呆気ない時は呆気ないんです。
軍勢を引き連れ海津城に入城した。
海津湊と熊浜湊は航路で繋がっているので何度か来たことがある。
城主の【田屋 明政】とオヤジとは昔、跡取り問題で一悶着有ったが気にしてないらしい。
数少ないオヤジの政治手腕を評価している1人だ。
今回の戦いでは籠城して城を守ってもらう。
田屋城、沢村城も同様だ。
兵を休めてから今津まで出よう。
今津はとにかく抑えたい。湖西に湊が欲しい。
そうすれば京と熊浜が繋がって流通の物量が増える。
かものはし隊の情報では高吉の動きは遅いとの事、兵を休めても今津は十分抑えられる。
もう義賢は鎌刃城を取り囲んでいるのに遅い動きだ。
その頃、一益は佐和山城を眺めていた。
兵を佐和山城から離れたところに置いてあり、佐和山城から出る者、佐和山城に来る伝令は伊賀忍者によって排除している。
浅井が六角を恐れて鎌刃城に援軍も出さないと言う噂も流している。
佐和山城の城主は【小川 伯耆守】なのだが義賢と共に今は鎌刃城を取り囲んでいる。
元々、浅井は六角に臣従していて久政の六角への態度で浅井の事を侮っている。
今回も鎌刃城が攻められても援軍も出さないと
六角に攻められたら浅井は滅ぶしかないと…
佐和山城の城主が不在で守備兵も少なくなっている。
さらに外との連絡も絶たれているが気付いていない。
実際には久政の兵が現れ、鎌刃城を囲んでいた義賢は抑えの兵を置いて久政の兵と対峙している。
一益は夜討ちを仕掛けるつもりだが藤兵衛と智仙から配下の者がすで城内に潜入しており、騒ぎを起こして混乱させる事が出来ると報告を受けた。
また、戦を待ちきれない慶次郎が100の兵を佐和山城近くまで連れて来ている。分散させて巧みに隠しているので佐和山城側は気づいてない。
今、動けば久政様への強力な援護となる。
慶次郎、藤兵衛、智仙が好きな様に動いて混乱した頃に残り500の兵を引き連れ突入すると告げ兵の元に戻った。
しばらくすると藤兵衛と智仙が城内を混乱させ門の閂を抜き城門を開き慶次郎が100の兵と突入したと報告が入った。
すぐに佐和山城に向かったがすでに慶次郎によって制圧されていた。
呆気なく落城したのは伯耆守がギリギリまで兵を連れて行ったのが原因だった。
佐和山城の城門をくぐる一益を返り血塗れの慶次郎が笑顔で迎えた。




