武田 四郎なのです!!
【武田 四郎】
まさか俺が浅井に人質として出されるとは…
しかも俺に付けられる者たちは工藤 昌秀、三枝 昌貞、武藤 喜兵衛と父上お気に入りの者たちだ。
完全に俺を監視する為で俺の行動は全て父上の元に行くのだろう。
俺のまわりは全て敵だ!!
浅井の人質になっても酷い扱いを受けるだろう…
我らを警護している滝川 慶次郎殿は楽しい毎日が過ごせるだろうと笑っているが俺の心は晴れない…
慶次郎殿は運動不足で身体が鈍っているから早く修練場で修練したいと言っている。
毎朝、部隊の者たちと修練で立ち合っているのを見ているが慶次郎殿は化け物だ!!
部隊の者の話では慶次郎殿は【浅井四鬼衆】の1人に数えられているとの事。
立ち合いを申し出たが長政様との対面前にボロボロにしたらどんな目に合うかわからないので対面後ならいつでも相手にすると言ってくれた。
しかし、浅井の地に行けば自由な行動は出来ないから立ち合いが出来るのか疑問だ。
近江国に入ったらガラリと雰囲気が変わった。
美濃国も栄えていてびっくりしたが近江国に入ったらさらに栄えてる。
まず街道が違う。
広々としており真っ直ぐな道が多く商人たちの行き来が激しい。
これなら軍勢も素早く移動出来るだろう…
完全に攻められる事を考えていない街道の作りだ。
観音寺城へ近づくにつれて人が多くなり賑やかになって行く。
浅井領の民衆と甲斐国の民衆との違いが一目でわかってしまった…
表情だ!!浅井領の民衆は皆、笑顔で生活をしており、慶次郎殿の兵たちをを見て子供たちは兵たちに対して手を振り、兵たちも手を振り返している。
甲斐国では民衆は皆、暗い表情で生活をしており、兵たちを見ると怯えた表情をしていた。
甲斐国ではそれを見ても何も思わなかったが浅井領の民衆の表情を見て衝撃を受けた。
衝撃の連続だったが観音寺城に着き、浅井 長政様と対面した。
俺より1つ年上なだけなのになんだよ、この貫禄は…
俺は【武田 四郎】と名乗ったら長政様も名乗り、これからよろしくと言われた。
また長政様は昌秀、昌貞、喜兵衛にも名乗るように言い3人が名乗ると驚いた顔をした。
長政様は工藤 昌秀と言えば信玄殿の側近で戦上手と聞いており、重臣になるのも時間の問題だと聞いている。
さらに三枝 昌貞と武藤 喜兵衛と言えば奥近習六人衆の2人じゃないか!!
信玄殿の側近中の側近であり未来の武田を背負う人材ではないか!!
この様な人材を付けられるとは四郎は信玄殿に期待されているらしいな!!
浅井で得た経験を今後に活かしてくれたら嬉しく思うと笑顔で俺に語りかける。
長政様の家臣の鵜飼 熊吉殿が昌秀に対して甲斐国との繋ぎの忍びがいたら私の所に連れて来るようにと告げていた。
間違えて排除しない様にする為だそうだ。
昌秀は素直にわかりましたと答えていた。
長政様はさあ、行こうか?
と席を立ち、俺たちをどこかに連行して行く。
修練場へ連れて来られて竹刀と言う竹で作られた刀を渡され長政様と立ち合う事に!!
竹刀という物に戸惑ったがなるほど、怪我をしない様にする為の物か!!
怪我をするのが怖いのか!!こんな腑抜けに負ける訳が無いと立ち合う。
刀術には自信が有り、昌秀、昌さん、喜兵衛も認めてくれている。
3人は俺が長政様に勝つと思って、にやけている。
しかし、気が付いたら俺は地面に倒れれていた…
何が起こった!!訳がわからない…
俺は立ち上がって長政様にまた立ち向かう!!
また、気付くと地面に倒れれている。何度挑んでも結果は同じだった!!
流石に動かなくなると長政様は昌秀、昌貞、喜兵衛に対し3人で掛かって来るように挑発する。
3人で掛かっても瞬殺されていた。
そんな俺たちを見て修練場にいる武芸者や兵たちが俺たちを守る様に陣形を組んでいる。
しかも俺たちから長政様が見えないように配慮してくれている。
鐘巻 自斎と名乗る者が
「アレは化け物だから関わらないように」
と助言をくれた。
長政様の傅役の藤堂 源助殿が無言で小太刀ぐらいの竹刀を2本渡していた。
長政様の表情が嬉々としている。
何が起きるのかと思ったが地獄の門が開いた!!
次々と武芸者と兵たちが沈んでいく。
全てが終わると長政様は風呂で汗を流すと言って去って行った。
なんなんだあの化け物は!!
昌秀たちも四郎様の事を化け物と思っていたが上には上がり、四郎は何もできずに敗北した。
翌日の朝も修練場に連れて来られたが長政様は浅井四鬼衆の一人、上泉信綱殿と立ち合う事になんだ!!
正真正銘の化け物同士の戦いだ!!
皆、手を止め2人の戦いを食い入るように見ている。
激闘の末、長政様が勝利した。
身体が熱くなりじっとしていられなくなり、近くにいた長政様の側近の井戸村 光慶殿に頼み立ち合う。
助言などをもらいながら何度も負けながらも挑み続ける。
勝てなかったが良い戦いが出来たとおもう。
自分の弱さを痛感したが今日だけでも成長した手応えを感じた。
これからも修練場に通う事にしよう。




