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目が覚めて、ベッドから立ち上がったマリーネは脇に掛けていたガウンが無くなっていることに気づいた。

まさか、ね?

部屋の中に一人でいるにもかかわらず少し恥ずかしさを感じながら、透けたネグリジェのままクローゼットを確認する。

クローゼットの中にはやはり着る服が一つもない。

マリーネは自分の考えの甘さを感じながら、ベッドの中へ戻った。

朝食は…無理そうね。

けれど、最近サボりがちだったダイエットにはちょうどいい。

餓死する前には終わるといいけれど。

マリーネは時が経ち、メイドが部屋を訪ねてくるのを待っていた。


トントン。


ドアの叩く音がして、マリーネは「はい、どうぞ。」と返事をする。

思ったよりも早くに解放されたとマリーネは思ったのだが、入って来たのはシリウスだった。


「おはよう。朝食の席にいなかったから…体調が悪いのかと。」


マリーネの寝ているベッド近づいてくるシリウスにマリーネの心臓が早鐘のように鳴っている。


今はシーツにくるまっているが、この姿がバレたらと思うと戦々恐々とする。

潔癖なシリウスがマリーネの今の不潔な姿を見ては、確実に呆れられるだろう。


「おはようございます、シリウス様。本の少しだけですから、お気になさらないで…」


しかし、シリウスは距離を詰め、マリーネの額に触れる。

躊躇いなく触れるその手に、マリーネは以前のような穢らわしいという思いが払拭されたような嬉しさもあったが、家族ではない男性に触れられる恥ずかしさもあった。


「…熱は無いようだな。とりあえず暖かくして…」


シリウスがマリーネにかけてあるシーツを手にとって、肩まで掛けようとするが、マリーネはそのシーツを掴んで離さない。

そして、シリウスはマリーネのその違和感に気づく。


「違います!着る服が無くて…」


思考停止したように固まってしまったシリウスにマリーネは訴えかける。


「そんなことは無いだろう…」

「急に体型が変わってあまりドレスを用意できなかったのです。」

「しかし…」


シリウスはそう言いかけてまた固まってしまった。

次は何かを深く考えているようだった。


「服を買いに行こう。本当ならばこちらでも用意するべきだったのだ。」

「それでは、今洗濯中のドレスが乾いたら…」

「けれど、それだけでは無いだろう?」


シリウスがマリーネのクローゼットに向かって歩みを進め、遂には開けて中を確かめた。

真実を悟られたこと知って、マリーネは諦めたように他の言い訳を考える。


「最近、シリウス様が優しくしてくださるので、主人思いの使用人たちも悪女に誑かされてしまったと勘違いしてしまったのですわ。だから、あまり怒らないあげてください。また悪女に誑かされたって悪循環になりますから。時間が経てばきっと分かってくださいます。」


シリウスの顔は納得していないようだったが、マリーネにはこれでよかったのだ。


「…すまない。」


マリーネの元に戻り、シリウスが頭を下げる。

サラサラと肩を流れる髪さえも綺麗で、その髪のごとく綺麗な世界でシリウスと使用人は生きているのだと、マリーネはそう思った。

決してマリーネが入れない、汚してはいけない世界…


「シリウス様は悪くありません。というより、本当に誰も悪くないのです。強いて言うなら、私の悪女顔でしょうか?」


場を和ませようと自虐するマリーネの頰にシリウスが触れる。


「君は悪女ではない。こんなにも…」


こんなにも?

マリーネは首を傾げたかったが、シリウスの手が頰にあるため、目をまん丸にしてただシリウスを見つめていた。


「…まるで過保護な兄ですわ。」


思わず、マリーネの心の声が漏れる。


「兄…だと?」


シリウスの顔がムッとした顔に変わった。

馴れ馴れしかったかしら?


「弟のガイルもこのように過保護なのです。シリウス様は年上なので兄の様だと…」

「私は兄ではない。夫だ。」

「ええ。シリウス様は私の夫でもありますが、友人…だと…」


マリーネの頰に当てられていたシリウスの手がなぞる様にマリーネの首から肩へと滑り落ちてゆく。

その不思議な感覚にマリーネはピクリと肩を震わせる。

そしてシリウスは気がついた様に手を離し、マリーネも何故変わらないが安堵する。


「今からドレスを持ってくる。ブランチをした後、買い物だ。」


そう行って部屋を出て行ったシリウスをマリーネはポカンとした顔で見送った。

復活しました。

そして今先をどうするか悩んでます。

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