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第24話 音楽

 ミュースによって揃いはしなかったが、良い流れを作り出し、ここは一気にクリアを目指していきたい。

 何かお題になりそうなものを考えると、オーディオ機器から流れる音楽をヒントにお題が思い付いた。


「それじゃあ、好きな音楽のジャンルを答えてもらおうかな」


「なかなか面白そうなお題ね。どんな音楽のジャンルにしようかしら」


 私がお題を発表すると、ミュースは腕を組んで思いを巡らせる。

 音楽のジャンルは多種多様に幾らでもあるが、少なくとも香苗ちゃんと揃えられる自信がある。

 大学時代、彼女はガールズバンドを結成してベースを担当していた時期があった。

 ライブを見学に訪れたこともあったし、直に演奏している姿も昨日の出来事のように憶えている。

 おかげで香苗ちゃんの音楽の趣味は十分に理解しているつもりだ。


「音楽か。そういえば、楓ちゃんはよく私のバンドを観に来てくれたね」


「うん、また香苗ちゃん……いや、お姉ちゃんの音楽を聴けたらいいな」


「ふふっ、久々に楽器を触るのもいいかもね。何なら、楓ちゃんとガールズバンドを組むのもいいかもしれないわね」


「私は楽器を演奏したりするのは素人だし……」


「私が手取り足取り教えてあげるから、大丈夫よ」


 突然の誘いに私は困惑しながら、香苗ちゃんは昔の記憶を呼び起こして上機嫌だ。

 思い出に花を咲かせていると、私は香苗ちゃんが好きなロックに的を絞って答えを導き出す。


「よし、できたよ」


 香苗ちゃんも準備が整うと、最後にミュースも自信満々になって臨む。

 出題者である私から順番に発表して、続いて香苗ちゃんも紙を広げて見せる。


「えっ……」


 信じられない光景が目の前に映り込む。

 香苗ちゃんが導き出した答えは――。


「私はデスメタルだよ」


 そんな馬鹿なと言わんばかりに、私はショックを隠し切れなかった。

 ガールズバンドを結成していた時もロックを中心に弾いていたし、本人の口からロックは好きだと話してくれたの憶えていたのにだ。


「いやぁ、惜しかったね。楓ちゃんがデスメタルだったら揃っていたね」


 ミュースも紙を広げると、無情にも香苗ちゃんとミュースの紙からデスメタルの音楽が鳴り響いている。

 この際、聖職者風のミュースがデスメタルを選んだのは今更驚く気にはならない。

 何で香苗ちゃんがロックを蹴ってデスメタルを選んだのか知りたい。


「私はてっきり、楓ちゃんがオーディオ機器から流れているデスメタルを意識して、お題を出したと思ったんだけどねぇ」


「私もそう思って答えを合わせたんだけど、楓ちゃんの意図は違ったみたいだね」


 二人は顔を揃えて私の疑問に答えると、オーディオ機器からは派手なデスメタルが流れている。


(しまった……)


 分かり易い答えは目の前にあったのだ。

 二人は瞬時に私の意図を汲んで答えを揃えることに成功したようだが、当の本人は空回りしていた。

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