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デスゲームノ『王』※お受験凍結中  作者: 野菜連合
三章ーー黒羽街《スパイクフロー》ーー
37/55

第三十三話 覗く『悪意』

はいこんばんわー!

見てる人によってはおはようございます?それともこんばんわ?はたまたぐーてんもるげーん!?

さてさてテンション張り高です!もう最高です!


そんなわけで十一月の最後の最後に滑り込みで更新です。

といっても今回はmiyuu君の活躍はありません。

てかしばらくは焦点変えようかななんて考えたりしてたり・・・いやいや一段落つくまではやっぱりmiyuu君でしょう!・・・どうしよう?



というか未だに悩んでる新作の話もあります!

正直新作は結構色々ありまして、正直どれを投稿しようか、それともやっぱり安定した執筆時間ができるまでは我慢するか未だに悩んでます!


さぁ、どうする!!?






とまぁそんなことはおいておいて本編どぞ!

第三十三話 覗く『悪意』






「かーごーめーかーごーめー」


無邪気な声が夜の街へと木霊する


ボスが倒された日の夜、宴会気分もすっかり抜け切り・・・というかみんながみんなここ数日の緊張とこのお祭り騒ぎで疲れ果ててすっかり静かになった始まりの街のとある一角


「かーごのなーかのとーりーはー」


より厳密に言うのならそれこそボスの潜んでいた古教会の前、たった一つの影がこの夜の街を支配していた


「いーつーいーつーでーあーうー」


miyuuと同じゲームでは珍しい黒髪。

そしてまた同じように一切手の加えられていないあどけなさの残る顔立ちをした青年が1人空を仰ぎ月を見上げて広がる星に見蕩れ闇に恋していた


「うしろのしょうめん───だぁーれ♪」


やけに芝居がかった所作で1人踊り歌う少年は最後まで歌いきると同時に笑顔だった顔を一気に冷めさせて空を睨み月を見下し広がる星を嫌悪し闇を憎んだかのような色を見せる


「くだらない、実にくだらないよ。まるで1ピコ単位で閉まっていく扉をずっと眺めている気分だ。」


そう吐き捨てるかのように空へと恨みごとを投げた青年がようやく視線を下ろす。


服装はこのゲームの中では縁の無さそうな黒い学生服。

胸を張っても少しブカブカなそれを気にもせず青年は教会への入口へと足を進めた。


「つまりどういうことかというと・・・結果の分かりきっていることをただただ眺めている気分だということ。・・・おっと君達にはわからなかったかな?それとも僕のこの芸術を理解してくれたりするのかい?」


独り言・・・のはずだ。この空間には誰もいないし誰もやって来ない、少なくともこの青年はそう認識していた。

例え少年の声が町中に木霊していようとも、誰もここには来ない。


「あー違う違う勘違いしないでおくれよ。僕の作品ってのは間違えても足元に転がる廃棄物(ガラクタ)のことじゃない。」


───哀れな犠牲者がいくら悲鳴を上げようと誰もこの殺人現場へとやって来ないのだ。


地面へと転がる計五つのアバター。頭上へと目をやればHPゲージは既にゼロを示す黒に染まっており、そう時間の経たないうちにそれらすべてがポリゴンへと変わることを示している。


唯一の例外は同じく地に伏したほかのアバターに比べても一際ゴツイ男。

だがその顔は体躯に反して涙や鼻水といった体液に化粧され口からは嗚咽と共に涎が垂れ流しにされている。

ゲームなのにここまで再現できるブラスの技術力はやはりよほどの物だろう


「僕の作品というのは・・・形にならないものなのさ。こんな趣味の悪いものを芸術とか言っちゃうような変態連中と一緒にしないでくれるかい?」


もっともそれも青年にとっては道端の草、川原の石に過ぎない。

故に彼は誰かに話しかけているのではなく独り言をうたっているのだ。


「お、お前は!一体!なんなんだよ!!なんで!こんなことするんだよぉぉ!!」


実に情けない声が恐怖に負けた男の口から漏れ

それにより青年の意識がそちらへと向けられる


「・・・?」


突如進めていた歩みを止め青年がゆっくりと振り返る


「・・・なに?今なんて言ったの?」


振り返った青年は寒気がするほどの無を顔に張り付けて男を睥睨している

男は呼吸を忘れ叫ぶことも出来ずに自身のHPを確認する。


覚えているのだ・・・自身の仲間が何をされるでもなく急速にHPを減らし倒れていったのを


「”ただ数が無駄に多いだけの凡人共が僕ら無二の存在に向かって何たる口の利き方か”」


黙っていれば生きていられた


死ななかったかもしれない!


そんな後悔が渦巻く脳を無理やり働かせて男は生を掴もうと手を伸ばす


「た、すけっ「僕はネイター、世界を動かす権利を持つ天才のうちの一人さ。」───は?」


最後の疑問符は目の前の青年ではなく自身のHPの変化に対して放たれたものだった。


急速に緑のゲージが減少し黄色を経て赤へと変化する


「ちょ、ちょっと待っ────」


言い切る前にゲージは完璧な黒に染まり男もまた一切の動きを見せない横たわるアバターの1つと化した


「・・・草は踏み躙られ蹂躙される為に存在しているのさ、所詮凡人の決めた優劣なんて雑草か薬草かぐらいの差でしかないんだよ。」


”ネイターという例外を除いてね”


飲み込まれた言葉は今度こそ誰の耳にも届かず空へと飲み込まれていく。


「僕はネイター、形を持たない物語を紡ぐ芸術系の天才さ」


今度こそ青年は元の笑顔を顔に浮かべて古教会へと消えていく。

残ったのは夜の静けさとポリゴンへと分解され空へと消えていく青いアバターの残滓のみだった






◇◆◇◆




所変わって同時刻の宿屋の一室。

そこでは若い男女がかなり極端な人数比率の中で会議を開いていた。


「というわけでみんな、明日は朝から出かけるから僕のことは気にしないで!」


そう発言したのは快活そうな印象を持たされる爽やかな青年カケル、極端な人数比率の圧倒的少数の方に位置する男である。


対して残った大多数の割合を占める少女達、具体的にはカケルという男子一人に対して女子が四人。その少女達は理解の追いつかないと言った様子で「は?」と口を揃えて漏らすのみであった。


「いやだからね?ちょっと用事ができたというか何と言うか・・・まぁとりあえずしばらくの間はみんなと一緒に行動できな───「許しませんよ!!」・・・い?」


そんな少女たちの反応をどう受け取ったのか・・・カケルは再び同じ事を繰り返そうとしそれに耐えられなくなった少女のうちの一人が机を勢い良く叩いて身を乗り出した。その際胸元で振動が伝わって激しい自己主張をした塊が二つほどあった訳だがそれに反応したのも青年ではなく残った少女達三人である。


「お姉ちゃんそんなの許しません!!だいたいカー君はそういって毎度毎度揉め事に巻き込まれるじゃないですか!これはデスゲームなんですよ!?現実よりもより死が近い世界なんです!ただでさえゲームをやらないカー君が一人で行動するなんて許されるわけがありません!お姉ちゃんは断固反対です!」


そんな一言で言うなら女性的な、古い言葉を使えばボンキュボンッ!な体つきをした長めの黒髪を人房のみつあみにまとめたタレ目の少女。

会話から勘違いされるかもしれないが彼女はあくまでも幼馴染みでありmiyuu、現実の悠哉と深く関わった人間の一人である。


「ていうかゲームの中でぐらいカー君はやめてよゾンビ祭りさん。」


「逆に私は現実の呼び名で呼んで欲しいんですけど・・・というか話をそらさない!」


「・・・別にそらしたつもりはないんだけどなぁ。それに一人でもないしね。」


現実で舞姉と慕う先輩からの言葉に苦笑いを漏らしそう返すと今度は四人の少女が皆して身を乗り出してくる。


「「「「女の子はダメだよ!!」」」」


「い、いや、二人とも男だけど・・・」


それを聞いて再び椅子に座り込む四人。


「それを早く言いなさいよ。勘違いしちゃったじゃん。」


いや言い切る前に突っかかられたらどうしようもないとは流石に言えないカケルだった。


それは今の少女に対してそれをいうことがどれだけ危険なのかを理解しているからで決して呆れてものも言えないなんていうことはないのだ。


先程の少女、久城 舞がカケルにとって先輩であり幼馴染みであるのならば眼前の少女橘 居鶴は同級生であり頭の上がらない完璧超人と言える。

マンモス校のなかでも常に成績トップを保ち、生徒会や部活をいくつか掛け持ち、友人にも囲まれた超がつくほどの美少女。もちろん料理や芸術方面だって苦手はないしカケルがゲームを始めると知った時には教師を買って出てくれるほどにはゲームも上手く面倒見もいい。

文武両道才色兼備・・・しかし怒ると怖い、そんな人間だった。


「い、いやまぁとにかく二人ともすごく強い人で経験もある人だから安心してくれて───」


「それじゃ私達もついていけばいいじゃん」


カケルの言葉はまたしても少女のうちの一人に切られてしまう。

今度声をあげたのはクセの強い髪をショートカットにした少年のようち女の子、淡峰 蜂姫。


初期の布の服の上からでもわかるほどにスタイルはいいのだが如何せん起伏が乏しい。そしてこれまた笑顔が弾ける可愛さを持った少女だった


「別にカケルが一人で行く必要もないでしょ?なら私達にもその人達を紹介してよ。」


そして随分と思い切った行動をとる同級生だ。


「い、いやーどうだろうなー?向こうの人にも確認しなくちゃならないし・・・ひとまず明日は僕一人で───「メール。」・・・はい?」


「確かメッセージ機能あったじゃん、このゲーム?それ使えばいいよね!」


ニコニコと笑顔で確実にカケルを追い詰める蜂姫。


「あー・・・でもこの時間寝てるかも」


必死に食らいつく彼女たちにも事情はあるが

ここまで食い下がるカケルにも彼女らを紹介したくない事情があった。


彼女たちの事情は簡単にして単純明快、”大切なカケルに危険から離れて欲しい”。

カケルだってそのことには気付いている。

もちろんその愛の形が果たして友愛なのか親愛なのか恋愛なのかということに関する認識の差こそ在れどの話だ。


対してカケルの事情はまだまだ未熟かつ立場が不安定な自分が勇者という職業を手に入れてしまった。


危険に飛び込まないなんてことが出来るはずが無い

それにカケルの目的は自身の友人たちを守ることでもある、何と言っても男は自分だけなのだ、いくら実力が伴わなくとも守りたいと思うのは当たり前だし守るために力をつけるのもまた当たり前のことなのだ。


アルフレッドとカズマの二人は教師としては理想的なのだ。

何と言ってもあの二人のは才能ではなくどこまでも高められた技能でしかない。

長年培った経験と精錬して来た戦闘。


たまに放送される超トッププレイヤーと言われる人達ほどの華は無いがその分堅実で崩れない。

カケル自身が姉と慕う山吹 舞もトッププレイヤーと言われる所まで上り詰めたゲームで幾度となく出会ったことがあるらしくカケルもつい先程まで忘れてはいたが現実で舞から絶賛を聞いたことがあった。


”その知識と経験が形になって戦っている、まさに戦う教科書みたいなもの。”


その言葉に偽りはなかったと思う。彼自身もそこまでプレイできたわけでもないのにあそこまでの知識を蓄えているのが既に異常といえる。


アルフレッドにしたってそうだ。

彼はゲームそのものが初であり銃こそ慣れているもののゲーム内で使用するような大振りの刀剣の類になれている筈がない。さらにはまともに紹介を受けたわけでもない人間の特性までを理解してボス戦に連れていくなんて指揮官としてはかなり危険な橋だ。

それでも死者は僅か二名、それも予想外の強敵を相手にしての話。

事実miyuuとマキナ以外のすべての人間が彼の指揮通りに動いたらしい。

初の戦果としては地味であろうとも上々過ぎるほどに上々だ。


だからこそ手が届く。


正直個性の強い自身の友人達に教導を頼んだところで自身に合った戦いができるかはわからない。何よりも自身に付きっきりになりすぎて彼女らのレベルが上がらないだろう。

だがその点彼らには計画がある。自身の管理を怠る事はないだろうし二人とも教えることに慣れている風だった。

だがそれを彼女達に言ったとしたらどうなるだろうか?


きっといろいろな受け取り方をするだろう。


自身は役に立たないとかはたまた捨てられたとか。


いやまぁ流石にこれは飛んだ例だが無い事はないかもしれない

だからこそ僕は明かせずにいる。


しかしだんだんと言い訳にも苦しくなってきた。

たとえこの時間寝ていたとしても別に朝見ればいいだけの話。ついてくるのにアポが必要な用事なんてゲーム開始早々なかなかあることではない。



どうしよう?



そんな風に脳内で必死に言い訳を模索していると思わぬところから助け舟が来た


「あー、私一抜け!!」


突然喚き出したのは残った最後の少女、髪を金髪に変更してアクセサリをこれでもかとつけたこれまでの少女達とはまた違った美しさをみせる南 律。


「リツちゃんこういうのきらーい。めんどくさいしーもう眠いよー!!」


そういって駄々っ子のように地面転がりはじめた


「で、でも律ちゃ───「ねー!むー!いー!!」・・・だよね、しょうがないか。」


一度言葉を中断されながらも手と手を打ち合わせて一度視線を集めると言葉を続ける舞


「それじゃ今日はお開き!カー君も今日はもうお部屋に戻って、ね?」


な、何だか良く分からないけど助かった?


「ぅやほーい!それじゃリツちゃん寝る準備してこよーっと!」


そういって機敏な動きで早速改造したスカートがまくれるのも気にせず飛び上がると猫の様なしなやかさで起き上がりわざとらしく両手を広げて「ブーン」とカケルが立つ入口へと駆け出す。

そしてカケルにしか聞こえない声で「これは貸しだよ☆」と言ってバッチリウインクまで決めてから廊下へと消えていった。


「相変わらずテンションたっかいねー、律ちゃんは!」


「いやあなたも大概よ蜂姫。」


「・・・えっ!?」


カケル自身も消えた律を追って廊下へと向けた視線の後ろから聞こえてくる会話に少し苦笑いを漏らしながら自分の部屋へと歩き出した。


(・・・やっぱり男なら守らないとだよな。)


自身のせいでデスゲームに巻き込まれた友人四人と小さい時から何かと頑張ってくれていた親友の為に、まずは───


「力をつけないと」


そういってある種の決意を持って部屋へと消えたカケルの背中を消えたはずの少女が見送る。


「力をつけないとー・・・ねぇ。やっぱ男の子ってみんなそう考えるものなんだね!リツちゃんには良く分からないけど〜」


そういって今度こそ騒ぎの収まらない女子の寝室へと消えるのであった










舞・・・カケルの幼なじみにしてかつてmiyuuとも関わりがあった人物。年はひとつ上でゲームにアクションゲームに関しては結構な腕前。カケルのことを好いている。ゲームでの名前はマイマイ


居鶴・・・高校に入って知り合ったカケルの友人。完璧超人ではあるものの結局のところは普通の人である。実家がお金持ち。ゲームをやって入るがひとつのゲームにはまり込む正確ではなく広く浅くを行っている。ほのぼの系のゲームが好き。カケルのことを好いている、ゲームでの名前はイナナキ


蜂姫・・・元気っ子。カケルとは居鶴を通して知り合った。勉強も得意だがそれよりも陸上の方に集中しており県の記録保持者でもある。

ゲームはもともとより早い世界が見たいという一心から始めたのでそこまでのめり込んではいないがアクションRPG系のステータスの振り方や動き方などかかなりの知識を持つ。カケルのことを好いている。名前はハニーパッシュ


律・・・髪を金髪に染めたりアクセサリーをつけたりキーホルダーをやたら持ってたりするいわゆる所のギャル・・・的な何か。ブリっ子で腹黒。本人は周りに広めていないがネイター登録者である。カケルとこのゲームに入ったのはたまたまで同じ学校ということで行動をともにしている。

カケルのことを好いているかは不明、名前はリッチャン♥鉛色の堕天使

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