~第2話 能力を調べてみよう~
たった一日でPV1000も超えてくれてる!
正直チキンな僕としては、もう嬉しいんですが、皆さんの評価が怖くて怖くて(笑)
でも、見ていただけたことに感謝いたします!!
さて、ここまで来れば、大丈夫かな。
俺は家の裏山の麓辺りまで歩いてきた。家から徒歩10分くらいで着く場所だし(実際は五歳児の足だから30分もかかってしまったのだが)、この場所はなぜだか人が寄り付かないんだよね。
意外といい場所なんだけどなぁ。緑は豊かだし、花畑もあっち側に見えるし。
今度、シャルのやつも連れてきてやろうかな。あいつ、きっと喜ぶだろうなー。
ふふふ…………っは!
いかん、いかん。雑念が。
そろそろ、自分の能力を確認しておこうと思ったのだが、万が一この事が誰かにばれてしまうと大変なことになってしまうしね。
んじゃ、はじめますかー。
まずはちゃんと能力が引き継がれているかを確認するべきなんだが……、そもそもゲームのようにステータス画面のようなものが存在しないため、自分のステータスがまったくわからないのだ。
職業のスキルが使えればある程度は推測できるかもしれないし、まずは職業が使えるかを確認するか。
おっと、ここでFTOの職業システムについて、簡単に説明しておこうかな。
FTOには職業系統が大きく分けると武器攻撃系職業、魔法攻撃系職業、回復系職業、生産系職業の4種類ある。
まず、武器攻撃系職業。基本職業に剣士があり、上位職に、攻撃特化の狂戦士、防御特化の騎士、回避特化の盗賊の3つがある。
次に、魔法攻撃系職業。基本職業に魔法使い、上位職に、魔法使いの更に上位の魔法が使用できる魔術師、召喚獣を従えて戦う召喚士、属性魔法が得意な祈祷師。
回復系職業では、基本職業に僧侶があり、上位職業では、職業最大の回復力を誇る神官、支援魔法を駆使して味方をサポートする吟遊詩人、気を纏って肉体を強化して、己の肉体を使って戦う武闘家。
最後に、生産系職業では、基本職業に商人。上位職に、武具を生産できる鍛冶屋、巧妙な機器を作成することが可能な機工師、ポーションから魔石まで様々なものを生成することができる錬金術士がある。
FTOでは、その4系統の中から、4つまで職業を選択することができる。勿論最初は基本職業しか選ぶことができないが、転職条件を満たすことで上位職に転職する事ができる。各職業には職業レベルが存在しており、職業スキルを使用していくとその職業レベルが上がっていく仕様となっていた。
このシステムのおかげで、様々な職業をユーザーがキャラメイクをすることが可能となっている。通称、職業創造。
例えば、武器攻撃職種である騎士と魔法の扱いに長けた魔術師では魔法騎士に、回復職である神官と凶暴な力を奮って戦う狂戦士では戦神官となり得る。はたまた、騎士、魔術師、神官の三つで勇者なんていうこともできる。
勿論、システム上ではそのような名前が付けられているわけではないのだが、このようにキャラメイクが行えるとあって、FTOは人気があったのだ。
ちなみに、俺が使える職業は、魔法職から、召喚士、回復職から武闘家、生産職からは、鍛冶屋と錬金術士の2つである。
勿論、俺の職業も職業創造をしてある。
その説明は、次の機会まで取っておくことにしておこう。
じゃあまずは、召喚士たる召喚術をやってみますか。
ゲーム内ではさんざん使った術だけど、いざ実際に自分が発動するとなると……、うん、テンション上がってきた!!
召喚術とは、文字通り契約した召喚獣を魔法で呼び出し、使役して戦わせる術である。
ここで、召喚獣と契約について説明しておこうかと思う。
召喚獣とは、召喚術で使役する対象を指すものであり、魔力を持ったモノである。
つまり、それが物でも者でもなんでも構わないのだ。
次に契約についてだが、召喚獣と契約する方法は、大きく分けて2パターンある。
1つが、契約召喚で契約をかわすものだ。
この契約には、召喚したい対象の素体(体の一部や思いがこもったものなど)と魔力を消費して契約対象を強制的にこちら側に召喚して契約してしまうというものだ。
FTOでもこの方法が主流で簡単な召喚獣の素体は露店などで安く売られていたほどだ。
次に、契約する召喚獣と直接、魔術契約を交わすことである。
そもそも、魔力を持った対象が簡単に見つかるものではないのだが、契約召喚では契約することができない強力な召喚獣の契約に用いられる。(まぁ大抵契約対象を討伐した報酬となるため、生半可な能力では契約できないのだが)
だが、俺自身、能力を継承した段階で契約も引き継がれているようで、ゲーム時代に契約していた召喚獣が既に使えるようになっているのだが。
んで、召喚術を使ってみようかと思うんだが……。色々いるけど強力なやつ喚んでも何かするわけでもないしな。無難にあいつでも喚んでみるか。
ふぅ。
…………
………… …………
やっべー! なんか緊張してきた!
えっと、こういう時は深呼吸、しんこきゅうっと。
吸ってー、吐いてー、すってー、はいてー、すt……。
ふぅ。
よし! 今度こそ呼び出すぞ。
…………
………… …………
………… ………… ………… …………
って、召喚術ってどうやるんだ!!!
致命的なこと忘れてたよ! 俺、使い方なんて知ってるわけ無いじゃん!
なんということだ……。
序盤のまさかこんな場所で躓いてしまうなんて……。
んー、FTOの時って俺どうしてたっけな? 確か、スキルアイコンをクリックして……、そしたらスペルウインドウが出てくるから、それを唱えて……あ、そっか。詠唱呪文が必要なのかな?
うんうん、魔法って言ったら呪文の詠唱だもんね!
んじゃ、気を取り直して再度挑戦だ!
場が静寂に包まれた。俺の周りに見えない力のようなものが集まっている気がする。
『我求む。貴人の指を赤く飾り、貧者の命を助き求むる者へと渡りながら、内なる声聴く主を探す赤き宝獣。召喚・カーバンクル!!』
俺の詠唱が終わった途端、先程から体に集まっていた力が体外へ流れでた感覚が俺を支配した。
そして、次の瞬間。俺は閃光に包まれた。
――キュゥ――
お……、おぉ!! 出たー!!
俺の目の前に、頭部に赤い宝石が埋め込まれた、光る小動物がいた。んー、あれだな。見た目はリスに近いかな。
でも、尻尾は先が尖って長く、さわり心地はとてもよさそうな感じだ。
「お……、お前はカーバンクル……だよな?」
――キュイ!――
カーバンクルが肯定の意を示すかのように、俺の問いかけに反応してくれた。
ただ、反応してると言っても、声を出して鳴くという感じではなく、頭の中に直接話しかけられている感覚だ。
なんか変わった感覚だなー。まぁ召喚獣に対して、常識とか通じるわけないか。そもそも、俺自身非常識な存在なんだしな。
しっかし、なるほどねぇ。召喚獣を出しているときも何かが抜けていく感覚があるし、恐らくこれが魔力ってやつなんだろうね。
従来、FTOでは召喚士は召喚獣を召喚しているときは、常に魔力を消費する仕様となっていた。
現に今、カーバンクルを召喚している際にも、俺自身の体から魔力がカーバンクル自体に流れて行ってる感覚がある。
恐らく、カーバンクルをこちらの世界にとどめておくために、俺自身の魔力を使っているのであろう。
OK、OK。
大体魔力に関しては、感覚が掴めてきたぞ。
これで、詠唱系のスキルは問題ないか。
本来はスペルウインドウに表示されているスペルを詠唱するのだけど、スペルの詠唱がうまくいかないとスキルが発動しない仕様だったおかげで、使用可能な詠唱呪文なんかは全部覚えちゃったんだよね。
とりあえず、魔力の消費量を調べたいし召喚しているカーバンクルには、そのまま居ていただいて……、次行ってみよー。
さて、あとは実際に体を動かす格闘系のスキルだな。
まずは武闘家の基本スキルとなる『オーラ』だよな。
『オーラ』とは、使用することで術者の気を体に纏い肉体を強化する。これは、武闘家の基本スキルにして、終盤でも使用される必須スキルとなる。
ちなみに、格闘系スキルの発動方法は、技名を叫んだ後発動モーションをとれば発動してくれる。
まぁある程度のアシストはついてくれるので、そこまで発動モーション自体は難しくない。ただ、上級スキルとなっていくと、発動方法がそもそも難しくなっていったりもする。
ちなみに、『オーラ』の発動モーションは自然体で、全スキルの中でもっとも簡単に発動させることができる。
「よし、『オーラ』!」
おぉ! 力がわいてくるな、これ。ゲームだった時だとわからなかったけど、まさに内側から力がわいてくる感覚。まるで自分の体が羽のように軽いし、今だったら一日中走り回ってても汗ひとつかかないかもしれないぞ。
まぁ効果自体は10分ほどしか持たなかったはずだけどね。
じゃあ次は『烈風拳』をだな。
この技は、名前こそカッコいいかも知れないが、要は風を斬る程の正拳突きである。
威力は正拳突きのスピードから出る衝撃波でそこそこあるわけだが、それでも初級スキルの位置となるのでそこまでは強くないはずだ。
「―――ふぅ、……『烈風拳』!!」
―――ゴウ!!―――
正面の岩へ放たれた拳は、前の岩めがけて衝撃波が発生した。
ここまでは、スキルの発動だし予想通りの結果だ。
ただし、ここから先は流石の俺もまったく予想だにしていなかった。
なぜなら……、正面にあった岩の中心がきれいさっぱりにくりぬかれてしまったのだ。
……は!?
いやいやいや!! おかしいでしょ! 岩が砕けるとかくらいだったら俺も予想してましたよ! 何せ、ゲーム時代の能力を引き継いでいるんだったらね。でも、それを通り越して岩が、たかが五歳児の正拳突きくりぬかれちゃうとか。
…………。
コマカイコトハキニシナイ。
ま、まぁもしかしたらこれがこの世界の常識かも知れないしな!
……ちなみにだが、一応全技は使ったことがあるので発動モーションは覚えているから、使おうと思えは上級スキルも使えるはずだ。
だが、そもそもそんな上級スキルが必要になるほどの相手もこの辺りにはいないと思うし、先程のスキルの威力を見たら、流石に大技を使用するのもためらわれてしまう。
それらに関しては追々で構わないだろ。
魔法も使えたし、格闘スキルも使えたし、戦闘に関しては問題ないはずだ。
各上級スキルが使用できるかが、まだわからないのだけど、流石にあまり派手なことをしてしまうとこれだけ離れていても誰かに見つかってしまうしな。
今日はここまでにしておくべきかな。シャルのやつも心配してるだろうしなー。
あー、今日遊んでやんなかったからいじけてるかもしれないよ。
そうだ! 花でも摘んで帰ってやれば少しは喜んでくれるかもしれないぞ。
そうと決まれば、早速……。
―――ガサッ―――
「ん?」
2011/10/19 技名の修正
2011/12/15 主人公の一人称を修正
2011/12/25 誤字修正