エピローグ
大学に入り、俺と結月は共に学び、共に遊び、共に悲しみ、共に喜んだ。
時間を重ねるたびに、俺たちの関係はこれまで以上に太い絆へと変わっていった。
俺の中には、他にもたくさんの繋がりがある。
結月にもある。
誰もが、誰かと繋がっている。
そして今――結月は、新しい絆と向き合っていた。
規則正しく進んでいたはずの時間が、形を失う。
時計の針が進んでいるのか、止まっているのか分からない。
ベッドの上で、結月が小さく息を整えている。
苦しいはずなのに、時折、俺に笑顔を向ける。
俺は、その手を強く握った。
「……来る、かも」
短い言葉。
俺は焦ることしかできない。
手を握ることしかできない。
結月を、信じる。
「大丈夫……」
それは俺に向けてか。
自分自身へか。
それとも――これから生まれる命へか。
「ここに、来てっ!!」
あの日の短いメッセージを思い出す。
呼ばれたから、俺は行った。
今も呼んでいる。
呼ばれたら行く。俺がそうだったんだ。お前も、同じだろ?
空気が変わる。
静寂を裂く声。
そして――
新しい命の産声が、世界に響いた。
「結月……ありがとう」
繋がりは、また一つ。
未来へと、続いていく。
新しい命が産声を上げた、その瞬間。
俺の頭の奥に、懐かしい声が響いた。
「やったな、悠斗」
「おめでとう、悠斗」
「ユゥ、めでたいな」
「ユート、おめでとうございます」
――みんな。
胸の奥が熱くなる。
ありがとう、と心の中で返した瞬間。
「ユートの血筋が未来へ繋がりました」
「……え?」
「カナエはユゥの力を継いでるっぽい」
「は?」
「私の身体には悠斗の血が混ざってるんだってよ」
「な!?」
「隔世遺伝っていうのかしら、ね」
「に?」
情報量が多い。
脳が追いつかない。
「ユート、もうすぐ会えますよ」
「会える〜会える〜」
「待ちくたびれたわよ」
「約束、忘れんじゃねーよ」
いやいやいや。
「都合良すぎるだろ、この展開〜!!」
思わず声に出た。
「……悠斗?」
結月が不思議そうに俺を見る。
腕の中には、小さな命。
未来へ繋がる、俺たちの絆。
――会える。
その言葉の意味を、いつか知る日が来るのだろう。
物語は終わらない。
繋がり続ける限り、何度でも。
未来へ。




