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赤の印  作者: 酒井順
プロローグ
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第7話 吉兆の徴

第7話 吉兆の徴


 マモ婆さんも若い頃は、抵抗軍の戦士で世界中を転戦していたが、いつも傍には双子の姉であるミモがいた。ミモは危険察知能力に優れ、幾多の部隊の危機を救ったものだった。その能力は予知には及ばなかったが、上層部で作戦が立てられるとその吉兆を占っていた。部隊長によっては、ミモを信じず作戦を決行し、壊滅状態となることもあり、それとともにミモの評判は上がって行ったのであった。ミモ自身にも何か吉兆の根拠があるわけではなく、ただ勘としかいえなかったようだが、的中率が100%となるとそれは能力として認めるしかなかった。しかし、その吉兆占いは局地戦に限っていて、例え局地戦に勝ったとしても戦局の大勢にそう大きな影響を与えるわけではなかった。そのミモ姉さんもミモを信じない部隊長の作戦決行でマモと離れ離れになってしまい、それ以来生きているのか亡くなったのかわからないままであった。

「マイはミモ姉さんに似ているよ」

マモ婆さんはマイにミモ姉さんを見ているのかも知れなかった。生き別れなのか姉さんが戦士したのかもわからず、この長い年月を生きてきたマモ婆さんにはマイが愛おしくて仕方が無いようだった。

「ミモ姉さんが言っていたよ。情景が浮かんでくるんだって」

「あらっ、わたしも同じよ。そしてその情景が嬉しいと感じれば吉で、悲しいと感じれば凶なの」

「そうそう、全ては感性だと言っていた」

「占いに道具を使う人もいたけど、姉さんは使わなかった。使う人を否定はしていなかったけど、そこいら辺はどうなんだろうね」

「わたし、試しに道具使ってみようかな」

「そうだね。いろんなことを試して御覧」

 マイもマモ婆さんも一緒に居る時が、楽しい一時だったようで、マモ婆さんが亡くなった時にマイは大泣きに泣いた。マモ婆さんの最後の一言は「感性を大切にするんだよ」であった。


 それ以来マイは、見えるものより感じるものを大切にし、勘を鍛え上げ来た。勘が鍛えられるものなのか定かではないが、マイがそう思ってそうしているのだから誰にも止められない。成果が上がったかと言えば、マイ自身の評価では上がったのであろう。少なくとも確実に近未来を予見できることがあった。それはマイにも確信のある予見で、絶対に当る情景の様が脳裏に電撃のように走るのであった。そうでないときは、霧がかかったようにあやふやなもので、さほど的中率が高いとはいえないようだった。また、知りたいことを選んで予見することもできず、異能力としては幼稚な部類なのかもしれない。システムが予期せぬエラーを出したのは、この異能力と関係あるのかもしれないが、ミモ姉さんをシステムがどう評価したのか今のところ不明であった。マイのこの異能力が自身で制御できるようになれば、強力な戦力となるだろうが、それがいつかはわからない。


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