第6話 健気な決意
第6話 健気な決意
村から戻ったクッポが言うには、
「まだ数人の捜索隊らしきものが残留しています。何を探しているのかまではわかりませんが、ずいぶんくまなく捜索は行われているようです」
「じゃあ、村には戻れないの?」
「はい。そうなります」
「お母さんやお父さんは?」
「残念ながら…」
クッポが撮影してきた動画には、無残にも打ち壊された家屋や土蔵が映されていたが、不思議なことに火災は起こらなかったようである。とすれば、やつらの探し物は火に弱いものとなるのだろうか。不思議なことはもう一つあって、人の姿が映されていないのである。死体を運び去った可能性もあるが、それよりも拉致された可能性の方が高いかもしれない。確かに拉致のためなら火災は起きない方がいいから辻褄は合いそうだ。しかし、未だに何かを探しているのは、他にも目当てがあるということだろうか。いずれにしても、村人たちが生きている可能性は残されたことになる。
「助けに行こうよ」そう言うマイに、ライは酷いとは思いながらも、
「無理だよ。どうやって助けるんだ?」
「たくさん強くなるしかない」きっぱりとクウは決心を固めたのであった。
マイも辛い思いを胸に「そうね。それしかないわね」と言い放った。
未だ12歳にならんとする3人には健気な決意であったが、それが運命であり逃れることはできなかった。村を失い、父母も行方がしれず何から始めれば望みが叶うのかもわからず、途方に暮れようとしていた3人が知る世界は村しかなく、あいつらが誰なのかも知らず、強くなろうとしても何処まで強くなればいいのかわからなかった。
それでも、この3人チームのリーダー的存在のライは、
「皆何が出来るか確認しておこうよ。それから補強をしていくんだ」
「補強?」
「うん、自分の足りないものを補っていくのさ」
ライは、システムやクッポと接触したことで少しずつ学びを始めたようだった。
「マイは何が出来る?」
「勘がいいみたい」
「勘?」
「そう、小さい時、マモお婆さんに褒められた」
「へ~、マモお婆さんが褒めたの?なんて?」
「マイも異能者かもしれないねって」