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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第73話 身内以外の上司と初対面

「はじめまして、小鳥遊さん。左藤美帆と言います」

「……はじめまして、小鳥遊藍葉です」



 成樹と決めたことだが、宅配弁当の監修の仕事を任される手前。きちんと栄養指導ができる社員と打ち合わせてほしいとのお達しはあったが。数日後にそれが叶うとは思わず、いくらか緊張していた。


 左藤はほんわかな雰囲気で少しふくよかな優しい印象を持てる女性だった。たしかに、『任せる』相手にしては、成樹のお眼鏡とやらにかなった人材なのだろう。足が悪い藍葉を気遣って、少し離れた席に座っているが終始にこにこ笑顔が不思議ではあるが。


 なにかしたのかと思っていると、左藤の方から質問が出てきた。



「試作のメニューなんだけど。課長に聞いたわ。あれ、ほとんどあなたの発案って」

「あ、はい。課長には提案をさせていただいただけですが」

「けど。栄養価が独学にしてもきちんとしてると思ったの! 普段から、自炊しているんだっけ?」

「出来る限りは、自分でするようにしてます」

「ふんふん。揚げ物も酸化反応を考えて……だったけど。献立をこまめに考えるのは家で過ごす人のことだもの。すごいわ。バランスも栄養指導受けていたの?って、私が疑うくらいだったし」

「……ありがとうございます」



 色々聞き出そうという意欲は強いが、押しが強いのとは少し違うようだ。藍葉の独学でも、これから栄養士かなにかしらを通信教育で受ければ……成樹らの役にとても立つくらいしか考えていなかった。


 足についてはこれから手術を受ける日程が決まりつつあるので、あとは執刀医の打ち合わせくらい。その前後のリハビリ中にもう少しばかり、献立を決めれればいいなと思っていただけだが。



「野菜も偏らずにバランスよく。冷凍にしたら解凍するときの触感が苦手とか……レンジがない人もいるから、湯煎可能にも切り替えるのも有りね」

「あ、そうですね」

「思い至らないとか、って考えなくていいわ。持たない家電とかって意外にあるもの」

「……はい」



 たしかに、今でこそ家電はピンキリ問わずに、各家庭にあるものだと藍葉も思い込んでいた。しかしそうではないこともあると、左藤が口に出してくれたのでまだまだ考え方が浅いと痛感した。


 やはり、玄人でない素人の考えではいけないのだ。そのために、左藤とも協力して開発にもきちんと取り組むべきだ。男尊女卑とかで差別してよくない。ちゃんと『大人』と向き合うのが大事なのだ。



「湯煎だとたんぱく質とかはともかく、繊維質の野菜が難しいのよね? 冷凍鍋とかがダイエット食で流行ったりもしてるけど……『煮るのが面倒!』って人もいるし」

「そう思うと、レンジとかトースターって優秀ですよね?」

「時短、簡単とか言ってもコストを考えれば自炊の方がお得か……も、難しいもの。小鳥遊さんとこはクリスマスとかお正月って、ちゃんと自炊する? 少し奮発して買う方?」

「えっと、クリスマスだけは外食してます」

「なあるほど。それで、基本的にそのもち肌……。栄養士って名乗ってても、普段の食育を守ろうって意識ないとぼろぼろになるの。そこは、リカバリーの方法さえわかれば個人差あるけど、ぷるぷるになるのよ」

「! 唇だけ冬場乾燥するの。治りますか?」

「それは化粧品部門にも問い合わせだけど……試食のモニターになっている子もいるから、聞いてあげようか?」

「お願いしますっ」



 上司と部下であれ、同じ女として共通の話題が出てくると乗り気になるのは当然かもしれない。


 ひとつ、またひとつ、藍葉の凝り固まった『飽き性』が少しでも改善するとなるなら。成樹が導いてくれることを信じ、前に進もうと意気込むことが出来たのだった。



次回はまた明日〜

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