我輩、公園にて
人間達に散々、虐め抜かれて早くも十年。
そろそろ世代交代じゃない? なぁ、お前昔もだろうが。
荒れた毛並みは生れつき、だが汚れは違う。
そりゃ飯も無いし、ゴミは漁るよ。仕方ないだろうが。
だがな、でも、それでもな、優しい奴もいたもんだな。
ランドセル背負った小さな男の子は給食のパンをくれた。
初めて知った優しさは、違和感のある温かさだった
初めて知った感動で、今まで知らなかった涙を知った
何年間もこれから、一緒に遊んでいいんだな?
どんどん嬉しくなってくる。なぁ、君は俺を汚いと思わない?
何かがさ、似てるんだ。ランドセルの汚れとか
同じ場所についた傷。左頬についた傷。
でもな、同じものを持ててさ、本当に嬉しかったんだよ。
君が俺と同じように、いじめられていると知った夕方も
初めて知った悲しみは、違和感のある冷たさだった
初めて知った罪悪感、人々も同じような傷を持つのか……
今日も公園で男の子は殴られ蹴られ。何もしていないのに……
だからさ、俺は知っていたから、男の子がいない間に
敵討ちにと飛び掛った。本当は怖かったよ。人が怖かったよ。
でも、君の優しさに比べれば、こんなもん軽いモノなんだ。
初めて知った寂しさは、今までのとは違う温かさがあった
何度も背負った孤独感、君を置き去りに俺は……
拝啓、ランドセルの男の子。元気で生きていってください。
俺は君の優しさを知っている。頑張って生きろ!じゃあね。