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一番星

作者: みはる


「本屋に行ってくる」


家を出てから、2時間以上経ってる。

明るかった辺りは今では暗く、早く帰らなきゃなんて思う。


(寒いなぁ…)


吐く息は白く、ふわっと空に上がっていく。

見上げた空は雲が広がり、月も星も見えない。



「あ…」



ふと聞こえた声に目を向ける。


(あ…)


あたしと同じように、空を見上げる横顔。 遠くに灯る街灯に照らされている彼は、よく知っている人だった。


(彼と最後に会話したのって……いつだっけ?)


目を見て会話をしたのは、随分と幼いときだった気がする。



「『一番星!』」


「え…?」



もう一度、空を見上げてみる。

星なんて見えない。



「高橋、いつも空見上げて、星を探してたよなぁ」



もう一度、彼を見る。

横顔だった彼の顔は、真っ直ぐにあたしに向けられていた。目が合いそうになり、思わず俯いてしまう。


(昔は名前で呼び合ってたのにな…)


苗字で呼ばれたことに、淋しさを感じる。


幼い頃は仲が良かった。

思い出せないほど些細なことがキッカケのケンカで、会話どころか目も合わせなくなった。


目を合わせないのは、あたし。

"目を合わせたくない"から、"目を合わせられない"に変わってしまった。



「『一番星!』って、よく叫んでたじゃん」



そう言う彼は、きっと笑顔。

見なくたってわかる。


ふと、彼が空を見上げた。

横顔が目の端に見えたから、あたしも見上げた。



「…今日は見えないな」


「……………。」


「高橋の『一番星!』も聞けない。高橋の笑顔も見られない」


「え…?」



思わず、彼を見た。

ずっと合うことがなかった互いの視線が交わる。



「やっと目が合った」



そう言う彼は、やっぱり笑顔だった。



「皐月、また明日な」



(あ、名前…)


嬉しくて泣きそうになり、涙が溢れないように上を向く。


(っ…!)



「修ちゃん!星 見えたよ!」



あたしに背を向けて歩き出していた彼は、あたしの声に振り返るとビックリした顔をしていた。すぐにあたしの指さす方へ目を向ける。


雲の切れ間から顔を出した、たった一つの星。



「ほんとだ」



笑顔の彼に…



「修ちゃん、また明日ね!」





処女作です。

拙い文章でゴメンなさい。

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