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黒の皇子と七人の嫁  作者: 野良ねこ
序章 旅の始まりは波乱と共に
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7.ドキドキ初体験!!

 初仕事が終わりギルドに戻ると、クエスト完了の報告だ。ミーナっ、ミーナっ、ネコ耳ミーナっ!


 浮かれた気分でカウンターに向かえばミーナちゃんが愛くるしい笑顔で「お帰りニャ」って言ってくれるので、ギュッてしたくなる衝動を抑えて笑顔で「ただいま」とだけ言っておく。

 ギルドカードと採取してきた物を渡すと、奥に座っていたペレットさんが依頼書と物が合っているかどうか調べてくれる。手に取り見ただけで良し悪しまで分かるなんて、さすがはプロだな!


「レイくーん」


 終わったみたいなので再びカウンターに顔を出すと、ギルドカードと一緒に報酬の入った小さな皮袋をくれた。初めて自分で働いたお金だっ!「明日も頑張ってね」なんて美人さんが微笑んでくれるもんだから嬉しくもなる。


 だが、受け取ったはずの皮袋が宙を泳ぐ……んんっ!?


「そこそこ稼げたな。ほれ、お前達の取り分な。後は俺のだ」


 皮袋から摘み出されたお金。上から降りてきたミカ兄の手に合わせて自分の手のひらを出せば、そこに置かれる銀貨が二枚。アルとリリィも同じように貰い渡された初めてのお金をまじまじと見つめるが、これが多いのか少ないのかは分からん。

 だが一つ言えるのは、教えてもらったとはいえ仕事をしたのは俺達三人なのに、残りの金をミカ兄が持っているって事だ。


「なんでミカ兄が持っていくんだよっ、ズルイぞ!」

 文句を言って見たが真顔で呆れられた。


「お前なぁ、借金してるの忘れたのか?まぁ、この分なら五日も頑張れば綺麗な体になれるな。せいぜい頑張れよ?

 さて飯行くぞっ!今日は初仕事成功の祝いに奢ってやるよっ、酒でも飲んでみるか?」


 うぉぉぉ、酒!初体験ですわぁ、ドキドキする!

 金を奪われた事などすっかり忘れ、期待に胸を膨らませギルドの中の食堂に向かう。途中、またしても強面のオジサン達が声をかけてくるが、初仕事完遂で自信が付いたせいなのか、なんだか今は怖いとは思えなかった。


「よぉ坊主達、仕事はちゃんとできたのかよ?泣いて帰ってきたんじゃあるめーな?」


 したり顔にVサインで答えてテーブルに着くと、ミカ兄が適当に注文してくれる。今日はどんなご飯がくるのかとワクワクしながら料理の到着を待っていた。


 料理より先に酒がきた!人生初のお酒だ!エールって名前らしく、なんか泡が立っていて、口に入れるとちょっと……と言うか、けっこう苦い。そのまま飲み込むと胃の辺りが熱くなるという不思議な感覚。しかもこれがお酒の効果なのか、頭が軽くなったかのように ファ〜ッ となってちょっと気持ちがいい。なんだこれ、病みつきになりそうだ!


「美味いか?俺もこれが好きなんだわ。お前と呑めるようになるとはなぁ」


 しみじみ言うミカ兄は ゴクゴク と豪快に飲み干してしまう。早くねぇ!?

 アルは感覚を確かめるようにしながらも美味しそうに飲んでる。でもリリィは苦いのが嫌なのか「甘いお酒ちょうだい」って、エールの入ったジョッキをミカ兄に押し付けながらも別の物を頼んでた。

 遅れてやって来たご飯とも良く合い、エールを飲みながら バクバク と食べ進めていれば気が付いたら一杯飲み干していた。ミカ兄がお代わりをくれたので、飲んで食ってと欲望の限り繰り返す。


 初めてのエールは炭酸のせいか苦味に慣れればすごく飲みやすく、三杯くらいは飲んだのかな?頭が麻痺しているような不思議な感じ。

 フワフワとする感覚が気持ちよく、いつもより言葉が出るのが遅いと言う体験したことのない奇妙な状態。そんな自分が自分で笑えてくる。呂律が回らなくなるとはこの事なのだろうとどこか他人事のように思っていれば、歪んで見えにくくなった視界が回転を始めてしまい何が起こっているのか理解が追いつかなくなった。



 次の瞬間、何故かベッドで横になっていた。すぐ隣には両手で持つコップに口を付けつつ物思いに耽るリリィが椅子に座ってる。目を覚ました俺に気がつくと呆れた顔しやがった。


「いきなり飲み過ぎよ。突然椅子から落ちるんだもの、世話するこっちの身にもなってよね」


 身体を起こせば、ハンマーか何かで叩かれているのかと思えるほどの頭痛がする!視界は揺れており、回り始めては戻り、戻ってはまた回り始めを延々と繰り返していて気持ちが悪い。

 小言を言われたのは理解できたが、体調が悪過ぎてそれどころでは無い。


「はい、水。ミカ兄が起きたら飲ませろって言ってたわ。それ飲み終わったらそのまま寝たら?今日だけはベッド使ってもいいってさ」

「ああ、そうする。頭割れそう」


 リリィは「おやすみ」って言いながら部屋を出ていく。俺はそのままベッドに倒れ込むと、次の瞬間には夢の国へと旅立っていた。




 朝、目が覚めると頭痛は治ってた。


「やっと起きたか、人のベッド取りやがって。宿代寄越せっ、この野郎」

って、ミカ兄が笑いながら言うので、俺も笑って誤魔化しておく。


 みんなで宿の食堂に下り、朝食を取るとギルドに出かけた。

 せっせと働いて借金返さなくては。


 昨日と似たような採取のクエスト。また本を見せてもらい、街の外に出かける。

 俺達が採取してる間ミカ兄も一緒に居てくれるけど、大きな欠伸をしていてとても暇そうだ。こんなことに付き合わせて申し訳ないけど、もう少しだけ我慢してもらおう。



▲▼▲▼



 仕事を始めて五日目、今日がんばれば借金が無くなる!だいぶ野草の種類も覚えて、それなりに早くこなせるようになってきた。

 今日の分の仕事が終わったところでミカ兄が少し森を歩くと言うので付いて行く。場所は違うがなんだか久しぶりに感じる森だった。フォルテア村の周り同様、静かで特に危険も感じない。


「明日から森で採取するからな、今日はちょっと様子見だ」


 そういうことらしい。

また違うのを覚えるのか?そのうち頭がパンクするぞ……。



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