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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第12話 騙された気分にさせた

 成樹は思いがけない再会を嬉しく思う間もなく。


 現状では部下の部下だが、諦め切れなかった『初恋相手』への不機嫌さを宥めるのに……どうしていいのか、少し悩んでいた。騙したつもりはないのだが、十年ぶりの再会については文句があるようだ。


 コンビニから場所を変え、コーヒーショップに移動はしたものの。昔よりは杖の使い方がうまくなってた藍葉は、少し苛立っている歩き方をしていた。


 席につき、注文を兄の美晴へ任した以外はこちらが視線を向けてもそっぽを向くばかり。身体障がいで線引きされた生活のせいもあって慎重派になったと聞いてはいたが……成樹もその対象だと認識されたのは痛かった。



(この位置くるのに、十年以上かかったんだがの?)



 きっかけは、あの『異世界ファーム』の育成キットを成樹が手にしたことだが。


 それを藍葉を含める『モニター』に委ねてはみても、彼女ほどの成果を得られる結果は少ない。広告CMは極秘でモニター募集のために作ってはいるものの、手間ひまが多過ぎて萎えるが日報では見受けられた。


 それは伝えてなくても、藍葉の発達障害のグレーゾーンであるADHDの範囲で察知されたかもしれない。自分の手術費を優遇するように誘導したのだろうとか。


 それはその通りだったが、ここまでの結果は成樹より上役も予想外だと言っていた。



「…………ずるぃ。昔以上にかっこいい」



 一瞬、呆けかけたが。


 照れ隠しにしては、結構可愛い反論だったので……成樹は爆笑するのを堪えた。



「……なんじゃ? 惚れ直したんか?」

「ヴァっ!? 彼女さんに失礼じゃない?」

「おらんよ。今は仕事優先じゃき」

「……そなの?」

「ん」



 まさか、女々しく藍葉だけを想い続けてきたと……三十代手前では言いにくい。美晴とタメなので、歳の差はそれくらいある。未成年でなくとも、比較的小柄で可愛らしい妹属性ではロリコン扱いかもしれない。


 美晴が戻ってきても、それ以上の会話はふたりだと進まなかったが。



「堪忍やで。シゲが上司言わんかったこと」

「……研修にツッコミ少ないのは変だったけど。シゲくん! 給料高過ぎ!? 他のモニターと差はないの!?」



 給料に文句あるとは聞いていたが、少ないより多い理由もだいたいわかっているかもしれない。表面上は、足の手術費に優遇したように見せているのを。



「問題ないぞ? 他のモニターも、訳あり連中なんじゃよ。藍葉の提案とかも、敢えて共有させとらん」

「……ほんと?」

「変に偏りあったらいかんからの? 美晴くらいの部下より下にはあんまりな?」

「……兄ちゃん役職あるの?」

「一応主任や」



 これくらいの役職を開示しても、まだ何か企んでいるのかと思わせてしまうのは……成樹がグレてた時代に、酷い暴言を藍葉に投げつけてしまったからだろう。


 なので、謝罪と和解は今だと……まずは一個人として、座りながらも頭を深く下げたのだった。


次回はまた明日〜

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