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小話 待ち合わせ

〇〇月〇〇日 〇〇時

魔科の裏の倉庫っと。

ここか。


手紙に書かれている日時に指定の場所にやってきた。

誰かいるのか?遠くの茂みから様子を伺う。

何か騒いでいる声がする。二人?いや三人いるな。

さてどうしようか。


「やっぱり一人でいこうとしてたな。このバカが。」

「カール兄様!」

後ろから気配をさせずにカール兄様が現れた。

ザイン家の長兄だ。この頃父上に似てきた。口調までも…。

「父上が心配してたぞ。」

「何で知ってるの?」

「あのな、いくらなんでも父上はザイン家の当主だぞ。お前なんかが隠し事できるか。」

「ごめんなさい。」

「まあ、それだけお前のことみんな心配してるんだ。今後からはちゃんと言うんだぞ。」

兄様に頭をわしゃわしゃされた。

「ありがとう。」

「で、何がどうなってるんだ?」

僕はある生徒がシャーリーを悪者にしてること、階段の件、先日の一角ウサギの件、今回の手紙の件を手短かに話した。

「何だかエスカレートしてるな。ヤバイやつなんか?」

「割と痛いかな。」

「まあ、何でシャーリーが標的になってるのかはだいたいは想像できるがな。だいたいお前がシャーリーに対して婚約のこととか黙ってるからこんなにことになるんだぞ。」

「それは…いろいろ考えてるよ。」


「シッ。」

兄様が突然口に手を当てた。僕達は気配を消すように息を潜めた。倉庫に40歳くらいの男が二人入って行った。

『おいおい、ルース。その女は単なる学生だろ?』

兄様が頭で会話してきた。僕は頷いた。

『何であんなやつらが出てくるんだ。シャーリーが手紙を見てここに来なくてよかったよ。危ないところだったな。』

『えっ?誰かわかるの?』

『ああ。闇の商人の手下だ。ほら腰に巻いてあるバンダナに印が入っているだろう。あれがうちの国で荒稼ぎしている闇の商人バラダンの一味の印だ。多分シャーリーが来てたら連れさらわれてどっかに売られるだろうな。』

『売られるって、人身売買は禁止だよね?』

『だから闇なんだよ。ったくただの学生が起こす事件じゃないな。スレギス草のことだって、一般の学生の女が手に入れれるものじゃない。どんな手を使いやがった。』

『どうするの?』

『できればあの二人は捕まえてアジトをはかせないと。あとはその女だな。まあそいつは後からだ。学生の三人を入ってすぐに拘束できるか?』

『大丈夫。』

『すぐに片付けるよ。まあ私は強いからね。安心して。行くよ、入ったらお前は左、三人を拘束してからすぐに入り口を閉じろ。』


兄様の後について倉庫に突入した。すぐに左に入り魔法を展開させた。叫びながら逃げる三人を輪を出して閉じ込める。

「一人!二人!三人!」

あっという間に三人をそれぞれ拘束させた。更に魔法で壁を作り逃げられないように周りを囲む。そして兄様に言われたように入り口に結界魔法を展開させて開かないようにした。


「兄様!」

…ってもう終わってた。

先程倉庫に入っていった二人組は床に倒れ込んで伸びていた。

「ルース、終わったか?」

「ん、さすがだね。」

「当たり前だ。お前よりは場数踏んでるからね。まあ今回は何も武器を持ってなかったからね。」

兄様の後ろの窓がキラリと光った。

「兄様!」

僕はすぐに魔法で防御壁を作った。

カーンと音がしたと思った瞬間、兄様が窓に向かって攻撃魔法を放った。

「グェッ…」

ドサッ。

「チッ、もう一人いたのか。ルースありがとう。だいたいシャーリー一人連れ出すために三人も…何だ?どうしてもシャーリーを…ルース?今日シャーリーはどうした?」

「今頃アインシュバッツ侯爵令嬢のレイクルーゼ嬢と生徒会のサンルームでお茶してるはずだよ。」

一応レイクルーゼ嬢には話をしてある。それで何かあっては困るからお茶をしているはずだ。

「急げ!ガーシュインいるだろ?あとは頼んだ。ルース、サンルームに向かうぞ。」


ちなみにガーシュインとはザイン公爵家の50代の執事だ。50代と言っても並の50代ではない。まあ長年ザイン公爵家に仕えるすごくできる人だ。


結局サンルーム手前で怪し男を二人見つけて拘束した。

危なかった。

「ったく、だからちゃんと相談しろって。」

「だって…」

「ってこっちもビビッたわ。まさか令嬢一人攫うのに5人も…何か絶対に成功させなきゃいけない理由でもあるのか?シャーリーは何をしたんだ?ってお前何した?」

「何もしてない…はずだよ。」

「まあ、そう言う時は 『僕の美しさが悪いんだ』とでも言っとけ。はははっ」

「言わないしっ!!」

「ひとまず父上には報告しとくからお前はシャーリー迎えに行ってこい。ちゃんと家まで送るんだぞ。本当はまだ心配だからザイン家に連れて行きたいところだけどな。」


家に帰ると父上にこっぴどく怒られた。

なんか怒られているのに本当に心配されているのが分かって嬉しかった。

とにかくシャーリーの身はまだ心配なので、ひとまず来週の半ばからから両親が仕事で行く予定の海の別荘へ僕とシャーリーを連れて行ってくれることになった。



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