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第25話 意外な場面で

 その後、ゲームは続行されて惜しい場面は何度もあったが結局三人が揃うことはなかった。


「あー、もう少しだったのに。でも、普段ではなかなか味わえない緊張感があって面白かったね」


「うん、そうだね。さっきは私が直感で答えていたら揃っていたのに……また機会があったらやろう」


 残念な結果に終わったが、ゲームを振り返って私と香苗ちゃんは互いに顔を見合わせながら盛り上がっている。

 渋滞も解消され、車はトンネルを抜けると、しばらくして高速道路を降りて住宅街が並ぶ一般道を走っている。


「なかなか、面白かったわ。今度はキャスティルもやりましょうよ」


「そういう遊びは好かん」


「あらら、フラれてしまいましたわ。うう、しくしくですわ」


 けんもほろろにフラれたミュースはワザとらしい嘘泣きのポーズを取る。

 それがうざったらしかったのか、キャスティルは無言でミュースの額にデコピンを入れる。


「イタタ、全く素直じゃないんですから。楓ちゃん、奈々ちゃん、こういう人を何て言うか知ってる?」


 突然のミュースからの質問に私と香苗ちゃんは先程のゲームを経験したこともあってか、二人は声を揃えて答えると、ミュースもそれに続いて答えた。


「ツンデレ」


 三人の答えが一致すると、先程まで揃わなかったのが、まるで嘘のようだ。

 これには私と香苗ちゃんも可笑しくなって笑いが飛び出してしまう。


「まさか、こんな形で揃うとは思わなかったね」


「ああ、そうだね」


 別に揃えようと意識した訳ではなかったのだが、これ程分かり易い答えはない。

 ミュースはどこから取り出したのだろうか、いつの間にかパーティー用のクラッカーを鳴らして祝いの言葉を贈る。


「おめでとうございます。見事に意見が揃いましたね」


「まあ……確かに揃ったがな」


「ふふっ、ゲーム中では揃いませんでしたが、今回は特別賞として二人にはプレゼントを差し上げますわ」


 今度は懐から、ごそごそと何かを取り出して私と香苗ちゃんに綺麗な虹色の宝石みたいな物を手渡す。


「二人を幸せに導くお守りですわ。それを所持していれば、突発的な事故や事件に巻き込まれる心配はなくなります」


 そんな効力のあるお守りなのかと私と香苗ちゃんが感心していると、運転席のキャスティルは拳で助手席のミュースを一発ぶん殴った。


「イタタ、暴力反対ですわ」


「知るか。私を出汁にした罰だ」


 不機嫌そうなキャスティルをミュースは大袈裟に抗議する。

 お守りを二人に献上して、早速不幸がミュースに降り掛かった訳だ。

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