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デスゲームノ『王』※お受験凍結中  作者: 野菜連合
三章ーー黒羽街《スパイクフロー》ーー
45/55

三十九話 黒の【習性】

タイトルあってるかわからない笑


学校なので前書きは短めでいきますよー。


毎度誰得な前書きの長さなんでまぁこれはこれでいいのかな?


では本編どぞ

第三十九話 黒の【習性】




檻を出て街を出て山を払い籠を飛び地下へと降りてもなお考え続けている事がある。



昨夜の襲撃イベント発生時なぜカラスは人を誘拐したのか


そしてなぜ襲撃イベントの前後で町人たちの様子が変化したのかだ。


見方によれば変化してないとも取れるのだが…………





現実のカラスは光り物を好むとされ良く人間の持ち物や生活廃棄物から盗み去っていくが人を連れ去る理由がわからない。




街の内部に山との入口がつながっていることも考えると…………敵はただのカラスと考えない方がいいだろう。





だからこそ尚更この地下の道中にその黒い影が見えないことが気がかりになる。


不自然なことが多すぎてヒントにならない…………こういう状況は凄く怖いものだ。


既に場所は下水を抜け”廃”水路にたどり着いている。


ただでさえ狭かった道幅はさらに狭くなり小柄な自分達でさえ並ぶと窮屈を感じる

三人も並ぶとぎゅうぎゅうなのではないだろうか?


何にせよ苔むし、ボロボロな壁を見るに街から順調に離れていることは間違いない。


それが山に近づいていることと同義なのかはわからないので少し心配だが…………


「そろそろ開けた場所に出るはずだよ。そこから先は音が散らばりすぎててよくわからなかったや。」


「十分すぎるほどに上出来だと思うけどね。」


いやこれまじで。


街から歩いてそろそろ十分と言ったところか。

結構進んできたがまだまだ終わりは見えないな。




キラの言う通りこの廃水路は広い場所に繋がっているようです水の流れる音がいくつも響いてくる。


スキルによって強化された視界にも視界を確保するに十分な量の光源が映っているし…………ひとまずこの暗闇とはオサラバのようだ。


「気をつけてね。油断してるとやられちゃうよ。」


「……わかってるっての。あの無駄な賢さに何回恐怖したことか。」


キラは僕の「賢さ」と言う言葉に何やら引っ掛かりを覚えたようで首をかしげては思案顔で唸っていたがどう考えてもこのゲームは初見殺しのソロ殺し、さらには初心者殺しと問答無用でヘルモードをプレイさせているようなものだ。

少し休憩していればモンスターのエンカウントアナウンスのような物も無く遥か上空という死角から十匹近い数で襲撃をかけてきたり、知性的に囮を使ってきたり、相手が上位のものと見るやいなや戦法を変えてきたりと馬鹿なんじゃねぇのとツッコミたくなるエネミー制御である。


そんな僕の苦虫とくさやを纏めて煮出したものを一気飲みしたかのような表情を見たキラは何を察したのか相変わらず似合わない聖母の如き微笑を浮かべて背中を摩ってきた。


…………だが口から漏らす言葉は真面目だ


「何があったのかは知らないけど…………ゲームが始まってまだ間もないのに…………随分と裏を匂わされるね。なめられたもんだよ、まったく。」


その意見には激しく同感だけどとりあえず僕の言葉をどう受け取ったのか詳しく話せや、お前から憐れまれるのは物凄く精神的に来るんだけど?


そんな僕の視線に込められた意味を軽く無視してキラは光の元へと駆け出した。






…………あのヤロー覚えてろ。



後を追いかけて僕も広場へと飛び出すが広がった光景には思わず目を疑わされた。



これまでの古ぼけた廃水路から一歩踏み出すだけで真新しい人工的な空間へと変貌した。


真正面の壁へと埋め込まれた大きな両開きの扉へ繋がるように掛けられた幅の広い橋、そしてそこから覗ける左右の空虚な空間からは音が良く響きそうで…………そしてどこまでも落ちていけそうな暗闇が広がっている。


そこへと流れ込むように左右に開けられた六つもの口から水がものすごい勢いで流されていた。



そして一番目を引くのが「醜悪なる美」ともいうべき前衛的な芸術作品の数々……。


棚の様に彫られた溝に沿うように列べられた10を少し超えたばかりのそれらは全てガラス製…………ただしその全てが七色に輝くステンドグラスと言われるものを組み合わせて作られたもので仮に商品として売り出したのであればそこいらの銀細工など目にならない額が付くであろう緻密さだ。



…………もっとも模した物が”人”でなければの話だが。



そう、その作品の全てが全て人が苦しむ姿を模して作られたもので何かにすがるように天へ腕を伸ばすものもいれば自らの首へ手を伸ばしその爪を突き立て掻きむしっているものもいる。



正しく終末をイメージさせるその作品は上品な輝きを放っているくせに…………どこまでも下品な仕上がりだった。



「気持ち悪いな、ここ。」


「……そう、だね。ここから落ちたら問答無用でゲームオーバーなのか、とか気になることも案外あるけど一番はやっぱりアレだよね」


と扉でもなく案の定というべきか小さい指は震えるわけでもなく何かを射抜くように真っ直ぐと醜い人形へと向けられていた。


「まぁ悩んだってしょうがないしなぁ…………とりあえず進もう。僕ほ本格的にここが山の中であると信じられなくなってきたよ。」


「鉱山みたいなのを想像してた?」


笑いながら問いかけてきた頷くのは物凄く癪だが…………正直な所キラの言う通りのものを想像していた。


もしくはデカイアリの巣か…………


だがどうもあの扉を見る限りにはかなり人工的な作りになっているようだ。



随分と生意気なカラスどもなようで



歩き出した僕らは大した距離がなかった事もあって直ぐに扉へとたどり着いた。


橋のそこからカラスが湧いてきたり橋が崩れたりと言ったイベントに備えてもいたのだが……どうやら無駄だったようだ。



扉を開けることも大して苦労することなく僕らはその先へと足を進めていった。





だがどうしても僕には気になることがあった





門をくぐる瞬間に見えた僕たちが歩いてきた側にある3つのガラス細工…………それがそれぞれ門番の兄さん、果物屋のおっちゃん、………………そしてあの夜遠目に見えた攫わた少女に………………見えてしまった。




嫌な予感が僕の中で爆発的に膨らんで行くのを感じながら、今度こそ僕らは振り返らず奥へと進んでいった。

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