SIDE STORY 優希ver
仙台に来た時からかな、別世界が完全に見えるようになっていた。寝ている時に見る。別世界での僕は、麻美を好きになり、麻美と結婚し、局アナになって苦難がありながらも頑張ってきた。20歳になった頃に僕は知ったことがある。別世界に僕や明日香は複数存在するが、凛は1人だった。こちらの世界の凛は既に死んでいた。でもおかしい。こちらの凛が死んだら別世界の凛も死ぬはず。なのに死んでない。こちらの凛が別世界に来た時に、別世界の凛が死んだ。一緒にいたため同時に死ななかったのだ。さて、すべてが終わった後の別世界はどうなっただろうか?
局アナの僕は仕事に明け暮れていた。
「優希、最近帰ってくるの遅いよ。」
「仕方がないだろう。アナウンサーなんだから。」
結婚して3年が経とうとしていた。僕は麻美に声をかける暇もない。仕事の方が充実していた。
「少しは私のことも気にかけてよね。」
「そんな暇は無い。」
珍しく僕は怒った。
「そう。」
僕は苦労人だ。逆境を乗り越えてきたから家事全般なら余裕だ。今なら麻美がいなくても1人で生きられる。小学校時代と立場が逆になってしまった。
僕はこの日、共演者の女性タレントとご飯を食べに行った。
「原田さん、この後どうします。」
「すぐに帰るよ。明日は野球の取材で早いから。」
彼女は僕にデレデレしている。外でも僕にデレデレしていた。
「原田さん、また飲みましょうね。」
「是非、今度は皆で。」
この件が麻美を狂わせた。 続く