第1-1話 黒い血の少女
第1-1話 黒い血の少女
ライたち3人は、村の様子を窺うこともできず、未練と復讐の誓いを胸に旅立ったのだが、そのいずれもが幼い思いでまだ自分たちが何をなすべきなのかはわからなかった。12歳の少年少女たちの人生の道標を教えてくれる者もおらず、ただクッポの示す南の方向へと歩き続けるだけであった。陽が30回昇っては、暮れた頃、山道の傍らに蹲る一人の少女をマイが見つけた。その少女はライたちと同じ年頃に見えたが、何処か老けても見えるのであった。少女の背負う籠の中には幾種類ものキノコが入っていたが、もしかするとこの少女はキノコの行商人なのかもしれない。
「どうしたの?」そうマイが尋ねると、
「不覚にも、自分で作った罠にかかってしまったのでございます」
そう言う少女が指さす方向をみると確かに罠らしきものは存在した。それは長い草を二つに結んだもので、少女はそれに躓いたらしいのだ。運悪く、転んだ先に大きな石があって、蹲っている理由は躓いたことではなく、どうやら石に頭をぶつけたことらしい。少女の額からは血が滴り落ちて…
「あらっ、この人の血、黒いわ」少女に聞こえないようにライに囁いたマイにライは頷き、
「何か理由があるんだろう。もしかすると血の色は人によって違うのかもしれない。赤いのは俺たちだけかもしれない」
その囁き声に気付いたのか少女は真っ青になって怯えているのであった。
「申し訳ございません。不浄の黒き血など…」
「えっ、黒い血は不浄なの?」クウは無神経にも、そう尋ねたのであった。
「はい。え?あなたがたはどなたですか?黒き血は不浄と決まっております。わたしは下賤の身、街に住むことも許されておりませぬ」
「どうやら深いわけがありそうですが、俺たちに話すことはできませんか?」とライは丁寧に頼んでいたのだが、ここでもクウは、
「僕たちの血は赤いよ」と告げてしまったのだ。
驚いたのは、この黒き血の少女で、
「その色は幻の血の色。そして危険な血の色。よく無事で生きてこられましたね」
「よくわからないな。何故血の色が危険なんだい?」
「ここでわけを話すのも危険です。わたしの家においでください。しかし、その前に証を」
「証?」
「あなたがたの血が本当に赤いのかと言うことです」




