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AI小説と人力小説  作者: ヘルベチカベチベチ
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屋根に魚、瓦は海へ(AI版)

 今朝は雨が降っており、A君はその音で目を覚ました。雨が道や屋根に連続して衝突するときのあの音である。まだ目覚ましよりも早い時間だったが、A君は早々に学校へ行く準備をし始めた。そして同時に、ある違和感を覚えてもいた。

 その違和感の在り処が雨の音であるらしいことは気づいていた。しかし、具体的には何も分からず、ただなんとなく雨の音に他の音が混じっているような感覚があったに過ぎない。性質としてはそう遠くない、雨の音を隠れ蓑とするような近しい音が混じっていたのである。

 ついにA君は家を出なければいけない時間を迎え、傘を差して外へ出た。外では家の中よりも一層雨の音が強く聞こえ、しかしそれに混じってあの変な音がどうしても耳に付いてしまう。これはおかしいと、A君は辺りを見回し、ちょうど傘と共に上を見上げたそのとき、自分の家の屋根に、大量の魚が乗っているのを目にした。その魚たちは雨に打たれるたび全身を跳ねさせ、雨に混じっていたあの音は、無数の魚の尾が家の屋根を叩いている音だったのだ。

 これを見たA君は、初めは見間違いだろうと何度も屋根を見直したが、何度見ようが魚は大量で、本来あった屋根瓦などは一枚たりともありはしなかった。むしろ魚が屋根瓦の仕事を担っているのか、規則正しく並べられ、そして落ちてしまわないよう強力な接着を施されているようだった。A君はこれに驚きを抑えられなかったが、とにかく学校へは行かないわけにはいかず、みんなとの集合場所まで駆けて向かった。


~~(ここからAI)~~


 A君が集合場所にたどり着くと、そこには既にB子さんの姿があり、彼女は空から降り注ぐ水滴の一粒一粒を手に取って眺めていた。

「おはよう」とA君が挨拶すると、 B子さんは振り返って、

「見てよこの雫! こんなにも綺麗な球体なのに、どうしてあんなにも不規則な動きをするのかしら?」と言った。

 A君はB子さんの言うことがよく分からなかったが、きっとそれは自分が屋根を見て感じたように、この世に存在するありとあらゆるものが不可解だからだろうと思った。

「それにしても昨日の夕飯に出た鯖味噌は美味しかったわね」

 と言うB子さんに対し、

「あれだけたくさんあるならもっと食べればよかったよ」

 とA君が返す。するとB子さんは少し考え込んでしまったようで、

「……もしかしたらあの魚たち、実は人肉を食べてるんじゃないかしら」

 と言い出した。これにはA君も面食らったが、そんなことはないだろうと否定する。

「だってほら、もしそうだったとしたら、私たちの目の前にあるこの雨はどうなるの? 雨は降った後でも地面に落ちるでしょう? それが落ちなかったということは……」

 とそこでB子さんは言葉を切った。そして数秒の間を置き、こう続けた。

「やっぱりなんでもないわ」

「なんだか今日は妙なことばかり起きるんだよね」

 とA君が呟く。その言葉にB子さんは反応し、一体どんなことがあったのか訊ねてきた。A君はB子さんに話して聞かせることにし、家を出るまでのことを語った。

「……それでさっき屋根を見に行ったんだけど、もうそこには何もなくて。雨と一緒に魚たちもどこかへ行っちゃったみたいだ」

 それを聞いたB子さんは、しばらく黙り込んでいたが、やがて口を開いてこう言った。

「雨の中に魚がいるはずがないじゃないの」

「えっ」

「だってそうでしょ? もし本当に雨の中に魚がいたんだったら、それはつまり雨の中を泳いでいたことになるわ。雨が降るのは空気中の水蒸気が集まって水になるからで、水が動くには風が必要なはずだもの。だけど昨日は台風じゃなかったし、雨雲なんてどこにもなかったわ。だから魚は雨の中にはいないの」

「……」

「もしもあなたが見たっていう大量の魚が全部本物だったとして、でもそれを雨の中で維持できると思う?」

 B子さんの問いに、A君は答えられない。

「いいえ、無理だと思う。雨が当たるたびに魚たちは跳ねて、その度に鱗に付いた雨水が流れてしまうはずだもの。しかもその跳ね方は不規則だし、雨に打たれた魚が生きているとは思えない。だからあれは幻覚よ。もしくは夢。あなたは雨の中の魚を見たんじゃない。雨の音を聞いて、その音に紛れるような魚の尾びれの音を聞き取っただけなのよ」

 B子さんの言っていることは筋が通っているように思えたが、それでもA君は納得できない気持ちになった。しかしここで反論してもB子さんに論破されるだけだと、A君はそのことについてそれ以上考えることをやめた。

 それから二人は学校へと向かい、A君はその道中でふと、自分が雨の音に混じっていた魚の尾びれのような音について、B子さんにまだ言ってなかったことを思い出した。今更のようにそのことを話すと、B子さんはやはり怪しんで、

「ねえ、屋根の上に魚が乗ってるなんて、そんなことあるかしら?」

 と訊ねてきた。A君はまた同じ話をしたが、B子さんは信用しない。

「もしかしてあなた、私を怖がらせようとしているんでしょう。私が『あなたの家の屋根には魚がいます』とか言われて信じるとでも思った?……確かに私は、雨の中に魚がいてもおかしくはないとは思うけど、そんなこと実際に起こるはずがないわ。常識的に考えてあり得ない。絶対にない。あり得るはずがない。だから屋根の上が魚で溢れ返っているなんて、そんな馬鹿げた話は信じられない」

 A君の話を信じないB子さんは、そのまま自分の家に帰っていってしまった。

 A君は仕方なく一人で学校へ向かい、自分の席に着いた。そして机の中から教科書を取り出そうとしたとき、自分の指が濡れていることに気付いた。見るとそこには水滴が付いていて、自分の手が水に浸かっているのかと思いきや、どうもそういうわけではないらしい。A君は自分の手を見てみるが、どこも濡れていないし、水滴が付いていた様子もない。A君が不思議に思いながら辺りを見回すと、教室中が水浸しになっていることに気が付いた。教室にいる生徒たちは皆、頭から水をかぶったかのようにびしょ濡れになっていて、しかし誰一人としてそれを気にしている様子がない。

「みんな、何やってるんだろう」

 A君はそう呟いたが、すぐにその原因は分かった。クラスメイトの一人が突然、「おーい! 誰かこの水を止めてくれ!」と叫び出したのだ。するとそれに呼応するようにして、他の生徒も次々と声を上げ始めた。

「俺にも止め方を教えろよ」

「教えなさいよ」

「おいこら」

「なんとかしろ」

「助けて」

「死にたくない」

「ああ怖い」

「嫌だ」

「もうだめだ」

「死ぬ」

「死んでたまるか」

「死んだらどうなる」

「分からない」

「知らない」

「怖い」

「恐い」

「もう終わりだ」

「もう駄目だ」

「死ねない」

「まだ死にたくなんかない」

「でももう死ぬしかない」

「もう無理だ」

「ああっ」

「どうしてこんな目に」

「なんでだ」

「もう限界だ」

「もう耐えられない」

「やめよう」

「やめるべきだ」

「もう辞めたい」

「苦しい」

「辛い」

「痛い」

「逃げ出そう」

「逃げるか」

「逃げてしまおう」

「逃げた方がいい」

「どこに行こう」

「どこへ行く」

「さあ」

「わからない」

「どこでもいい」

「どこでもいいのか」

「じゃあいいか」

「そうだな」

「それならいいだろう」

「どこにしようかな」

「どこにする?」

「どうせなら綺麗なものが見たいよね」

「そうだね。きれいなのはいいことだもの」

「じゃあそっちの方にしよう」

「うん。そっちの方に行くことにするよ」

「ありがとう。とても助かるよ」

「どういたしまして」

「また何かあったときはよろしく頼むよ」

「もちろんだとも」

「ところで一つ頼みがあるんだけど」

「なんだい?」

「もし僕に子供が出来たとき、その子の名前を付けて欲しいんだよ」

「それは構わないけど、一体どういう名前を付けたらいいんだい」

「別になんでも良いよ。とにかく子供に付ける名前を、親である君に付けて欲しいんだ」

「分かった。名前は任せておいて。きっと立派な子に育ててみせるから。それでその子は男の子かい? それとも女の子?」

「どっちかなぁ……」

「うーん……。ちょっと待ってね。いま考えているから」

「ああ、ゆっくりでいいから考えてね」

「分かった。えっと、じゃあまず性別を決めないとね。男の子だったらどうしよう。やっぱり太郎とか一郎とか、そういう名前がいいのかな?」

「いや、あまり凝った名前を付けると、その名前が子供の一生を決めるかもしれないし、できるだけシンプルな名前にした方が良いと思うよ」

「そうなんだ。難しいな。じゃあ……、じゃあ……、……よし決めた。太郎にする」

「ほう。なかなかいいじゃないか。シンプルで覚えやすい。それに響きも良い。僕は好きだな。では次に年齢を決めていこう。年齢はどれくらいが良いだろうか? やはり十歳とかその辺りが妥当だと思うけど、どうかな?」

「いや、もっと若くてもいいんじゃないかな。ほら、例えば五歳でもいいと思わないか?」

「ふむ。確かにそれも悪くないか。まあどちらにせよ、生まれる前から色々と決め過ぎてしまうと、生まれたときにショックが大きいかも知れないし、もう少し慎重に決めることにしよう」

「そうだね。それがいいかも」

「次は容姿についてだけど、どんな見た目の子に育ってくれたら嬉しい?」

「うーん、できれば美人に育った方が、親としては嬉しいかな」

「そうなのか。そういうことはあまり考えたことがなかったから、今度から気をつけるようにしておくよ」

「是非そうしてくれ。あとは……、性格についても決めておいた方がいいか。どういう子になってほしい?」

「そうだねぇ。やっぱり明るくて元気な子がいいかな」

「分かった。じゃあそのようにしよう」

「それから勉強は好きになったほうがいいよね」

「ああ。そうだね。ただ、あまりに頭が良すぎるというのも考えものだ。天才児として名を馳せるのも大変だからね」

「確かに。じゃあ適度に頭が良くて、適度に運動が出来れば十分だね」

「そう思うよ」

「後は何が必要だろう」

「お金と友達だよ」

「なるほど。それは大事だね」

「うん」

「他には?」

「他に必要になることなんてあるかな」

「分からないけど、とりあえず全部用意すればいいんじゃなかろうか」

「じゃあそうしよう」

「最後に名前を決めようか」

「そうだね。これはもう決まっているようなものだけれど、一応聞いておこう」

「名前はなんと言うのかな?」

「ああ、もちろん太郎だ」

「そうか。太郎は太郎か」

「それ以外にあるのか?」

「いや、ないね」

「それなら決まりだ」

「うん。これで全て決まったね」

「ああ」

「これからもよろしく頼むよ」

「こちらこそ」

「それじゃあね」

「ああ、さようなら」

「またどこかで会おう」

「そうだね」

「じゃあ」

「さようなら」

「さようなら」

「さよなら」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……さようなら」

「さようなら」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

初期設定から変えず。

ストーリー設定の脚注の欄に「瓦は海へ行っている」と書いたが特に反映なし。本文に「屋根」とは書いたが、「瓦」とは書いていない(屋根→瓦は辿り着けない)のが原因かも?

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