復讐の西部
アメリカ ―西部開拓時代―
ジョニーは幼い頃、保安官である父を街のごろつきハロルドによって殺された。ジョニーはいつかハロルドに復讐し、父の仇を取ることを誓った。
月日は流れ、青年となったジョニーにメアリーという恋人ができた。二人はしだいに深い仲になっていった。しかし、ジョニーはメアリーが娼婦をしていることを知ってしまう。ジョニーが問いただすと、メアリーは涙ながらに言った。
「私には生き別れたお父さんがいるの。娼婦をしていたらいろんな男の人から情報が入ってくるでしょう。だからもしかしたら、お父さんに会えるかも知れないって」
ジョニーは父親を捜す手伝いをしたいと言った。すると、メアリーはうれしそうに言った。
「ありがとう。私のお父さんの名前はハロルドっていうの」
ジョニーは言葉を失った。
その後、ジョニーは酒場でハロルドと思しき人物に出会った。かなり老けてはいたがハロルドに間違いなかった。ジョニーはハロルドに言った。
「あんたに会わせたい人がいる」
ジョニーはハロルドをメアリーがいる売春宿に連れて行った。ハロルドを見た瞬間、メアリーの目が輝いた。
「お父さん!」
ハロルドはメアリーを抱きしめた。再会を喜ぶ二人だったが、突然ハロルドが言った。
「メアリー、わしはもうお前に会えないかも知れん」
戸惑うメアリーを残して、ハロルドは売春宿の外に出た。外で待っていたジョニーが言った。
「終わったか?」
ハロルドはうなずいた。そして二人は同時に拳銃を抜いた。
銃声を聞いたメアリーが外に出ると、そこにはハロルドの死体が転がっていた。以来、ジョニーがメアリーの前に姿を現すことは二度となかった。
終