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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
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森での採集と薬師の登用

ゼナは、ボスベアーを倒した後、周囲の安全を確認する。

すると、若い女性が森の奥より現れた。


「叫び声が聞こえたので…大丈夫ですか?」


若い女性が問いかけてきた。

ゼナは不審者では無さそうと判断し、女性に応える。


「ポイズンベアーの群れと遭遇して撃退したのですが、仲間が負傷してしまって」


女性はボスベアーの亡骸を見て驚き、ゼナに再度問う。


「負傷されてる方の所に連れて行って貰えますか?私、回復魔法が使えるので」


ゼナは目を見開き女性に話す。


「助かります ホント、本当に…こっちです。」


ゼナは、動揺して支離滅裂な会話となっていた。


二人はヴェルテの側に駆け寄り、その女性は、杖を見たこともない動きで振り始めた。ゼナの表情に気づき応える。


「私は、大地の神の力を用いて色々な魔法を使う術師です」


彼女の周りを緑の閃光が走る。


「ブルーピクシーさんは、そのまま回復してて下さいネ」


ミントは、彼女に対して頷く。

緑の閃光は、ヴェルテを包む様に展開され、その後、ヴェルテを中心に光の輪となって、ミントの回復と交わり、ヴェルテの傷が癒されていく。ヴェルテの意識が戻った。


「ヴェルテ 大丈夫?」


ミントが不安そうな表情で聞く。


「ヴェルテ 状況覚えてる?」


ヴェルテは、ゆっくり目を開いて、応える。


「ゼナ、ゴメンね ボスベアーの攻撃喰らって意識失ったんだよネ?」


苦笑いするヴェルテを見て安堵する。


「あれは、仕方が無いよ同族を犠牲にしてまで攻撃してくるとは思わなかったもの」


ゼナは、ヴェルテに微笑みかける。そして女性の方を向き、お礼を言う。


「ヴェルテを…仲間を助けて貰って有難うございました」


ペコっとお辞儀をする。


「僕は、ゼナ・アリアンワース、カルカナで兄と仲間達で雑貨屋を営んでます」


ゼナの自己紹介を聞き、女性も応える。


「私は、キスカ・ドルファス、西の大陸にある大地の神を信仰している村の出身で、今は旅をしてます」


キスカは、そう応えるとゼナにお辞儀をした。


側にいるミントも自己紹介を始める。


「私はミント、ゼナの相棒で、ゼナの、お手伝いをしてるの!」


ヴェルテも立ち上がり、キスカに微笑みながら、お礼を言う。


「キスカさん、助けてくれてありがとう!私は、ヴェルテ・アリストス、ゼナの雑貨屋仲間よっ」


皆の自己紹介が終わり、ゼナが旅をしてるなら、お礼に雑貨屋で良ければ泊まらないかと言う。

それを聞いたキスカは、喜び応える。


「ホントですかっ !!路銀も尽きて食料を探しに森に入ったら、皆様に逢ったんです」


話している途中で、ぐぅーとキスカの、お腹が鳴る。。顔を赤らめて、モジモジするキスカ。

ゼナは、にこやかに笑い鞄から、非常食の燻製肉を取り出す。


「こんなものしかないけど、良かったら食べて!」


キスカは、茹で蛸の様に真っ赤になりながら、ゼナから燻製肉を貰い

頬張る。ヴェルテが、レモール水の入った水筒をキスカ渡した。


「やっと人心地付きました!三日ほど、森の果物で食い繋いでいたので…」


ゼナ達は、びっくりした表情でキスカを見つめていた。

その表情に気づきキスカは、またも、茹で蛸になったが、気を持ち直しゼナ達に問いかける。


「皆様は森に、どの様な用件で入られたのですか?」


ゼナが、頬をポリポリかきながら応える。


「染料の原料を採集しに入ったんだけど、ベアーに襲われて今に至ります」


「泊めて頂けるなら採集も、お手伝いさせて下さいっ」


キスカが頭を下げて、お願いしてきた。


「いやいや、頭を上げて!ヴェルテの恩人だし、まー皆で、サクッと採集しちゃいますか!」


ゼナがキスカに微笑みかける。

ヴェルテもミントも、ニコニコしながら、歩み寄るのであった。


その後、紅い木いちごの実を摘み、すぐ近くに、スカイウォードの葉を発見し摘み取る。

次は、ベルベリトの木を探しに皆で移動した。

キスカがベルベリトの木と聞いて、喜ぶ。


「ベルベリトの木は、村にいた時に薬の材料として使ってたんです!こちらでは、染料として使ってるのですネ!」


それを聞きゼナは聞き返す。


「ふぉー 、ベルベリトの木って薬にもなるのネ!キスカさん薬作れるの?」


「はいっ 村では巫女として薬師をしてましたから」


それを聞いたゼナは少し考えて、キスカに聞く。


「エミ兄に相談してからだけど、ウチで住み込みで働かない?」


キスカは、目を開いて驚く。


「薬師として、ウチの雑貨屋で薬を販売してくれたら嬉しい」


横にいる、ヴェルテ、ミントも賛成だと相槌を打つ。


「出会って間も無いのに、良いんですか?」


キスカは心配そうに聞き直す。


「ヴェルテの恩人だし、恩人を野宿させる訳には…薬師だと言うし是非ウチで働いて欲しいかなって」


「あ、でも、キスカさんが旅を継続するのなら無理強いはしないよ!」


キスカは、ゼナの言葉に感動し涙目になっている。


「私、村から逃げて来たんです。」


ゼナ達は、心配そうにキスカを見つめる。


「村の名家の圧力で、無理矢理その名家の嫡男と結婚させられそうになって…」


「普通の男性なら結婚も考えたのですが、名家の嫡男は権力を傘に村では傍若無人に殺人も平気でする人で、怖くなって村から逃げて来たんです」


「ですから、帰る場所も無いし、住み込みで置いてくれるなら喜んで、お願いします」


ゼナは、うんうんと頷き、ヴェルテは、キスカに抱きついていた。


「それに、キスカさん回復もできるし、一緒に狩りとか同行してもらえたら嬉しい」


キスカは、微力ながら、お供しますと頷いていた。


ベルベリトの木を見つけ、染料分と薬の分を採集し、ゼナ達は、雑貨屋に戻ることにした。


キスカが時折、杖を回しているのに気づき、問いかける。


「キスカさん、もしかして皆に魔法掛けてくれてる?」


「はいっ 微力ながら体力が回復する魔法を掛けてます」


「やっぱり!体か軽くて、疲れないと感じてたから、凄いネ!」


キスカが頬を染めて照れていた。

ヴェルテは、キスカを気に入った様で、何かに付けて抱きついている。


「ヴェルテさん、くるしいです」


ヴェルテは、拗ねた素振りを見せ、ゼナ達は、笑いながら帰路についた。



無事、雑貨屋に到着しエミリオにキスカを紹介する。

エミリオは、事の顛末を聞きキスカの住み込みでの雇用を了承し、今夜はキスカの歓迎会を開くこととなった。



ヴェルテとキスカは夕食の準備に取り掛かり、ゼナとミントは、採集した染料の原料を加工していた。

今回の染料は、赤と黄と青の三色、調合が終わり、アラクネの糸と反物を染めていく。ミントの水魔法とゼナの風魔法を使い綺麗に染め上げていった。



調理場から、ヴェルテが叫んでる。


「ゼナー!夕飯、間も無くできるよ〜」


「わかった〜。片付けたら、そっちに行くー」


後片付けをし、糸を干しているとキスカが現れる。


「綺麗な色ですネ!これ程、綺麗な糸は初めて見ました」


ゼナは、照れながら答える。


「アラクネの糸に、ミントの水魔法を使って特殊な染め方をしてるから」


「キスカさんの装備品も、皆で作るよっ。欲しい物があったら言ってネ」


そう話していると再度ヴェルテに叫ばれ、ゼナ達は、急いで食堂に向かうのであった。


食堂では、ヴェルテが、おそーい!と頬を膨らませている。

ゴメンゴメンと謝り、テーブルに着く、テーブルには、先日狩った、ブラッティバイソンのステーキと、スモークされたオルニスが散りばめられたサラダ、自家製パンと暖かいスープが並べられていた。


「美味しそう!」


ゼナが無意識に口に出す。

食べよう食べようとヴェルテが急かし、エミリオの掛け声と共に、醸造酒エールで乾杯した。



宴は、遅くまで続くのであった。































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