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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第88話 どこ、なになに?

 あいつらはなんなんだ。


 ここはどこなんだ。


 身体に不自由な個所があるため、健常者としての生活が出来ないから、『ポイ活』とやらのβ版に参加していただけなのに。


 ときどきだが、変な『夢』を見る。


 薬の副作用で悪夢を見るのとは違う。


 夢の中では『感触』や『味覚』がないというのに。


 覚えている。


 何もかも覚えている。


 その中で、蹴られたとか叱られたとかの、相手から与えられたものをだいたい覚えている。


 起きたら、カチッとはまったかのように、胸の痛みが再発して息が切れてしまう。


 だけど、これはどうやら自分だけではないらしい。



「阿佐ヶ谷さーん? 大丈夫~?」

「仁藤さん、叫ばないでー。皆起きちゃうよー??」

「国田さん!? 大丈夫?? 暑い??」



 気が付いたら、病院のベッドなのは同じ。そして、左右は拘束器具をつけられて簡単に起き上がれない閉鎖病棟なのもそのままだ。


 何が起きたのか。


 夜半だけじゃなく、昼間も大人しくさせられるために、投薬を口だけでなく点滴などで補うようにさせられている。


 いつから。


 何日どころか、何週間。こんな生活をしてきたのか、はっきりと覚えていない。


 そもそも、『ポイ活』という単語をどこで覚えたのかも、あやふやだ。ゲームの広告宣伝とかのあれなのかと、ぼんやりくらいに思い出せるが。



「三富さーん? 起きたー?」



 看護師が『自分の苗字』を呼んでくれたが、水すら最近含んでいないので声もガラガラだった。ノックと同時に、非常口並みに重い扉を開けて入ってきたが。紙コップに茶でも入れてくれたのか湯気が立っていた。


 非現実的な夢から、現実に戻った気分が……ようやく、馴染んできたような気がする。


 自分の名前も、『三富夏奈』だと。性別は女で年齢も二十代後半なのも思い出せてきた。余程、強い薬で無理やり寝かせるくらい……錯乱していたのは、なんとなくわかった。なんのために、そんな馬鹿な行動をしたかまではわかっていないが。



「お茶、飲めそう?」



 看護師の気遣いに頷けば、補助テーブルと背もたれの調整をしてもらえた。ストローもわざわざ用意してくれるぐらい、自分の意識は混濁していたみたいだ。代謝が凄かったのか、着替えたいくらいに頭からびしょぬれである。


 とりあえず、片方の拘束具を少し外してもらい、自分でコップを支えて茶を飲むのを見守ってもらう。業務だろうが、夏奈の状態を見ることが出来るくらいにほっとしていた気がした。



「もう一杯、ほしい? 順番に配っているから、少し待つけど」

「……ほ……し、です」

「わかった。手だけごめんね? 背もたれは倒す?」

「……は、い」



 いつから、こんな殺風景な部屋で最悪な入院をさせられていたのか。


 どうして、こんな重い症状を抱えて、社会から爪弾きさせられていたのか。


 夢と混同していて、すぐに思い出せない。朝ご飯を運ばれてきたときは、医師も同席していたため、食べながらでもいいからと質疑応答の時間を設けられたが。



「これ、読める?」



 食事のトレーに書かれていた名札。そこには夏奈の名前以外に日にちがかかれていたのだが。


 なんとなく、記憶がある10月などとっくに終わっていて……今は、クリスマスも過ぎた12月27日だった。年末間近まで、数か月もこの部屋に閉じ込められていたようだ。



「……退院、出来……ませんよね」

「残念だけど。身寄りは……いないんだよね?」

「はい。両親は事故で……兄弟もいません」

「一応、緊急連絡先は父方の叔母さんになっているけど。連絡は適宜してるから。今の状態であることも伝えておくよ」

「……はい」



 疎遠過ぎる叔母とやらには会ったことなどほとんどないが、身寄りがないと入院不可であるのならそれは仕方ない。


 しかし、二ヶ月以上も『何がきっかけ』で救急搬送されたにしても入院していたのか覚えがなかったが。ひとつだけわかったのは、病院食は薄味どころか濃いめの味付けで意外にも美味しかったのだ。

次回はまた明日〜

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