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「ハルくんの吸った薬、別物で良かったねえ。問題の薬は純粋百パーセントの人間が使用すれば、一度で依存確定というか一呼吸でくらっくら確定ものだったし。あとは在庫と製造元があるのなら言ってもらうだけだよ」

「ハルにも異常はなかったようだ」

「あっははほんと危ない危ない。危ない薬吸っちゃったなんて聞いたらレイジくんが怒るだろうし。彼は実にハルくんを気にかけているからね、あんなに分かりやすいことは他にないよ」


 回収された売人が所持していた薬を全て分析し終え、L班の部屋に入ったサディは四つすべての目を笑いの形に変えながら笑った。

 リュウイチによりつけられた灯りが室内を明るく照らし、サディはよいしょと椅子に座る。

 ハルカとテンマはもう帰っており、室内にはサディとリュウイチの二人だけだ。


「本当ハルくんもハルくんですごくなついてるし。レイジくんになつく子なんて滅多にいない、というより皆無に等しいものだから珍しかったけど、聞いたところによるとレイジくんがハルくんを一時期引き取ってたっていうけど本当?」

「ああ、そういうこともあったようだな」


 リュウイチが少し思案し、簡単に言うとと前置きして続ける。


「六年前、ハルのお祖父さんが亡くなって、葬式のとき身寄りのなくなった彼女をレイジが連れて帰ったようだ」

「レイジくんがねえ意外だね。彼にもそういう面があるんだなあ」


 興味津々な様子で四つの目が瞬かれる。


「だが今から二年前に特殊能力保持者と分かり、組織が引き取って……と言っても何から何まで世話をするわけではないが、知っての通りもう一緒には住んでいない」

「レイジくん、手放したの?」

「特殊能力のこともあるから任せた方がいいと、俺はそう聞いた」

「それはそうだね。レイジくんが混血だとは言っても吸血鬼の血の方が濃いでしょ。まあどうりで仲がいいわけだ、それじゃあ納得。最初はあれだけ若い人間の女の子が来て色んな意味で大丈夫かと思ったけど、少なくともレイジくんが怖くて辞めちゃうことはないね」


 あはは、と冗談かどうか、サディは当の本人がいないことを良いことに笑う。


「もしこの先危険すぎて辞めちゃうかもしれないなら、僕の助手になって欲しいな。飲み込み早いし、こっちより向いてると思うんだよね」


 現場より、事務方、と。手伝いに来てもらうほどサディはハルカの情報処理能力をかっている。

 しかしながら、と肩をすくめる。


「でももう半年経つから、山場は越えたかな」

「――そうか?」

「え?」

「上手くいっているように、見えすぎると俺は思う」








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