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黒の皇子と七人の嫁  作者: 野良ねこ
第三章 騎士伯の称号
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42.自分の力

 ゆっくり、ゆくっりと落ち着きを取り戻していけば誰かの呟きが耳に入ってくる。顔を向ければ青い顔で俯く見たこともないサラの姿。


「私の……私のせいだ。私があの時引き止めなければ……早く返してあげればこんな事には……。ごめんなさい……全部、私のせい……」


「サラ、落ち着くんだ。過去を悔いる時は今ではない。今は前を向いて進むべき時、君なら出来るはずだよ」


「そう……そうよね。そうだわっ、私は何してるのかしら!今が一番肝心な時、それなのに……あぁ、ありがとうお兄様、目が覚めたわ。


 私に出来る事は……あるわね。


 サルグレッド王家に仕えるメイドの長達よ、サルグレッド第二王女サラ・エストラーダ・ヴォン・サルグレッドの名において命じます。

 昨日、王城に居た全てのメイド達の行動を調べなさい。王家雇い、各貴族付き、臨時雇用、全てです。レイシュア様を貶める陰謀に加担した悪しきメイドを探し出すのです!

 さぁ時間がないわっ、全ての業務に優先してください。それに伴う責任はレイシュア様救出後、全て私が受け持ちます。今日中に終わらせるのよっ、お行きなさい!」



「「「「「はいっ、サラお嬢様!」」」」」



 さっきまでとは打って変わったキリッとした顔でメイド長達に指示を出すサラ。いつもは私ほどではないにしても、ほんわりとした穏やかな性格なのに、王女様になると途端に人が変わるのね。サラ、カッコイイわ。私では到底真似できない、凄い。


「アンナっ、アンナ!!居るんでしょう?」


「はいはい居ますよっ、何ですか?大声上げて……はしたないですよ?」


 奥の部屋から出てきたおっぱいの大きな褐色の肌の女の人は、一応プリムをしていたのでメイドだとは思うけど……けど、コレットと同じでメイド服を着ていないところを見るとサラの専属とか特別なメイドさんなのかな?

 サラとは長いことお友達でいるけど初めて見る人ね。


「この部屋の寝室から出て来ておいて何がはしたないですか!?何故そこに居たのかは不問にします。貴女はコンラハム・パチェコという男とパチェコ男爵家について調べなさい。分かったらさっさと行くの!」


「へーへー、人使いの荒い事で。そう思わないか?コレット」


「思いませんわ。メイドとは主人の為に身も心も全て使い、尽くすものです。嫌なら辞めなさい」


「あっそ」と言って “あっかんべー” をしながら出て行ったわ、変わった人ね。サラがその様子を見てぷりぷり怒ってたけどコレットとあの人は知り合いなのかな?


「お父様とお兄様は議会を開いて時間を稼いで下さい。もしあの男の仕業ならレイシュア様の刑の執行は早いかもしれません。出来るだけ時間を稼いでくださいませ」


(父上、サラってスイッチが入ると母上の様になりますよね)

(やっぱりお前もそう思うか?)


「こそこそ話してないで早く行ってください!まったく、この時間がない時に……」


「サラ、私は何すればいい?私も何かしたいの」


 目をパチパチさせて私を見るけど、何か変なこと言ったのかな?


「モニカは部屋で寝てなさい。貴女の出番は今ではないわ。でもきっと貴女が必要になる時が来る。その時、直ぐに動けるようにしておくのよ」




 背中を押された私達親子は部屋から追い出された。仕方なく部屋に戻ってみたものの居ても立っても居られない……。

 私にも出来ることがきっとあるわ……そうだ、お兄ちゃんに会いに行こう!お兄ちゃんの事だ、きっとションボリしているに違いない。私が慰めてあげなくては!


「コレット、お兄ちゃんって何処に行けば会えるのか分かる?」


「地下牢と言ってましたから、恐らくの場所なら分かります。ですが極刑の罪人に面会するには許可がいりますよ?」


 成せば成る!お願いすればきっと会わせてくれる。だって会うだけなのよ?

 此処でじっと待つよりはいいだろうと思ったけど、とんでもなかった。


 地下牢の門番さんに許可が必要だと聞いて裁判官さんにお願いしに行ってみたけど『無理』って二つ返事で取り合ってすらもらえなかった。

 どうしてもお兄ちゃんに会いたかったので何度も何度もお願いしたけど、最後は衛兵さんが来て部屋に連れ戻された……私って何の役にも立てないのね。


 暫くはサラに言われた通り部屋でボーっとしてたけど、やっぱり駄目だ。お兄ちゃんが心配で堪らない。



 今朝訪れた国王陛下の執務室に行ってみたけどサラどころか誰も居なかった。

 あれれ?っと今度はサラの部屋に行けば、机に積み上げられた紙の束に熱心に目を通している──何か分かったのかな?


「モニカぁ、部屋で休んでなさいって言わなかったっけ?まだ何も分かってないわよ?」


 書類の山から顔を覗かせると呆れた顔でチクリとお小言をくれる。


「だって、何もしないで待つなんて無理だよ。私にも何かさせてよ!」


 ため息を吐き吐きはしたけど、すぐに笑顔を浮かべる。サラが手元にあった呼び鈴を鳴らせば、少しだけ間を置いて一人のメイドさんがやってきた。


「休憩するわ。モニカに美味しいお茶(・・・・・・)をお願い」


「かしこまりました」


 部屋から出て行ったメイドさんは、五分程で銀のワゴンと共に戻ってくると三時のお茶(ティーブレイク)の用意をしてくれた。

 丁度喉が渇いていたのでありがたい……ふぅぅ、美味しいわ。でも変ね?温まったからなのかな?急に眠くなってきた。


「眠いなら寝てなさい。後でちゃんと起こしてあげるわよ」


 サラの声に安心したのか、言葉の終わりと同時に意識が朦朧とし始め、慌ててカップを置いたところでソファーに倒れ込み、夢の国へ旅立つことになった。




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