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天使の血管  作者: 室木 柴
夢現の子ら
20/35

エピローグA

 花のかんばせというには華やか過ぎる。毒花にしては純な瞳が眩し過ぎる。

 鳩はあまり彼女を可愛いだとか美人だとは思わないが、一般的にはそれなりの部類に入るのかもしれない。

 ひらひらと舞う笑み――相貌には掠り傷もなかった。


「やあ、鳩くん。気分はいかがかな」

「こんにちは。虎斑さんは」

「いつも通りさ」


 立っているのはつらいだろう、中にお入りよ。

 はきはきと喋って自宅の扉を大きく開け放つ。


「いいんですか? では、失礼しまーす……」


 そろりそろり。理由もなく怯えながら玄関を覗く。

 明るい陽射し。壁に飾られた華奢(きゃしゃ)な花と絵。チェシャ猫の家なのだから摩訶不思議ワールドが広がっているのでは、と危惧していたのだが。完全な杞憂であったようだ。


「もう、何を警戒しているんだい。お茶だすから、早く椅子に座って。話を聞かせてくれると嬉しいな」

「え、すみません」


 居間と思われる部屋に大人しく通される。

 五人も入ればいっぱいになりそうだ。白いレースのカバーを掛けたローテーブルが一つ。高さが調節できる黒い木製椅子が四つ。

 外に直接面していて、引き戸そっくりの大窓が行儀よく整列していた。晴れ晴れとした向日葵色の光が白いカーテンを透かす。


「お待たせしてごめんね。ここまでまっすぐ来られた?」


 ぼうっと揺らめく陽光を浴びていたところに響くノック。再び登場した虎斑はお盆の上にガラス製のティーポットと白いカップを乗せていた。

 美しく澄ましたポットの中で茶葉が踊っている。湯は落ちかけた夕日の色。


「そうだ、紅茶は平気? これニルギリっていうのだけれど」

「はい、大丈夫……だと思います」

「よかった。季節じゃあないが好みがわからなくて」


 テーブルに盆を置き、慣れた手つきで紅茶を注ぐ。ふわりと湧き上がった柑橘系の甘い芳香が肺を満たしていく。

 断ってから一口含む。味はしっかりしているが予想していたより癖がなく、すっきりと飲めた。


「美味しいです」

「ふふ、ありがとう」

「いえ。あっと、ここまでは普通に来れました。お気遣い感謝します」


 本当は鳩の新しい家からここまで来るのに文字通り紆余曲折(うよきょくせつ)があった。だがそれは些事。


 あの大人げない『仕返し』から二週間。行動というものには反動が伴う。佑を助けようとして報われなかった衝撃も凄まじかった。

 決断が大きければ大きいほど。無謀であればあるほど。

 浅い鳩の経験ではその認識は正しくないのかもしれない。されど『経験』とは僅かながら確かな何かを含む。


 あの時、逆上して殴りかかった桃岡を止めたのは鳩だった。

 悪鬼の如き憤怒を浮かべ迫る彼女が怖くなかったといえば嘘になる。何が恐れを乗り越えさせたか。ありきたりな美談。虎斑を守らねば、という咄嗟の思い。


 後から思えば「こんな癇癪持ちの子どもじみた人、おそるるに足らず」という油断もあった。異能が開花してからの数年間、怪我らしい怪我をしたことがないという無知と忘却も手伝っただろう。


 伸びた手足で割り込み、彼女の腕を纏めて力づくで停止。

 いつものように液体化して躱せないとわかっていた。

 覚悟して庇ったのだが、予想外にあっさりと取り押さえてしまった。


 佑のみならず人とは皆このように脆いものか。

 一方で、真木は見ているだけだった。

 怯えて身じろぎしていたのかと見やったが、影に隠れた彼の顔色は悪くない。


 防ごうと思えば防げたものの、防ぐ気がなかった。かなり穿った見方だが、それぐらい晴れ晴れとしていたのである。

 やはり妙に好きになれない。


 同時に《エンデュミオン》の受付が警察に電話。遠くに離れていたため、取り押さえに不安があったらしい。

 警察が来ると流石の桃岡もシュンと大人しくなった。虎斑や真木の指摘通り、自覚はあったのに言い訳や責任転嫁で目を逸らしていた部分があるようだ。


 本人の言い分では「警察は信用できないから」。その時だけはそっぽを向いていたのでどこまで本気かわからない。

 桃岡が一時的に借りてきた猫になったこともあり、警察沙汰にはならず。早とちりで呼んでしまった、と。迷惑ではあれ静かに済む、はずだった。


 今回の一件。桃岡自身が大々的にバラしてしまったのである。

 学校では愚痴混じりにいかに四人が邪悪か、己が悲哀に打ちのめされながらも勇猛果敢に戦ったか。

 それをクラスメイトがネットに書き込んだ。

 今までの比にならない誹謗中傷の嵐。責められる側に回った途端、ちょっかいを出してこなくなった。


 こちらの願い通り、『反省』してくれたのなら嬉しいはずなのに、こういう結果が生まれると罪悪感が喜びをかき消す。

 この流れではどう考えても《やり過ぎではない》と胸を張って言えないものだ。

 現在、彼女がどうなったかは知れない。


「自業自得、っていうには、割り切れません。途中からとはいえ煽ったようなものですから」

「こちらも悪いけれどあちらも悪い、お互い様。だからゴチャッと言わずお仕舞い( しま )にできれば一番良かったとは思う。今回のはベストでクレバーな選択ではない」

「なら」

「でもパーフェクトでなければ困難に立ち向かう行動を望んではいけない、というのは理不尽だろう。勿論今の言い方もまた極端なものだ」

「わかっているのにやったんですか? どうして」

「ちょっと待ってくれ。また長くなるぞ、覚悟はできた? ダメなら飛ばして。よし。


 極端というのは反動が大きい分、実りも大きい。ハイリスク・ハイリターン。決意してやったことなら失敗しても


『仕方があるまい、何故悪かったのか考えて次に活かそう』


とスッキリさ。バランスが崩れると悲惨なことになるのも承知。

 だからといっていちいち言及せずとも己のなかに答えがあるなら、掲げず内側にしまって支えにしておく方が力強く進める」


 良くも悪くも他人の心の内など見えない。踏み込もうというのなら、猶更『己』をしっかり持っていなければ。

 あっさり呑み込まれ、砕け、くじけ、見失ってしまう。


 虎斑はカップの取っ手を指でつまみ、くいっと煽った。乾いた唇が水分を吸い、ほんのり赤く色づく。


「よくクラスメイトで言い争いになると『あなたが我慢してあげなさい』っていうでしょ。我慢しろ、は相手と場合によってはまだいいんだ。若者同士で片方だけが大人げないって言われるって、変じゃない?


 虎斑たちの方が大人に見えるってことは、虎斑たちの方が公的な努力をしているってことだろ? 大体大人ってなんだ? 何を指して大人なんだ?

 相手を尊重するのは素晴らしい。が、奴隷になることを拒否する権利が、大人云々の前に『人として』あるはずだ」

「あえてぶつかることを厭う人もいますよ。行動は目につく。やたらと穴を責められます」


 親切を振りまいていた佑と同じに。


「異論は認める。

 虎斑は自分の意見を主張するために、他のあらゆる意見を否定しない。だが虎斑自身の信念に反するならば反論程度ある。受け入れるが鵜呑みは危険だ。批評の精神とでもいおうか。そしてこれらの個人的思想ゆえにいう」


 ちら。もっと口を挟め、自分の意見を言えと視線で訴えてくる。しかし、鳩はひとまず話を全て聞く『ことにした』。

 鳩が自分の意思でそう決めたことは伝わったのだろう。彼女は浪々と(うた)う。


「せめて同年齢同士ぐらい全力でぶつかりあわないと、壊せる壁も壊せない。目前の問題をスルーして、何時成長するっていうんだ。正直とてもヤキモキさせられる。

 そうすることに不向きな人もいるのは知っているから、そういう人は別の方法で他人を侵害しない方法を探せばいい。

 明らかにそうでない者がそうであるふりをするのは滑稽だ。桃岡さんは不向きに見えなかったからね、少なくともとった手法としては」


 一応、『桃岡に応じる気がないというのは誤解』という可能性もあった。だから最後に呼びかけてみたのだが、あちらには挑発としか受け取られなかったという御覧の有様。

 趣味嗜好の違いはあれ、虎斑の言い方も悪かったかもしれない。


「所詮は虎斑のやり方だ。だがしかし私のやり方だ。虎斑は半分相手に合わせる、だからこちらの土俵にあがりたいというのならもう半分は合わせてもらう。フェアにね」

「正しいんでしょうか、それは」

「正しくはないだろ。合わない人がいるのは当然。経験も価値観も完璧に噛みあうなんて絶対に有り得ないよ。多少は食い違うのが自然とすらいっていい。考えた上での結論であれば、確かにそこに


『これは正しい』


という納得があったはずなんだから、全部正しい。それでも誰かにとっては間違っている。

 人間千差万別、合う合わないがあるのは仕方がないさ」


 そこでふうっと虎斑は息を吐いた。美味しそうに目を細め、ソーサーにカップを置く。

 両指を組んで出来上がった白い網。そこに細い顎を乗せる。


「それでは。虎斑本来の目的は君のお手伝いをすることだったわけだが、ひと段落ついたし鳩くんの最終考察を窺ってもいいかな?」

「その前にふたつ、お聞きしたいことが」

「なんだい」

「あの、最初に見せてもらった『佑からの最後の手紙』。あとなんで虎斑さんは自分を苗字で呼ぶんですか? つい気になって」


 ふぅむ、と少女らしくない唸りを漏らす。小さく耳に届く、床をノックする音の連続。

観なくてもわかる。机の下で彼女が踵で定期的なリズムを奏でているのが。


「――()にとって《虎斑 凛》とは私の理想だ」


 話すペースが変わったのは、彼女の『核』に迫る内容だからであろうか。

 さわさわとした風の音が止んだ気がした。ゆっくりと上の空を見やる動作を目で追う。

 現実の数秒間を忘却し、緩慢に進む体感(すうじゅ)時間(うびょう)

 ここではないどこかを見ているようで、まるで宙に心を表す言葉の候補が浮かんでいて、それを念入りに選別しているようでもある。


「小学生の頃かなあ。

 私はこれが好きだ。何故そう思う? 思う心をどうしたら保ち続けられる?

 どうしたら、それを実行できる人間になるだろう。私はどんな人間でいたい?

そう思って、私が私として生きる為の条件を、希望を考えた。

 結果、理想とした人格。これを《虎斑》と呼んでいる」

「偽名なのですか?」

「本名だよ。《私》も《虎斑》も《虎斑 凛》さ。

 ただ私は強靭な精神を持っているわけじゃあない。望みを叶える心を支える何かが必要だった。

 自分が正しいと納得しても、信じ続けることにはエネルギーがいる。

 私は己の道を裏切らず、同時に誰もの信念を認められる人間でいたかった。でもこれはバランス一つ崩すだけでも成立しない。とても、とても疲れる」


 真剣な表情で訥々(とつとつ)。すらすらと意見を連ねる調子のよさは間違いなく《虎斑》。だが自信の光が弱まり、瞳に風前の灯を宿す光景は《別の誰か》。

 佑と同じ決して動じない人間だと思っていた少女の揺らめき。


 しかし、鳩はさして動揺しなかった。

 否定と肯定の繰り返し。何度も自分を戒めて、警戒しながら歩む。いつだって不安で解決方法を求めている。

 虎斑 凛は普通の少女なのだから。佑とは、違う。


「自分と他人の妥協点を探すには、客観が必要だ。けれど私は私の心しか持っていない。時折、感情に引きずられて自分本位になりかけてしまう。


 そこで『そうでありたい自分』を仮に設定し、彼女になりきった。

 《虎斑》だったらこういう時、どう考えてどう動くか。テストの見直しみたいに、《虎斑》としてきちんと考えた通りの答えを描けているか、ってね。

 確認作業は心を落ち着かせてくれる。冷静になる環境を心の中に作ることで感情の波を抑えようと思ったんだ」


 頬を赤く染め、曖昧に笑う。

 年相応の少女らしい儚さに返しが浮かばず、黙り込む。

 いつまでたっても反応しない鳩に、ついに虎斑が痺れを切らし、パンパンと手を打ち鳴らして空気をかき乱した。


「そして、手紙だが」

「はい」

「すまない、あれは嘘だ」

「……はい?」

「真っ赤な嘘だ!」


 あんまり君が打ちひしがれていて、しかも吹けば飛ぶ塵のように気配が薄かったものだから心配になって。

 内容はいつも通り、時間と場所の指定しかなかったんだけれど。

 どうやら自分たちのやり取りは知らないようなので。


「いかにも釣れそうな嘘をだね!」

「い、いいです、もう、いいです……!」


 さっきまでの空気、信頼はどうした? 二重の意味で頭が痛い。


 まさか出会った時から今の今まで、ずっと騙されていたとは。

 危害は加えられていない――むしろ色々と協力してもらった――とはいえ、ショックだ。人を信じられなくなりそうだった。

 額を抑え、やや(うつむ)く。はっはっはという笑い声も苦しい。


「佑が気になっていたっていうのは本当だよ? 付き合うなかでも彼女は感情すら希薄だったし、何をされても何が起こっても『感じる』ということがなかったからね。

 ただ手紙が理由ではなかった。具体的な保証があった方が安心するだろうと思っての方便だ」

「なんでそこまでして」

「そりゃあ、それが虎斑だからね。迷う同胞の背中を叩ける人情も理想のうちさ」


 以前ならなんだそれは、と返せたのに。今となっては頷くしかない。

 閑話休題。新しく紅茶を注ぎ、お互いに一口啜る。


「さ、じゃあ君の番だね。虎斑も恥ずかしい一面を晒したのだから、君も遠慮せずに」

「はあ、そうですね」


 自分の内面を晒すことはそんなに恥ずかしいことだろうか。

 思うところはあれど、既に相当話し込んでいる。外を見れば、青かった空に薄紅が差し込んでいた。

 腕時計を見れば、案の定結構な時刻。いい子だと説得したが、遅くなっては心配される。

 今日はこれ以上、いちいち疑問を挟んで訊ねる時間はなさそうだ。

 

 息を吸い、肺へ空気を。脳へ酸素を。気持ちよく頭を動かす準備をし、光の刺激を疎んじて瞼を閉じる。


 言葉を探す。

 なるべく伝わりやすい言葉で。だが生半可な意図で選んではいないもので。 

 でなければ真の納得といえる考察を重ねた、とはいえない。


「桃岡さんとは遺憾な形でぶつかり合いました。そして、姉さん――佑は。遺憾ながらぶつからない人だった。僕だけじゃない。皆、というか、ありとあらゆる全ての人と」


 人は自己を持つがゆえにぶつかる。信じるものや信じたいもののために。そういった『物事を感じる自分の心』を大切にせざるを得ないから。

 俗に正論と呼ばれるものにさえ傷つき、反発する。

 ならば、明らかに理不尽といえるいじめを何とも思っていなかった彼女は?


「普通であれば『とても心の強く、優しい人』となるのでしょう。けれど僕はそこに疑問を覚えることを禁じ得なかった。それに気づいたのは、学校という狭い場所とはいえ外の世界を――人間を知ったからでしょう」


 優しい人間が雨に濡れ、涙を流す少女に暴行を加えるものか。

 いくら相手に佑を身代わりにする理由を与えるためといっても、実行後に態度ひとつ、眉ひとつ動かさないとはどうみてもおかしい。


 もっとある。


 いつでも手当ができるとはいえ、出血の痛みを無視し食事を楽しむか。

 己の死を冷静に扱えるか。

 遺書に、家族への一言すらしたためず、逝くものか。


「ちょっと突飛に思われるかもしれませんが、僕はこう思うのです。

 彼女は自分が好きでなかった。世界が好きでなかった。興味も愛着も持てなかった。

 もっといえば、『個人の区別がつかなかった』。

 だから遺書の末尾は『無責任にお任せすること、大変申し訳なく思います』だったんです。相手を特定していない言い方だ。必要がなかったんです。


 家族もいじめっこもクラスメイトも教師も、見知らぬ誰かも地球の裏にいる人も含めて。

 姉さんにとって同じ人間も同然だった。誰かだなんてどうでもよくて、人間でさえあればそれでよかったのではないでしょうか」


 いじめられっ子はいじめっ子と同じ人。いじめっ子は美談を掲載した新聞記者と同じ人。家族はブラジルに住む人と同じ人。

 佑は自分をいじめっ子であり、いじめられっ子であり、日本人であり、ブラジル人であり、姉で、弟だったと。そう思ってすらいたのではないか。


「姉さんは自分を愛していた。『人類』という自分を愛していた。佑じゃない。愛そのものを尊んでいて、他の事は何にも知らなかった。

 平等な愛しかない人間に、他人へ向ける悪感情なんて理解できるはずがないんですから」


 『愛』以外の感情をなにひとつ持っていない人間。それが《白河 佑》。

 証明は鳩だ。彼は何も持っていなかった。学校で傷つき、惑い、虎斑に出会い、思考することを知るまで。

 まっさら。まっしろ。なにもない。《親》の影響をほとんど受けられなかった子ども。


 鳩は佑以外の同年代を知らずに育った。佑こそ人の見本だった。

 だが鳩の心は人そのもの。至って普通。自分の心しか持っていない。自己愛は切り離せず、ひいては悪感情とも別れられない。

 人の心を持たぬ佑に共感するはずも、理解できるはずもなかったのだ。

 『佑は優しい』。その偏見を捨てない限り。

 

 正直、佑を恐ろしいと思う。根底から異なる生き物だ。だが共に過ごした年月が《親》への愛着としてこびりつく。別に剥がしたいとも思わない。


 美しい思い出。白河 鳩の由来(ルーツ)。求めていたものは、見失っただけでちゃんとそこにあり続けていた。

 どんな人間にも親切にふるまう姿に偽りはない。


 そして必死に探った真実。彼女が生きていない以上証明はできないけれど、試行を重ねた導き出した納得。

 どうして佑は死んだのか?


 彼女は人という同胞を愛し過ぎていた。だから、死んだのだ。己が死んでも、(べつ)(ゆう)は生きている。

 他者に苦しみは生まれても、佑には苦しみは突き刺さらない。

 生まれてから死ぬまで、永遠に。


「なんででしょうね。僕は苦しいです。姉さんが僕の理想とは違う人だったこと。愛情以外何も持っていなかったこと。自己愛故に他人を傷つける時があること」


 それでも、やはり鳩は佑の《天使》。人の心を持つ佑の使徒。

 愛しか持たない彼女にはなかった慈愛の手。苦しむからこそ、他人に共感できる心。


「どんなに痛みを振りまく人がこの世にいたとしても、僕は人間が好きです。誰かの背中を推そうとする心を持てる人間が、心の底から好きなんです」


 自分を愛するからこそ他人を愛する。

 理想の告白をした時。自らの愛のベクトルがどこへ向かっているのか、はっきりと理解した。


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