その16 交流会にて ルース視点
今日は交流会だ。今日は係の仕事はない。1日シャーリーといれる。
隣でシャーリーはマカロンに照準をあわして戦闘待機中だ。
本当にマカロン好きなんだね。
しかしみんな美味しいものは狙っているから一足遅れと人だかりだ。仕方ないからフライングした。
まだ会長の話が途中だが、どうせみんな見ていないだろう。
会長が開始のコールをしたと同時にシャーリーの目の前にマカロンを出した。
本当に僕の婚約者は可愛い。
マカロンに対するその愛しそうな目を早く僕に向けてくるはないかな。
せっかくシャーリーとずっといる予定だったがレイクルーゼ嬢がシャーリーを誘ってきた。
『何か言いたそうね。』
と、ふんと鼻でレイクルーゼ嬢は笑う。仕方ないか。
魔科の2年が何を出しているのかは知っている。シャーリーも楽しみにしていた。
まあ、見たくないわけではなく…あ、いや正直言って見たい。だから仕方なくタイミングよく現れたクラスメイトの誘いに乗った。
武科のエリアでいろいろ楽しんだ。みんな法科の人間だ。体力には自信は無い。武科の出し物は楽しむだけでいい。いろいろ商品とかあるのだが…参加することに意義があるらしい。
法科の出し物はわりと真面目なものが多い。前章参考してくれ!
魔科は予想できない。かなり個人の趣味が入るから毎年みんな、楽しみにしている。今年の魔科の2年はコスプレと言うやつだ。シャーリーがそう言っていた。転生者でもいるの?って叫んでいた。シャーリーは何を着るんだらうか?
そんなことを考えながらみんなといろいろ回っていたが
今は中央にある広場のベンチに座っている。ある程度は回ったからみんなとは別れて時間を潰す。しかしそろそろシャーリーと合流したいところだ。彼女がどんな格好をしているのかちょっと…あ、いやかなり気になる。目の前の道は三つに分かれている。この広場の右の道を行けば魔科、真っ直ぐの道を行けば法科、左を行けば武科だ。魔科の近くに生徒会室がある。
ふと右側の道から声がした。踊り子?えっ?町娘?魔法使い??レイクルーゼ嬢?!えっ?ちょっと…いつものイメージとかけ離れすぎではないですか?
「ルーズローツ様。こんなところで休憩ですか?」
落ち着け!落ち着け!
「あっ、誰かと思いましたらレイクルーゼ嬢でしたか。とても似合っていまね。お隣のお二人もお似合いです。」
「あらそうかしら?私もちょっと気に入ってるの。」
レイクルーゼ嬢はくるりと回り少しだけど踊り子の真似をして踊ってみせた。かなり似合い過ぎだろ。踊りもなかなか。いつもとは違う明るく軽やかなステップ。本当に踊り子みたいだ。華麗な舞にちょっと見惚れてしまった。あ!シャーリー浮気はしないよ。まあ、王太子殿下はこういうの結構好きそうだな。
「やあ、ルース。綺麗な踊り子と一緒に何やってんだ。浮気か?ん?レッ、レイクルーゼ嬢?!」
って何で殿下が来るんだよ!
「こんにちは。レオンハルト王太子殿下。先ほど会長からおいでになることを伺いましたの生徒会室に戻るところです。」
さすが、もういつもの侯爵令嬢だ。
…殿下…顔が赤いよ。好みドンピシャだね。いつもと違う雰囲気。このギャップ好きでしょう?
「ああ、一緒に行こう。レイクルーゼ嬢…でも、できればもう一回、回ってくれないかな…」
殿下…それじゃあ変な人ですよ。
「はっ?」
ほら、引かれた。まあ何やかんやお似合いなんじゃない?
まあレイクルーゼ嬢、殿下は君に任せるよ。兄をよろしくね。
「レイクルーゼ嬢、シャーリーは?」
「申し訳ありません。会長に呼び出されてしまったので偶然お会いしたミストローガ様にお願いしました。」
「は?ディランに?」
「すみません…彼女を生徒会室に連れて行くわけには行かなかったので…」
「で、シャーリーは何着てるの…?」
「ふふふっ、会ってのお楽しみです。可愛いですよ。ね?」
隣の町娘も魔法使いもうなずいている。
そんな可愛いシャーリーを何故ディランが連れ歩いているんだ!待て!可愛いシャーリーの姿僕はまだ見てないんだ!
早く迎えに行かなくちゃ!
「ルーズローツ様、シャーリーは武科…?あら?もういない…。」
「心配なんだろう。全く過保護なんだから。」
「まあ、シャーリー相手では仕方ありませんわ。」
「しかし、ルーズローツ様はどちらに行かれたんですかね?学校は広いですし、人もいますので、すぐにシャーロレット様に会えればいいのですが…」
あ〜!僕は馬鹿だ。レイクルーゼ嬢にどこにいるか聞いておくんだった。闇雲に探しても見つからない。シャーリー、何処にいるんだ?
ったく王太子殿下といい、ディランといい何でいつも攻略対象が近くに寄ってくるんだ。シャーリー、君はヒロインなんだよ。でも君に選べるルートは僕だけなんだ。早く気づいてよ。気が気じゃないよ。
「ザイン様、お一人ですか?」
またこいつか。シャーリーを早く探さなきゃ行けないのに何だこいつは。
「ご一緒しませんか?」
「ごめんね。シャーリーを探しているんだ。」
「ヴィクセレーネ様?先程お会いしましたよ。」
信じていい?信じてはだめ?どっちだ。きっと後者だね。
「私は平民なのでこんなところにいるのはおかしいと言うんです。ちゃんと試験に受かりましたのでと言ってもまわりの取り巻きの方と一緒に笑われました。そして噴水に落とされて…私悲しくて…何でそんなことされないといけないんでしょうか?ザイン様は幼なじみなんですよね。なんでそんな方と…」
噴水に落とされたって言っても濡れてないよね。取り巻きって今まで一緒にいたのってレイクルーゼ嬢だよね。レイクルーゼ嬢なら…ん…やりかねないか…。
「申し訳ないけど、君がどんなにそう言っても信じないよ。前にも言ったけどシャーリーはそんな事しない。僕のシャーリーは絶対にしないよ。今度そんなことを言ったらもう容赦しないよ。」
本当に何がしたいんだ?早足でシャーリーを探しに行った。
その時の彼女の鋭く燻んだ視線にきづかなければいけなかった。闇落ちした女の執着を甘く見ていた。