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夢幻旅行  作者: るい
第一章
5/24

いつから一日が二十四時間だと勘違いしていた?

昨日は投稿し忘れてました。

まあ、誰も待ってない気がするのであんまり気にしません。

夜中に目が覚めた。


狼とのおいかけっこやバルナート式スパルタ塾で疲れていたから、かなりぐっすり眠ってしまったつもりだった。思ったより、慣れない環境で緊張していたのだろうか。

欠伸しながら窓の外を眺める。

町の方でまだ明かりのついている家がぽつり、ぽつりとあった。


それからふと、空を見上げた。


「おぉ……」


宝石をぶちまけたような、空一杯の星々。

白だけじゃない。赤や青、黄色。カラフルにまたたく夜空。まさに絶景である。

こんな星空、東京育ちの私は写真や絵でしか見たことがない。そして絶景とは、えてして写真で見るのと実際に見るのとでは、感動が段違いだ。


足音を忍ばせ、庭に出る。

外は肌寒かった。

夜空はどこを眺めても星の光で満ちている。


「あ……月が……」


大きな青白い月と、それに付き添うような小さな月が真上に浮かんでいる。地球とは違って、衛星が二つあるのだろう。

町を包み込むような、優しい月光だった。


しばらく星空を堪能した。


「くしゅんっ」


と、くしゃみが出るまで。



それから時間は流れ。


「…なんでまだ暗いの?」


震える声で呟く。

星空を眺めてからまた布団に潜り、浅い睡眠を繰り返していた。寝過ぎたのか、体がだるい。


おかしい。感覚としては少なくとも十二時間は余裕で寝ているのに、夜が明ける気配はない。

それに、どんどん気温が下がってきている。今では布団を被っていても、体が震えるほどだった。

頭まですっぽりと布団の中に納め、体は亀のように小さく丸めて、それでも震えが止まらない。

砂漠の夜は氷点下だという。ここも砂漠とまではいかないけど、乾燥し、樹木の少ない土地だ。夜は冷えるのだろう。


胃や腸がきりきりと痛い。しばらく前から空腹過ぎて音もならなくなっていた。

はあ、夜食によく食べてたカップ麺が恋しい。

もはや食欲も感じなくなってきた。今カップ麺が目の前にあったとして、胃が受け付けるかどうか……


今は何時くらいだろう。

スマホで確認するため起き上がる。うぅ、布団が無いと空気が刺すように冷たい。温もりの残る布団を、体にきつく巻き付けるようにした。

裸足で床に降り立つと、氷のように冷えている。


震える手で引き出しからスマホを出して画面を表示する。

暗闇に慣れた目には眩しすぎて、とても直視できたものじゃない。慌ててバックライトの明るさをゼロにした。

急な刺激に目の奥を痛めながら、時刻を確認し、絶句した。



16:02



落ち着こう。

寒いからとりあえずベッドに戻るんだ。


私は努めて冷静になり、状況を整理した。

まずスマホの日時は、私がこちらに来た翌日の、夕方四時だと表示している。

異世界に来てバグったのかもしれない。

丁度、分の表示が03から04に変わったので、頭の中で、いーち、にーい、とカウントする。

六十まで数えた時、16:05となった。

私の体内時計も、昼や夕方になってなきゃおかしい、と訴えているので、とりあえずスマホの時間を信じよう。


では何故、まだ夜なのか。

本来なら日が昇って、また日が傾き始めるくらいの時間のはず。

何かの天変地異か?異世界人である私がこの世界にきたせいで時間の流れが変になったとか。

しかしバルナートさんやヤルンさんが異変に気付かないのもおかしい。

二人だけじゃない。町の方を窓から窺っても静かなものである。

まさか皆ぐっすり寝てて、この異常事態に気付いていない?

二つの月は、町の方角に傾いていた。


ふと、夕焼けを思い出した。

私がこの世界に来たときには空は既に赤らんでいた。

それから、バルナートさんたちに助けられて、屋敷に来て、食事、入浴、勉強。どう考えても、あの夕焼けは長過ぎた。

地球の日暮れと比べたら、二倍くらいは……


いや、そもそも、異世界が一日二十四時間だという保証なんて、無いじゃないか。

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