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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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85/111

第85話 パーティーが始まる前に

 成樹は家から出るギリギリまで、『異世界ファーム』のアップデートに勤しんでいた。


 クリスマスパーティーには小鳥遊家へ呼ばれているが、年末年始は藍葉と過ごしたい。そのために、出来る限りのバグなどを起こさないよう綿密に調整しているのだが。



「……気づき始めたか、向こうも」



 ファーム内で『生きて』いるキャラクターたち。彼らが実在するかどうかなんて、夢見を通じてあの『ハル神』が曖昧に教えてくれた程度。


 助けてやれ。


 導いてやれ。


 その並行世界が現実とも繋がると、いつも曖昧に伝えてくるばかりのこの五年。


 ようやく形になり、藍葉へ到達したときには『ファーム』はゼロからのスタート地点しか用意出来なかった。それでいいとハル神が言う意味が、この半年でよく理解できたが。


 まだ直接出会わせていない『加東奈月』との協力支援になり得るこの事業を、『クロニクル=バースト』に藍葉を本気で巻き込んでいいのかどうかまだ悩んでいる。今更過ぎるが、ここまで巻き込んでおいて置いてくわけにはいかない。


 並行世界側とまったく同じような景色が『最初』なんて、彼女になったばかりの少女に見せるなんて酷以外の何ものでもない。



「……けど。藍葉以外に考えられん。俺のパートナーはこの先誰も譲らん」



 それくらいに、この半年かけて惚れ抜いたと言ってもいいくらい。障がいがなんであれ、藍葉以上の女を愛し抜くなんて到底考えられなかった。それくらい、適度な個性だと医師が判別できるくらいの症状なんて些末なことだ。


 だが、それを気にする藍葉のために、まずはコンプレックス以上に不便だった『足』を治すのを急ごうとはした。結果は、医師の判断が的確過ぎて来年に持ち越しになってしまったが。



「じゃから、『家族』との時間を大切にしてほしい言うのもわかっとぅ。俺も……藍葉に家族を改めて紹介したい」



 それはもう婚約前提の行動だと言われても、歳の差はあったって構わない。大学を卒業し、藍葉が正社員になったあかつきには……くらいの夢見る想像はしたいものだ。


 現実を見ろ、と言われても誰も信じないはずだ。創作集団『クロニクル=バースト』が地球変動についての防衛対策を数年単位で駆け抜けて行動に移しているだなんて。


 その一角に、成樹や美晴。あと、藍葉も関わっているとなれば……あと少しで、地震や大津波どころでない世界災害が起きても対応は多少できるだろうが。


 鍵は、変わらず大学病院で『眠って』いる『加東奈月』が所持している。どの並行世界にいるかはわからないが、年越しまでに成樹と美晴もVRMMOの中でダイブしつつ『冬眠』を覚悟しなければいけない。


『解凍』されれば問題はないが、その日程を藍葉にどう誤魔化そうか……最終的にはそこが一番の悩みどころだ。藍葉も眠ってしまえば問題ないかもしれないが、治療中の彼女には荷が重すぎる。


 なので、成樹に半分なにかが起こってもいいよう、メッセも込めて『ポイ活アプリ』に『スカベンジャー・ハント』のゲームをゆっくりとリンクさせているのだ。コミカライズを既に熟読している藍葉なら気づくと信じて。


 ある程度、バグの修正も終わったのを見越してから、成樹は家を出て小鳥遊家に向かった。ケーキだけは、自分の役割だと藍葉には譲らずに、途中予約した店に寄ったのも当然。


 寒い冬が、凍るような寒さを増すのはちょうどクリスマスイブからだったと、のちにニュースで報道された。

次回はまた明日〜

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