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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第87話 なんで?なぜ?

 小鳥遊家でのクリスマスパーティーは、つつがなく始まってから終わることが出来た。子どもの頃のようにプレゼント交換こそはないものの、食事とテレビで特集を皆でみるくらいのささやかなもの。


 ゲストは成樹だけだったが、十年以上いっしょに食事をしていないのに『溶け込む』勢いで馴染んでいた。やはり、年月は経っていても親しい間柄だったお陰もあるかもしれない。


 藍葉のトラウマは両親らは特に言ってはいないが、成樹と付き合うと打ち明けたときはなんとも言えない表情をしていたので……ひょっとしたら、知っていたのかも。だけど、食事をしながらテレビを皆で歓談するくらいには大人な態度は取っていた。


 そして、片付けは美晴や両親がやるからと残ったふたりは自由時間にしろとリビングから放り出され……今、藍葉の部屋にいるのだが。


 どこでスイッチが入ったのか、いくらか甘い雰囲気になり、さっきから成樹に抱きかかえられたままだ。一応実家なので、必要以上のスキンシップは控えてくれているようだが。



(ち……近い)



 付き合うようになって、数か月程度。まだキスすらもしていないのだが、腕を組んだり手を繋いだりはしても……ここまで密着した接近は彼の仕事場兼自宅に邪魔する時以外なかった。


 しかも今は、仕事など関係なく完璧にプライベートな時間。それなら、と軽くいちゃいちゃしたいのも……わからなくもない。


 だけど、慣れていない時間と行動にどう反応していいか、と、焦ってしまって固まるしか出来なかった。



「……シゲ、くん」

「うん?」

「……たの、しい?」

「おん。藍葉からええ匂いするし、落ち着く」

「そ、そう……?」



 まったく、意味がないくらいに会話が進まない。


 世でいうところの恋人たちは、もっと甘い雰囲気で『それなり』の時間を過ごすだろうが。藍葉は人生で初めての彼氏だし、成樹は初恋の相手。夢に見た時間のはずなのに、固まるだけで気の利いた会話が出来ないのがもどかしい。成樹自身はそんな藍葉の反応を見ても気にせずに堪能しているようだが。



「……なんじゃ、藍葉? キスしまくるとか予想してたのか?」

「い、いいい、いや!?」

「してもええけど。下には美晴たちもおる。際限なくしたら、音も出るからな。我慢しとるんよ」

「が、我慢?」

「好きな子の部屋にいるんだ。気を許してもらっているのはわかるが……俺も俺で耐えとるんじゃ。ハグだけでも、めっちゃ緊張してるぞ?」

「えぇえ?」



 余裕そうに見えて、実はそうではない。少し信じられないが、ほらと胸のあたりに引き寄せられると当たった耳を通じて鼓動の早さがよくわかった。たしかに、藍葉くらい早いかもしれない。



「取り繕うくらいいくらでも出来るが、こればっかりはな?」

「……シゲくんでも、緊張するんだ」

「あのな? 三十路くらいだからって、ちゃんと男じゃぞ?」

「えぇ? おじさんには見えないもん」

「……そんなにも笑うなら、塞ぐぞ?」

「え、え、え!?」

「ははは。まだ今はリミッター外したくないから……こんくらいで我慢じゃ」



 と言って、おでことほっぺにキスするくらいが……成樹なりのセーブモードらしい。ふわふわであたたかいと思い、これが唇だったらと考えたら藍葉も想像力豊かな方なので羞恥心で顔を伏せた。


 絶対顔は赤くなっているし、からかわれてもいいからと懐に抱きつくと上から面白そうに笑う成樹の声が聞こえ……さらにしがみつけば、彼も気恥しいのか腕の力を強めたのだった。

次回はまた明日〜

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