のわりに昔から小難しいことばっかり考えるんだから笑っちゃうわよね」

「だね、確か前はお酒に負けてあれやこれやした挙句責任だとかなんだとかなって結局なんもしてなかったんでしょ?」

「面白いわよね、丸まったティッシュがあったからって早とちりしたって聞いたわよ」

「うるせえな! てか運転集中しろよ!」

「はいはい」


 爛れた会話は打ち切ってたわいもない会話を続けているとそのうちに目的の場所まで着いた、そこは特に何の特徴もない喫茶店で私たちが店に入ると店の奥に座っている今どきの若者といった服装をした白髪の少女が手を振って私たちを出迎えた。

「あそこね」


 三人でミラさんが一人で占有していたテーブル席に腰を掛けるとミラさんはメニューを手渡してきた。

「まあなんだ、まずは何か頼みたまえ」


 ミラさんはサンドイッチとロンソーダフロートを飲みながら待っていたようでアイスの溶け具合を見るに頼んでからそう時間は経っていなさそうだ。

「待たせてしまってごめんなさい、ちょっと色々あってね」

「私は暇人だからなそっちの予定に合わせるくらいならなんでもない、それで聞きたいこととはなんだ? この際だ多少長くなってもいいぞ」

「一週間経ちましたからね、これからどこに?」

「私の役目を達成するまでだ、あいつがここに来るまでにあいつが悲しまない世界を作りに行く」

「戦争を力づくで止めるんでしたか、できるので?」

「全く問題ない、まあそんなつまらんことよりもだ、何か聞きたいことなりがあったんではないかね」


 戦争なり紛争を力づくで制圧するって目標をつまらないとは言わないと思うけれどまあ私が関与できる話でもないだろう、それよりも私はもっと聞かなきゃならないことがあるのだ、ここ最近は田上さんがずっと一緒にいたし色々と疑われてるせいもあってあまり踏み込んで隊長の事を聞けなかった。

「隊長の事を聞かせて欲しいんです。 教えれる範囲で構いませんので少しでも手掛かりを」


 私のお願いにミラさんは悩むようにしつつも少しずつ話を聞かせてくれた。

「話せることはあまり多くはない……が魔やダンジョンの事なら教えてやれるだろう、すぐに気付くだろうしもう気付いているかもしれんが魔力やダンジョンは妥当性という指標の元で法則を確立している」


 妥当性というと要は当たり前のようなものだろうかこれだけの事をしたんだからこれだけの対価はあって当然だろうというような、考えていると遥斗が口を開きミラさんに問いた。

「妥当性ですか要は等価であればいいということで?」

「等価か、まあそれに近いかもしれんな、だがこの妥当性というのは状況や条件によって上下するのだ、例えばだが火山の近くでは火魔法を扱う際の魔法の規模や自由度、魔力の消費量なりについてかなり扱いやすくなったりする、この理由はわかるか?」


 考えの上ではわかる、でも理屈となると考えがつかない魔力というのは私たちの常識にあったものではないからどうしても思考に制限がかかってしまうのだ。


「ふむ、まあ凡そは理解できているだろうが言葉にはできんか、仕方のないことだと思うぞ、答えを教えてやろう、そもそもだ人間の身のどこに様々な魔術を発する魔力がこもるというのか、上級の魔術師にもなれば祈れば人体を復元し唱えれば洪水を呼ぶのだぞ? ちゃんちゃらおかしいことだ、しかしてそれを解決する理由は簡単だ、世界に存在する魔力を借りればいい、そして借りるためには世界に依頼をせねばならない、このような魔術を使いたいのでこれだけの魔力を貸してくださいとな、理解できたか?」


 世界に依頼をするというのは要するに自分の魔力を契約書に見立てるわけで契約の条件次第で借りてこれるモノも変わってくるとそういうことかな。

「それと火山に関係が?」

「魔力は土地や伝承といった、その場所を由来とするものに大きな影響を受けて変質するのだ、例えば関ヶ原だったか? 大きな戦争なり大量の死者が出たであろう土地では死霊系統の魔術が効果を高くする、だがその一方で関ヶ原程度では墓地ほどの効力は見込めないだろう、それはなぜだと思う?」


 普通に考えたらそこらの墓地より関ヶ原のほうが死者は多いはずだし苦しみも多いと思う、なんでだろう、そう考えていると成幸が顎に手を添えながら確認するように言った。

「伝承……というか認識か? 関ヶ原と聞いて戦争なり戦いを連想はしても大量の死者は強く連想しないんじゃないか、墓地はそもそもそこで人が死んでるわけでもなし遺骨なりがあるだけだ。 なのに効果が高くなるってことは事実より認識が大事ってことだと思うんだがどうだ」

「前から思っていたがお前は中々に頭が回るみたいだな、その通りだ、魔術の話になってしまったがダンジョンの話に移るか、ダンジョンも実をいうと魔術と大きく変わることはない、まあここまで言ったらもうわかるだろう」

「その土地とダンジョンの仕様次第でいろいろ変わるってことですね」

「そうだ、特に秘境や環境が厳しい場所は強いダンジョンができやすいから気を付けるんだな、あいつはお前らと会うことを楽しみにしてはいたがお前らと遊んでやるほど暇ではないからな」


 聞いても答えてはくれないんでしょうね、まあもう諦めてるからいいけど。

「さて、まだ聞きたいことはあるか?」


 ちらと腕時計を見て時間が迫っていることを確認する、もうそろそろ出ないとパーティーに間に合わない、そもそもパーティーとは名ばかりの顔合わせとスケジュールの調整のための集まりだからあまり遅刻もできないわね。

「いえ、ありがとうございました、私からは今のところありません。」

「そうか、まあ何かあれば桜に聞くと言い、知っているだろう? 異世界帰りの藤宮桜だ、あれは私のなのでな本人が嫌がらない程度に聞いてもいいぞ」


 初耳だ、ていうかそんなこと桜さんも言ってなかったしなんで今のタイミングで言うんだろう、関係を探りたいところだけどそれは桜さんに聞くのでもいいかも知れない、ミラさんに聞いてもはぐらかされそうだし。

「わかりました、ありがとうございます、またお会いしましょう」

「ああ、楽しみにしているぞ、じゃあな」

 

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