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その23 湖にて ルース視点

シャーリーがお弁当を作ってくれると言うので少し愛馬ジーザスに乗って湖までピクニックに来た。

馬に初めて乗るシャーリーはかなり怖がっていたけど僕にぎゅっと抱きついていて可愛かった。

しかし

「ジェットコースターは苦手なの!嫌っ」

と何度も叫んでいたがジェットコースターって何だ?

馬術の一種なのか?全く時々出てくる前世の言葉はわからないな。でもこんなにシャーリーを怖がらせるのだからきっとこれが有れば今みたいにシャーリーは僕にしがみついてくれるはずだ。高いのかな?買えるかな?


先日のルピアの事があり、すこし気分が滅入っていたから思わずジーザスを走らせてしまった。ごめんねシャーリー…。


しかしやはりあれから二日経ったがまだ気持ちは晴れない。ザイン公爵家に引き取られた以上僕もこの使命を背負わなきゃいけない。


ザイン公爵家の祖先は偉大な魔法使いとか言われている。


ザインの家系はかなり魔力が強い。その祖先達が作り出してきた門外不出の魔法がある。分厚い本に3冊もだ。

当然ザイン公爵家直系の子は強い魔力の為にあまり苦にならない。

門外不出のその魔法はかなり大きな魔力を使う。魔力を一瞬だが高めることを必要とする。その影響はかなり広い範囲に及ぶらしい。魔力を高めさせただけで森一つ無くしてしまったこともあったようだ。


その為ザイン家の赤の魔法と呼ばれるこの魔法を使うときは体の中でその魔力を高めて魔法を展開させてから一気に対象物一点を目掛けて放出する。その為に目が赤くなる。膨大な魔力の為、体に溜めてしまうと自分の身が危ない。膨大な魔力の一部を赤い目を通して放出している。ただ、目だけだから森一つ壊すほどの威力はない。


しかしこの赤い目を見たものはその圧倒的な魔力に押し潰されそうになり動けなくなるらしい。だからこの目を前にした人達は恐怖に怯え、威圧感を覚える。自分を纏う空気さえその魔力に吸われていくみたいで暗く冷たいもの変わる。


赤い瞳は体から魔力が普通に戻るまで続く。しばらく赤は消えない。


その赤の魔法を持つと言う理由でザイン公爵家は王家の闇として裏で動いている。国を滅ぼしたこと、人を殺すこともあるらしい。だからザイン公爵家の人間は仕事の時は情を持たない。その反動で家族に甘い。そういう家系なのだ。


僕は養子だがある程度魔力はある。だから赤の魔法を覚えるのは苦にはならない。ただ、性格が問題なのだ。

必ず仕事をした後は罪悪感でいっぱいだ。僕は無情になれない。いや、いずれならなきゃいけない。こんなことで落ち込んでいられない。この先、命を奪うこともあるだろう。それでも僕はそうやって生きていかなきゃいけないんだよ。


シャーリー…をちらり見る。彼女は楽しそうにシートをひらいている。ランチの準備をしているんだね。しかしサンドイッチどんだけ作ったんだ。…手伝わされた使用人達に申し訳なく思う。かなり早起きしたんだね。


再度視線を下に落とす。そう、いずれ言わなくてはいけない…。全てを知っても君は僕を受け入れてくれるんだよね?お願い…シャーリー…。


ふと気配を感じたので顔を上げるとシャーリーがこっちを見ていた。

「支度できた?」

彼女を見ると、心が穏やかになるのがわかる。

自然と笑みがこぼれる。


わかってる。彼女には黙っているなんてできない。でも怖い。今、僕に向けている笑顔がなくなるかもしれない。怖い…。

もし、君が拒んだとしても僕は君を離したくないから、君を閉じ込めてしまうかもしれない。そんな狂気に似た心は常に自分の中に渦巻いている。それはしたくない。シャーリーの意思で僕の隣にいて欲しい。


美味しいシャーリーのサンドイッチを食べて、湖の周りを散策していたら黒い雲が見えたから慌てて帰ろうとしたが間に合わなかった。少し雨に濡れてしまった。ちょうど大きな木があったから雨宿りさせてもらっている。


隣でなんかシャーリーは歌を歌っている?何の歌?

気になる木?いやいや気になるのは君の歌なんだけど。


何だかシャーリーの視線を感じた。

シャーリーが僕の方を見ている。僕がシャーリーに視線を向けたのを彼女は気づかなかった。またトリップしてるんだ。何考えているだろうか?

しかしこんな気分の時にこの天気は嫌だな。更に暗くなる。

雷さえも鳴り響き始めた。

先日のことが思い出さる。嫌な気分になる。


隣にいて支えてくれる人が欲しい。

それは君がいい。

僕だけが君を好きではいけないんだ。君も僕を好きと言って、笑って抱きしめて欲しい。そうでないといずれ自分が壊れてしまいそうだ。

だからシャーリー。気づいて僕に。そして差し出された手を取って。強く握って。


彼女の肩が震えていた。寒いのかな。

僕は上着を脱いでシャーリーの肩に掛けようとした。

その瞬間、雷鳴と共に空が眩しく輝いた。どこかに雷が落ちたようだ。


「やっ!」


シャーリーに強く手を払われた。雷に驚いただけ?

しかしなんだか違うようだ。

シャーリーがおかしい。その目には恐怖がうかがえる。僕を明らかに怖いと感じている。


何故?いつ?僕は何をした?

あっ!あの時!玄関に入る前にすこしシャーリーのいる部屋を見上げた。もしかして見られた?赤の目を見られた??

あの目は人の恐怖心を煽るんだ。鏡に映った自分を見ても怖い。好きにはなれない。


シャーリーは僕を怖いと思うの?

…君は僕を受け入れてはくれないの?君は僕を突き放すの?

僕は君をこんなに好きなんだよ。

君を離してあげられないんだ。


どうしたらいい?





この木 何の木 


日立の樹


ってみんな知ってる?

まだCMやってるのかな?

あまりTV見てない人です…

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