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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
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皮の加工と糸の調達


「ゼナ!起きて朝だよ〜」


ミントの声が聞こえる。昨日は、ブラッティバイソンとウインドオルニスを狩り、夜遅くまで焼肉祭りをしていたのでかなり眠い。


「おはよ〜」


ゼナは、寝ぼけながらも起き上がる。


「エミリオは、もう起きてるよ〜」


流石エミ兄、昨日かなり遅くまで、醸造酒エールを煽りながら、肉の下処理を手伝ってくれたと言うのに。


「エミ兄はタフだなぁ〜あれだけ吞んでたのに」


ゼナは、ベッドから飛び出し、いそいそと着替えはじめた。


「ヴェルテは、どうしてる?」


ミントに問いかけると、ひらひらと羽を動かしながら答える。


「いつもどうり、まだ寝てる!」


昨日は、遅くまで宴をしていたのでヴェルテは、ウチに泊まったのだ。

雑貨屋アリアンワーズは一階は店舗と工房、二階は住居部になっているた。


今は亡き祖父ダリオが建てた、この雑貨屋は、一階工房部は鍛冶部屋、裁縫部屋、調理部屋、装飾部屋、木工加工部屋など各部屋が小分けになっている。


ゼナは裁縫と装飾を主に作業している。


女々しいとは言わないで!


裁縫と言っても、革の製品をメインに鎧などの防具も作るし、希少な糸を使った衣服の作製、エミリオの加工した金属鎧に下生地を付けたりと多彩であった。


「さぁーて、朝ごはん準備しますか! ミント、ヴェルテ起こしてきて」


ミントはコクっと頷き、ヴェルテの寝てる部屋に向かった。


ゼナは、体を伸ばしながら二階の台所に向かうとバターの香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。エミリオが朝ごはんを作っていた。


「エミ兄おはよ〜」


フライパンを振るいエミリオがオムレツを作りながら微笑む。


「おはよゼナ」


エミ兄に微笑み返す。ゼナは堅焼きのパンを取り出し小分けにして皿に盛り付け、別の皿にサラダを切り分けて以前燻製した鳥肉を細かくし、ふりかけた。


その横で、エミリオがオムレツを皿に盛り付け朝食の準備は完了。


テーブルに並び終えるとミントとヴェルテが現れる。


「おはよ〜」


「おはよヴェルテ〜」


二人の挨拶に頷くヴェルテは、テーブルに盛り付けされてるオムレツをみて、意気揚々に叫ぶ。



「オムレツだぁ〜」



おっむれっつ♪おっむれっつ♪とまたもや歌い始める。ホント分かり易い子だ。

その姿に微笑みながらエミリオが皆に冷めないうちに食べてと促す。

4人でテーブルに付き、朝の食事が始まった。


「ゼナ今日の予定は?」


エミリオが聞いてきた。


「今日は、ミントと二人で昨日のバイソンの革の加工かな〜」


「エミ兄、鉄の矢を何本かお願いできる?矢羽は、昨日取ってきたウインドオルニスの羽付けるから」


「任せろ、あと属性付加できる短剣も作ってやるぞ」


「エミ兄ありがと!革製品で欲しいものある?」


エミリオは少し考えて、


「そーだな戦斧とツルハシを装着できるベルトを作ってくれ」


「了解っ」


「ヴェルテー、ヴェルテには、木の矢をお願い。あと昨日の肉の燻製も宜しくっ」


リスの様に口を膨らませながら、パンを頬張るヴェルテは、コクコクと頷くのであった。


朝食も終わり、エミ兄に後片付けはヴェルテと二人でやるからと背中をグイグイ押して調理場から追い出す。エミリオは、悪いねと微笑み工房に降りて行った。


ヴェルテが食器を洗い、ゼナが横で洗い終わった食器を拭いていく。


「おーわりっ♪」


「お疲れお疲れ」


ニコニコ笑いながら二人は、そのまま工房に向かった。


ヴェルテは、木工加工部屋に入っていく。矢を作ってくれる様だ。ヴェルテの作る矢は既製品より、扱いやすく、一つ一つの矢に法術を加えてくれるのもありがたい。後で、お菓子の差し入れでもしてあげよう。


さぁーて、昨日のバイソンの皮の下処理を開始しますか。

ミントが、準備オッケーとクルクルと飛び回っている。

ミントの水属性の魔法に脱脂用の薬品を加えて、自分の風魔法を使って

漬け込んだ樽の中をかき回す。

見る見るうちに、皮が綺麗になっていく。


流石、水の妖精のミント!

薬品の力もあるが、皮の洗浄の速さはピカイチである。

尚且つ、普通に薬品だけの下処理と違って皮の品質が良くなるのだ。


綺麗になった皮を樽からだして風魔法を使い乾燥させる。

その後、再度植物性の薬品と、ミントの羽から出る鱗粉を調合した液体を樽に準備し皮を再投入した。


鱗粉を混ぜることで、通常より格段に耐火能力が上がる。水は弾き、熱に強い革の素材となるのだ。これにより、雑貨屋アリアンワースの革製品は他の店より安価で強いと評判になっていた。


「さて、漬け込んでる間に糸の調達に行きますか」


弓を装備しミントを神樹の筒に戻す。以前作っておいた複数の銀細工を鞄に入れ、一階の調理場から燻製も何本か鞄に詰める。

エミ兄に糸の調達にいくと伝え雑貨屋アリアンワースを後にした。


向かう先は、妖精の森に住む、森の守護者アラクネの住処。

アラクネとは、下半身が蜘蛛、上半身が人に近い女性の魔人である。


アラクネの住処は、他の人では結界に阻まれ近づくことは出来ない。見えないのだ。エルフのハーフであるゼナのみ立ち入ることが許されていた。


以前、たまたま空間の淀みを見つけ、アラクネと遭遇し、手持ちの銀細工を差し出す代わりに糸を貰ったのだ。空間の淀みは、エルフの森の出身者なら見つけられる。

今回も銀細工と燻製を土産にして、糸を分けてもらうつもりである。意気揚々に森に向かうのであった。




森の奥深く、アラクネの住処に到着したゼナは、アラクネに話しかけた。


「こんにちは、アラクネさん」


こちらを見ながら、アラクネはニヤリと微笑み応える。


「ゼナ!久しぶりだね元気にしてたかい?」


アラクネさんは、森の守護者として100年以上前から、ここで暮らしている。女性とあって銀細工が、かなり気に入ってるのかゼナが来るのを、この頃は心待ちにしていた。


「うん!新しい装備作るって頑張ってる」


「今日は、糸を貰いに来たのかい?」


「うんっ 新作を色々持って来たから、選んで欲しい」


ゼナは、鞄から銀細工を取り出し、アラクネの前に並べ始めた。

それを見ながら、アラクネは興奮気味に応える。


「あ! 前回お願いしてた腕輪だね!腕輪一つに糸2巻きだな」


「お 、指輪か、デザインが綺麗だなこれには糸4巻きで」



「これは!!!ティアラかい」



アラクネが目を輝かせて見つめているのは、ゼナ製作の月桂樹をモチーフにした銀細工のティアラ。小粒の真紅のルビーが周りに散りばめられている。



「ゼナ!これは欲しい反物10反で、どうだい?ミスリルの鉱石もつけよう」




アラクネはティアラをとても気に入り、破格の交換を申し出てきた。

ゼナが、びっくりしながら頷く。


「アラクネさん、反物かなり高価なのに…じゃあ燻製肉もつけます!」


結局、アラクネさんは、腕輪4個、指輪2個、ティアラと燻製肉をGETし、ゼナに糸20巻き、反物10反、ミスリル鉱石の塊を渡すのであった。


「アラクネさん、ありがと♪」


ゼナはアラクネに、お辞儀する。アラクネは、さっそく装飾品を装着して、ご満悦な様子だ。


「ゼナ!今回のティアラは、かなり良かった!!次は首飾りでもお願いするよ」


「了解っ!また作ったら遊びに来るね」


アラクネに、手を振りながら、住処を後にした。



さて、糸だけの予定が反物、ミスリル鉱石までGETできてしまったので、防具も新調できるほどの素材が集まった。


鉱石はエミ兄に渡して、プロテクターを作って貰おう。自分が作る狩人の服にエミ兄のプロテクターを取り付けて防御力を上げる形で防具を新調しようと考えながら、帰りの途中で、カルカナの菓子店により、クッキーを購入して雑貨屋アリアンワースに戻るのであった。































































































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