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兄転生、妹召喚  作者: 睦月 朔日
第一章~未定~
4/14

~第3話 初めての戦闘~

―――ガサッ―――





「ん?」



 近くの茂みから何かが動くような音が聞こえてきた。

 誰かやってきたのだろうか? いや、そもそもこんな場所に何のようだ?

 ここなら誰も来ないと思って、わざわざここまでやってきたわけだし……。



「だ、だれかいるの?」

 俺は徐に音がしたほうへと声をかけた。しかし、反応がまったくない。気のせいだったのだろうか? 俺は辺りを注意深く見渡してみた。が、やはり誰もいない。



 おかしいなぁ。確かに音が聞こえた気がしたのだが……。

 気のせいだと思い気を取り直して、花を摘みに行こうとした、その時。



―――ガサガサッ―――





「っ!」



 やはり茂みになにかいる!! どこだ!?


 再び俺は辺りを見回す。

 そこへ、茂みの中から一筋の矢が俺を目掛けて飛来してきた。


「くっ!!」


 間一髪のところで飛んできた矢を掴むことができた。

 普段の俺だと恐らく回避すらすることが出来なかっただろうが、先ほど使用していた『オーラ』のお陰で難を逃れることができた。

 しかし、これだけでは終わらなかったようだ。



「ギギッ!!」



 茂みから飛び出してきたのは、武装したウサギのような動物だ。いや、待てよ。これはどこかで見たことがあるぞ。

 アレは……、FTOに出てくるウサギ型の魔物に似ているような。


 そうだ! ラピッドレンジャーとラピッドソルジャーだ!!


 って、似ているというか、それそのものじゃないのか!?

 けど、なんでだ!? 確かに自称神には能力を引き継いで転生させてくれとは頼んだが、なぜFTOに出てくるモンスターが居るんだ!?



 俺の周りを取り囲む敵の数は、およそ15体。敵の強さは決して高くはないのだが、流石にこの数だ。

 何より、ラビット系の厄介な所は、その統率力にある。1体づつであれば簡単に倒せるレベルなのだが、周囲との連携がうまくとれていて、厄介極まりない。

 1人で相手をするのは少々骨が折れるかもしれない。


 いやいや、それどころじゃないだろ! とりあえず、攻撃してきたってことは、敵対しているってことだし、なんとかして倒さないと。

 ゲームだった時は、死んでもリスポーン地点で復活することができたのだけど、流石に現実の世界だ。そんな都合の良いことはないだろうな。



 さて、んじゃちょうど力試しにやらして頂きます!!





   ◇◇◇◇◇





 『エナジーバレット!』


 魔力の弾がラピッドソルジャーに当たる。これは、魔法系職業の基本職である魔法使い≪マジシャン≫の初級スキルだ。

 コストも小さく、牽制として使いやすい。


 先の攻撃を受けたラピッドソルジャーが、俺に向かって突進してくる。

 そして、装備している剣を振りかざして、俺に攻撃を仕掛けてきた。


 俺は、その攻撃を紙一重で受け流し、敵の背後へ回る。



「これで……、終わりだ!!」


 俺の拳から放たれた攻撃が最後のラピッドソルジャーを貫いた。


「ギィーー!」



「はぁ……、はぁ……」



 最後のラピッドソルジャーが消滅したことで、辺りが静寂へと包まれた。

 流石に複数の敵を相手にしたせいか、疲労で体中が悲鳴を上げている。



 っく……。流石に5歳児の体だと、長時間の戦闘どころかこいつら程度ですらままならないようだな。



 けど、おかげで色々な情報を知りえることが出来たな。



 まず、この体だが確かにスキルの補正等あってか、そこらの5歳児以上の力を発揮することが出来るようだ。

 しかし、されど五歳児。体が出来ていないせいで、動きに体がついてこない。

 つまり、格闘系のスキルを使用するためには、もっと自身の肉体を鍛える必要がある。



 まぁその点に関しては、時間があることだし、これからの課題として鍛えていこう。



 逆に魔法関連に関してだが、こちらは魔力操作に慣れてしまえば、そこらの魔法使いとは遜色ないレベルで使うことが出来そうだ。



 また、魔力に関してはかなりの魔力を有していることが分かった。

 戦闘中も先程召喚したカーバンクルを脇に待機させて召喚を維持していたし、初級スキルではあるが魔法使いのスキルもかなり使用することができた。

 つまり、カーバンクル程度であれば、戦闘中に魔法系のスキルを使用しながら召喚を維持し続けていても問題がない訳だ。

 勿論、俺が契約している召喚獣の中では、一番コストが低く、能力もそこまで高くはない。

 ただし、カーバンクルのいいところは物理、魔法共に防御面に優れているところで、指定した対象を常に守り続けることが出来る。



 そうとわかれば、今後の課題が見えてくる。


 まず、当面は体を鍛える事。

 次に、使用可能なスキル(これは今日確認しなかった生産系も含まれる)、魔法の調査と素材集め。

 それと、この世界についての情報集め。

 最後に、召喚魔法の研究だ。



 やはり、戦闘面では体を鍛えておいて損はない。むしろ、魔法使いの撃たれ弱さをカバー出来るわけだし、これは優先度としても高い。


 それに、自分が使用出来るスキル調査も欠かせない。何せ、ゲーム時代と違い、これは現実の世界だ。

 自分が使えるスキルや魔法の特性を調べれば、新たな可能性が見えてくるかもしれない。

 また、やはりこの世界で暮らしていくならば、お金が必要になってくるだろう。

 そのためにも、自分が何を出来るのか。そして、どのような素材が存在しているかななどは調べねばいけないだろう。


 さらに、この世界について。これは、先程流してしまったが、なぜFTOのモンスターがこの世界に居るのか。

 これは、もしかしたら他にもFTOと酷似していることがあるかもしれない。

 まぁ時間がかかるだろうが、きっと調べておいて困ることはないだろうしね。


 そして、最後の召喚魔法の研究は、俺の究極の目的の一つだし、やらないわけにはいかない。

 むしろ、これが転生した目的の一つなのだから。




 さー、やることが見えてきたなー。やることは山ほどあるわけだが、時間もまだまだ沢山ある。

 これから忙しくなるだろうけど、頑張っていきますかー。






―――ガサッ―――






 「ん?」




 あれ? もしかして、敵がまだ残っていたのか?



 先ほどとは逆の茂みの中から現れたのは……シャルだった。



「にーにぃ……」


「っ! シャル、お前なんでこんなところに……!」




 ま、まずい!

 先程の戦闘を見られていたか!?

 いくら敵がラビッドソルジャー達だと言っても、本来なら五歳児がかなう相手ではない。

 これが、他の人間にばれてしまったら、俺の計画が狂ってしまう。


 ここは何とかして誤魔化さなければ!


「シャル。お前いつからそこにいた?」


 俺は、普段シャルに見せているような優しい声をかける事さえ忘れるほど動揺してしまった。

 シャルは、驚いているのか俺の問いかけに恐る恐るといった具合で答えた。



「えっと……、にーにぃが、うさぎさんたちとケンカしてるところから……」



 っく!



 完全に戦闘している姿を見られてしまっていた。

 これでは、言い訳のしようがない。

 もし、これが戦闘が終わった直後であれば、とぼけることもできただろうが。


 ヤバい! ヤバすぎる!!

 このままでは、妹に嫌われてしまう!!!

 な、なんとか誤魔化すなりなんなりしないと。



「あー……、えーっと……。これは「にーにぃ……、とってもかっこよかった……」だな……って、え?」



 シャルはあどけない笑顔で俺にそう言った。


「え? あれ!? 怖くないのか!?」


「……? なんで?」


 シャルはそう言うと、俺の方へとトテトテと歩いてきて、抱きついてきた。

 それがさも当然のように。



 あるぇぇぇぇぇえ??

 俺は訳もわからず、さらに混乱してしまった。


 いや、まぁ怖がっていないのは別にかまわないっていうか、むしろ都合がいい訳なんだけど。

 でも、普通五歳児がこんなはちゃめちゃな力を振り回してたら、怖がって当然な気がするのだが。



 …………。


 ま、まぁこれも愛のなせる技かな!(主に俺の)


 俺は、抱きついているシャルの頭を撫でながら、今後の事を考えていた。


 とりあえずはシャルに能力の事がばれてしまったわけだが、シャルに黙ってもらうことにして何とか隠し通すべきだよな。


 流石に、周りの大人たちは気味悪がるだろうし、何しろ両親にはバレて欲しくはない。

 もしかしたら両親も受け入れてくれるかもしれないが、普通だったら気味悪がって最悪親子の縁を切られてしまう可能性も否定できない。


「シャル。この事なんだけど、他の人には内緒にしていてくれないか?」

「……なんで?」

「え?」


 あー。まぁ普通は疑問に思うよな。

 どうするかな。なんとか誤魔化さないと。


「……ほら、あれだよ。……特訓してるのがバレたら恥ずかしいだろ?」


 シャルの疑問に思わずウソをついてしまったが、まぁあながち間違いではないわけだしいいだろう。


「……うん。わかった。じゃあやくそくだね」


 俺のいい訳納得してくれたのか満面の笑顔で答えてくれた。



 うおぉ! その笑顔がまぶしすぎる! 俺のやましい心をグサグサ抉ってくる。

 でも仕方ない。俺もこの家族を失いたくはないし、やることは山ほどある。

 こんなところで立ち止まっている訳にはいかないのだから。


「よし。じゃあお花を摘んでからおうちに帰ろうっか」

「……うん!」



 こうして、シャルと二人で花を摘んで家路へとついた。




 ちなみに次の日。

 俺は技の使い過ぎで筋肉痛でベットから起き上がれなくなってしまった。

 両親は心配してくれたが、シャルのやつは拗ねてしまって、1週間は口をきいてくれなくなった。





 ……うわぁぁぁん!!!!!!


更新が遅くなってしまいました。


ほぼ毎日のように更新している人は、なんなのでしょうか?

神ですか!?


初めて戦闘シーンを書きましたが、とても難しいです。


戦闘シーンが勉強になる小説とかあったら是非教えてください!


2011/12/15 主人公の一人称を修正

2011/12/25 誤字修正

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