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万幾ら重ねて届かずとも。  作者: ナノマシン
第一章 Beginning of World impact
13/22

最良の友人

前回までの話を大幅に修正しました、大幅にとはいっても表現を一部組み替えたり群青たちの階級を訂正した程度です。

 群青は一尉になりました。

 

あれから一週間が経ったけど実のところ大したことは起きていない、ミラさんと話したりセキセイが南極に飛んで行ったりなど個々としては面倒なこともあったけれど国が動くようなことにはなっていない、例の公園も新たな観光地となったくらいでこのところ更に観光目的の入国が増えたという事で例年を大きく飛び越す勢いで観光産業が盛り上がりを見せるであろうと騒がれているくらいだ、そんなこんなでミラと三回目の接触を終えた私は上司である轟さんに報告に来ていた。


 部屋はまあ落ち着きのある豪華な執務室といった感じで轟さんはいつもここで書類仕事とかを片付けている、だが今ばかりは轟さんも私の報告を真面目に聞かなければならないようでいつも片手間に済ませている書類仕事にさえ手を付けていない。

「はい、ミラさんはやはり時雨隊長の事を深く知っているようです、諜報で得た情報というには細かすぎるかと思いますし情報の幅が広すぎます」

「異世界転移だったか? まあなんとも滅茶苦茶な話だがもはや信じられないと一言で済ませられる問題でもなさそうだ」

「となるとやはり?」

「ああ当面は時雨隊長を捜索するべきだろう、彼さえ戻ってきてくれればあいつらも戻ってくるだろうし異世界の情報も詳細に手に入るはずだ」

「実はもうあの人たちには声をかけていまして……」

「なに? というかまだ接触がとれていたのか!?」


 少し後ろめたさに背中を指されながらも小声で言うと轟さんは驚きを隠さず机に両手を叩きつけながら腰を上げた、するとすぐに平静を取り戻したのか大人しく椅子に座り直して改めて聞いてきた。

「それでなぜ接触を持っている、なんで俺に教えなかった?」

「まあ無駄だと思いましたし私たち三人以外から接触があったらすぐに雲隠れすると言われていましたので、休みが重なったら頻繁にご飯も食べていましたよ? 前なんて高級ホテルのディナーをクリスが奢ってくれたんです!」


 つい盛り上がって言ってしまうと轟さんは呆れたように額に手をあてた。

「いやまあこの際それはもういいが別に武器を持っているわけじゃないだろう、エキスパートなのは認めるが流石に武器がないと厳しいだろう」

「いやあそれが彼らは事業を大きく転換というか新しく増やしたというか……わかりますよね?」

「……いやまさか、まあ考えてみれば当然かもしれんが奴らダンジョン業をやってるのか!」

「はい、最近民間のダンジョン業者が増えているのは知っているでしょう?」

「ああ、特にアメリカとヨーロッパ辺りで流行ってはいるらしいが」


 ダンジョン業、海外ではそのせいでよく問題が起きているみたいだけどそれを看過するくらいには国からしても益が多いと聞く、というか私はその実情をわりと詳しく知っているのだ、勧誘も受けたし受けるにあたって色々と詳しくうまみなりを説明された、まあ私たちは断ったのだけれど。

「それでそこが問題なんです、彼らはダンジョン攻略に仰々しい兵器の類をほとんど使っていません」

「ではどうやって攻略をしてるんだ?」

「海外ではまあダンジョンに限り規制が解除されているところもあるので剣なり銃なりですがまだ規制の内容が追い付いていない地域では棒や魔法、スキルの類で乗り切っているようです」

「まあ棒はそうそう規制できんしな、内部さえしっかりと作れば金属バット状のえげつなく強いこん棒くらいは簡単に作れる」

「いやあ彼ら大胆ですよね、観光客が増えて警備も厳しくなってるはずなのにその手の法律ギリギリの装備をたくさん持ってきているようでして」


 イタリアから、スペインから、アメリカから、中国から、ドイツ、フランス、とにかく時雨隊長と仲の良かった数々の国の友人たちが私の報せを受けて日本に集まりつつあるのだ。

 『隊長がまだ生きているかもしれない、本当とは限らないけど私は信じてる』と送っただけなのに本当にすぐだった、

『パスタを作り終わったらすぐに行くよ、君の家に泊まっていい?』

『君の口から直接聞きたい、そっちに着いたら別荘でパーティーでもしながら話そう』

とか送られてきて本当にいい仲間を持ったと思う、これも隊長のおかげなのだ。


 轟さんは机に両肘を置き手を山のように組んで聞く。

「何人だ?」

「聞きたいですか?」


 一人一人の顔を思い出しながら心の底から安心しきった顔ではっきりと言ってやる。

「来月までに最低でも20人、半年以内に50人は集まりますよ」

「……相変わらずだな、ちなみに何か言ってたか?」

「借りを返せ、とだけ」


 轟さんはとうとう天を仰ぎ目を閉じた。

「今年は待て、大臣に前倒しを要請する」

「半年以上ですよ?彼ら待ってくれますかね」

「わかってる、お前らだけで編成した部隊を一部のダンジョンの攻略を任せられるようにも交渉する、情報の保全と選定に一ヵ月はもらうぞ、その間観光でもしておけと伝えてくれ」


 まあ最大限の譲歩かな、轟さんもかなり頑張ってくれるらしい相当無理を頼むことになるけど私も手段を選んではいられないのだ。

「ありがとうございます、じゃあ私これからウィンの別荘でパーティーの予定なんで失礼しますね」

「ああ勝手にしてくれ、ちなみにどのくらいの規模なんだ?」

「今日は10人くらいですよ」

「控えめだな」

「まだこっちに来れてる人が少ないんですよ、仕事が残ってる人も多いみたいなんで」

「というかお前機密情報の漏洩で処罰されるとか考えなかったのか?」

「そうなったら逃げますよ、それに生きてるかもって言っただけでなんのソースも添えてないんですから漏洩ですらないです」


 まあ実はかなり危ない橋だったけど仮に私が捕まっても成幸も遥斗もいる、要求を通すためならこれくらいのリスク問題にもならない。

「じゃあいきますね」

「ああ分かった」


 今日会うのはどれも民間軍事会社(PMC)の役員だったりそこに所属していたりとかとてつもない身体能力なり専門知識を持っていたりするやばい人たちばかりで彼らは時雨隊長を通じて知り合った友達で一つの詰まりもなく素晴らしい能力を持った人たちだって自慢できる。

 ウィンは民間軍事会社(PMC)の顔役らしく経営に直接携わっているらしい、昔は米海兵隊に勤めていたらしく途中で引退してPMCを建ち上げたと言っていた、彼自身の実力も折り紙付きらしく30も後半だというのに未だに前線に出ることも多いらしい、それは戦場を楽しんでいるわけではなく自分で確実に成功させたいからと言っていた、でも多分楽しんでるはずだ彼と一緒になることが多い部隊の隊員たちは揃って隊長が今日は何人倒しただとかよりスリルのある戦場に率先していくことが多いだとかを言っていたからだ、私自身彼の仕事姿を見たことはないけど多分笑顔なんだろうと思う、ウィンが笑顔を絶やすことが私には信じられないのだ。


 今日の仕事を終えて食堂で仲良く話し込んでいた成幸と遥斗と合流すると私はさっき送られてきた英語のメールを二人に笑顔で突き付ける。

『パーティーの前に槍一に会いたい、一緒に来てくれないか?』


 メールを見た途端二人は嬉しそうな顔をする、まあ当然うれしいだろう、私もうれしい。

「こいつはほんと律儀だよな、まあうれしいけどよ」

「ウィンか、もう何か月も会ってないよね」

「うん、最近はお互い忙しかったしね、二人もよさそうだしいつものところで会うように返しておくから」

「おう」

「いやだって言ったことないしね」


 ウィンにいつもの場所で会うようにメールを返すと本当にすぐに返事が返ってきた。

『もうついてる、ここのパンケーキは本当においしいね、クリームもいいけど果実がとっても新鮮だ』

『おすすめはブルーベリー』

『それも頼むよ』


 まあ別に何でもいいけど夜のパーティーで食べれなくなりそうね、いやまあかなりの健啖家だし問題はないだろうけど。

「パンケーキを追加で頼んで待ってるって、ウィンが太る前にさっさと行きましょ」

「本当に相変わらずだね」

「ついでだし何枚食ってるか賭けるか?」

「いいわね、私は6枚」

「じゃあ僕は4枚かな」

「ここは10枚だろ」


 私の車で基地を出てウィンの待っているカフェに向かう、二十分ほどでそこに着きおしゃれな内装を楽しみながらウィンを探しているとそこにはブロンドヘアーが綺麗な白人の健康的な肉付きをした180cmくらいの男がパンケーキが乗っていたのであろうたくさんの皿を重ねて〆のコーヒーを楽しんで私たちを待っていた。

「会いたかったよ! 元気だったかい?」


 英語で話す彼はすごく元気な声で私たちに問いかけるけど私は少し残念な気持ちになりつつ晴れやかに答える。

「元気よ、ウィン」

「久しぶりだな!」

「元気だよ、ウィンは?」


 席を立って私たちを順番にハグしながら彼は元気に答える。

「めっちゃ元気! 20枚も食べちゃったよ!」


 流石に多すぎだ、今までもそんなに食べたことなかったのに……。

 後から話し合った結果今回の賭けは無効となり、なんとも言えない気持ちで私たちはウィンストン・エドワーズと再会した。



1/10P

アメリカの民間軍事会社『タングステンハート』についての報告書

著 //////

『タングステンハート』(以下、対象乙と呼称する)はアメリカで発足し隊員は現在三万名を超える大規模なPMCとなっている。

主な活動内容は警護や軍事支援、ボランティアとなっているが確定したソースはないが////////////といった活動をしているという情報まで存在する。

攻撃ヘリや装甲車、最新世代の戦車まで保有しておりアメリカ国内でもかなりの影響力を持っていると思われる。

戦闘区域での行いに特段の問題行動は見られず評判のいいPMCとなっている。

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///////////////////////////////////

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 上記が実際に参加した軍事作戦の一例となっておりそのどれでも大量の戦果を挙げている。

 各作戦の詳細なレポートは別紙を参照。


 

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