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番外編 エリーの場合(4)

長くなり大変申し訳ありませんでした。

エリー番外編の終話です。


ルース視点のまま進みます。

リーフィア様は顔を上げて叫んだ。


「ミーフィア!出ていらっしゃい!あなたがいるのはわかっています。」

「へ?」


私達は一斉に星空を見た。


「嫌だ。わかってたんだ?」


声がしたと思ったらすっとリーフィア様を同じ緑色の長い髪で瞳の色は赤、美しいエルフが現れた。

リーフィア様と瞳の色以外そっくりだ。

「はいっ???」

私はリーフィア様とそのエルフを交互に見た。

「え?どうなっているの?」

シャーリーも隣に来た。

「アイザック様?リーフィア様?何がどうなっているのですか?」


「ミーフィア!もういい加減にして。せっかく幸せなのに何するの!やめて!!」

リーフィア様がアイザックの腕を掴んで、ギュッとした。

「だってリーフィアが僕じゃなくてこんな奴選ぶからいけないんだよ。」

「僕?」

アイザックが隣から小さな声で説明してくれた。

「こいつはリーフィアの双子の弟だ。」

「へっ?男!!!」


「もう私達にいたずらしないで!」

「リーフィアが、こいつと別れて妖精界に戻るならやめるよ。」

「何よ!姉の幸せを壊さないで!!」

リーフィア様と弟ミーフィアの言い争いは永遠に続いた。

もしかして私たちはただの姉弟喧嘩に巻き込まれたのか?


「結局この騒ぎは何だったの?」

シャーリーがみんなに紅茶とお菓子を出しながら聞いた。

ちなみにあの二人はまだ喧嘩中だ。

満場一致で、ほかっておくことになった。


「みんなを巻き込んでしまって済まない。お前が転移した後に俺たちもすぐに転移しようとしたら突然リーフィアが走ってやってきて、どうも弟の姿が見えないから多分彼の仕業だろうと言い出したんだ。」

「は?」

「しかしあんな上位の魔獣の自我をなくすくらいの闇の力を与えられるって何者なの?あいつ。」

「ああ、だってリーフィアとミーフィアは妖精界の王の子だからな。リーフィアは聖、ミーフィアは闇の力をあやつれる。あいつならそのくらい出来るよ。」

「はあ?????」

開いた口はもうふさがらないだろう。

「ちょい待て!何でそんな大事なこと言わないんだ!」

「今まで言う必要もなかったからな。」


アイザック、お前な・・・。


いろいろ話をしていたが、転移魔法を展開してまさに転移をしようとした時にリーフィア様が走ってきたらしい。

だから遅くなったらしい。

もう少し早ければうちのリビングの破壊は…

ああ、結局エリックにやられていたのか…。

変わらないな。


騒動の発端になったレルオーサ伯爵令嬢だが、やはり彼女はエリックに恋心を抱いていたようだ。

何やら怪しい本を読んで魔法陣を作り、願いを叶えてくれる妖精を呼び出してエリックを手に入れようとしたらしい。

しかしでたらめの魔法陣ではそんな願いも叶うわけもない。

エリック、リンデトレス、キルナスという名前に反応した弟のミーフィアが悪戯半分で手を貸したらしい。

その令嬢はミーフィアがリーフィアの手元から盗み出したリボン、アイザックがリーフィアにあげたリボンだが、をてっきりエリックが自分にくれたと思って喜んでいたらしい。

ちなみにその件に関しては後からミーフィアに関わったすべての人の記憶を消してもらった。


で、問題はここだ。


「なぜエリーを狙ったんだ。」

エリックが冷たく言い放った。

ようやう姉弟の喧嘩が終わり、ミーフィアが床に座らされていた。

エリックの怒りのこもった視線にも動じないこいつは何だ?


「だってリーフィアを妖精界に連れてかえりたかったんだもん!」


反省色全く無し!


「だからって何で父上、私じゃなくてエリーを狙ったんだって聞いているんだ!」

「え~だって二人には到底勝てないじゃない。

まあアイザックなら何とかなりそうかもしれないけどリーフィアに見つかって終わりって感じじゃん。」


・・・なんだ・・・。こいつ殴ってもいいか?


「それにエリーだっけ?こいつの能力は魔獣みんな欲しがっているんだ。これから魔獣を従えるのに割と使えるし、リーフィアの代わりにこいつを貰っていこうかと思ったんだ。

もしかしたらリーフィアが責任を感じて僕の元に戻ってくるかもしれないし。

まあ戻ってこなくてもこの子の魔力なら妖精界でもやっていけそうだったし。まあいいんじゃない。」

「よくない!」


またエリックの瞳が青白く光りだした。

「エリック!待って。これ以上家を壊さないで!」

シャーリーが懇願する。

確かにさっきの部屋は麒麟の暴れた時に床が壊れた。そしてエリックの光の攻撃で天井が飛んで柱は折れている・・・。修理代誰が払うんだよ。


結局初めは悪戯心から始まったようだ。

そしてその成り行きが面白くてこのままアイザックの家を困らせてやろうとしたらしい。

幸いにも相手は大好きな姉を奪った嫌な奴だ。

もしかしたら姉が戻ってきてくれるかなんて思ったらしい。

まあ、姉にべったりの弟が考えることなんてそんなものだ。

何だか少し前に同じような経験をしたような気もするが…。


「で、こいつはどうするんだ。」

もう一人・・・いや一匹隣で頭を下げているやつがいた。

「なあユーリにつけてやったら?まあまあ使える奴だぞ。」

ムーが言った。

ちなみにもう白いチビ猫の姿でシャーリーに抱かれてゴロゴロ喉を鳴らしている。


「まあまあって!白虎!お前!!

 友を売るのか!」

「はあ?友達なんて思ってないよ。ただの昔から知ってるやつ。」

「お前はそんな奴だ!薄情だな。」

「闇の力を吸収して自我を失くして人を襲った奴が何言うんだ?お前はちゃんと主を持った方がいいんだよ。いつまでもうろうろと遊びまわっているからあんな奴に捕まるんだ。」

「・・・面目ない・・・。」

麒麟は頭をがっくり下げて下を向いた。


「エリックはいらないの?」

ユーリが目を輝かせてエリックに聞いた。


ユーリはもともとザインの血は引いていない。

まあ私が養子だから仕方がない。

ユーリも以前の私と同じだ。

いつもシャーリー、エリーが近くにいるから魔力も多少は人よりある。ザイン家の赤の魔法を使えるくらいの魔力はあった。

私は運良くシャーリーと結婚してそれなりに彼女の恩恵はいただいているが近くにいるだけのユーリにはやはり限界もある。

この先こんなすごい召喚獣を持てるチャンスはないだろう。

まあウィルにはザイン家の守り神とされている朱雀がいるから、羨ましいのだろう。


「私はいらないよ。必要ないかな?」

エリックが言った。

まああれだけの魔力と聖なる祝福の力があればいらないか・・・。


「やった!じゃあよろしくね!!!」


じとっ〜と麒麟はシャーリーに抱かれているムーを見た。


一言…

「ワシも可愛い女の子に抱かれていたいな…

ユーリとやら、必ずかわいい女の子と結婚してワシをああやって抱いてもらってくれ…お願いだ。」


そこか…!何なんだ魔獣ってそんな事が契約条件なのか?


無事ユーリも麒麟のシードレイドと召喚契約をして

一段落だ。

まあ、終わり良ければ全てよしとしようか。



ようやくアイザックとリーフィア様が帰る。

「シャーロレット様、本当に弟がすみません・・・。」

「お姉さんと一緒にいたいだなんて本当に可愛い弟なんですね。」


シャーリー・・・可愛いの域を超えているから。


「先ほど父には連絡をしました。しばらくバツとして城に閉じ込めておきます。」

「え~!あの城に戻るの!嫌だ!」

「お父様にはあなたが妖精の力を使えないようにきつく言っておきます。

当分反省してなさい!」


姉と一緒にいたい弟が起こしただけってオチか・・・。

やってらんない。


「エリックは?」

「野暮な事は聞かない。」

・・・全く。って人の事は言えないか。


しかし一つ疑問に思ったことがあった。

「なあアイザック?」

家に戻ろうとしたアイザックを呼び止めた。

「リーフィア様は妖精界の王女ってことだろ?じゃあ将来エリックは妖精界に行かなきゃいけないてことはあるのか?」

「結婚を許して貰う時と子供たちが生まれた時には会いに行ったけどまあ基本生活の基盤はこっちだから心配するな。それに人とのハーフなんてあの世界にはいづらいだけだ。俺はあまりにもメルヘンチックすぎて息がつまりそうだったよ。エリックも同じだろう。」


確かにあの冷ややかな奴に似合わないか。

想像して少し笑ってしまった。


「まあそれならいいか。ってよくない!修理代半分出せよ!」


笑いながらアイザックはリーフィア様と・・リーフィア様に首根っこをつかまれたミーフィアも一緒に帰っていった。


「ルース。」

シャーリーが腕に捕まってきた。

「弟ってかわいいわよね。ふふふっ。私も何だかジョーカスに会いたくなっちゃったわ。明日会いに行こうかしら。」


・・・弟ってなんでこんなに可愛くない存在なんだ。

未だにシャーリーを見て頬を赤く染めるあいつのところなんかに行かせない!


「駄目だよ。シャーリー、明日は一日休みだからちゃんと私の相手をしてくれなきゃ。」

「あら?そうだったの。」


あー、確か王太子の奴に呼ばれていたな・・・。

あんな奴の用事なんて明後日でいいや。後から断ろう。

だってこんな大変なことがあったんだからシャーリーの側についていてあげないといけないからね。

あ、そんなこと言ったら心配して王太子妃が訪ねてきそうだ。

邪魔されるのは嫌だな。

仕方ないエリックに明日リアン様のところに行ったらそれとなく王太子妃に大丈夫だとアピールしてもらうように言っておこう。

シャーリーは私だけがいれば大丈夫なんだからって。


「明日?休むに決まってるだろう。さっきリアンの奴には連絡した。

エリーがあんな怖い思いをしたんだ。私がついていないといけないだろう。」


…。

遅くなった夕飯を一緒にテーブルを囲んで食べながらしれっと言う将来の義理の息子の顔を見たらすごく嫌な奴だと思った。


「何かルースと同じことを言うのね。」

なんて隣でシャーリーに笑われた。


もうシャーリーの笑顔は変わらない。

愛しすぎる。

いつまでも君が変わらず好きだ。


ふふふっとシャーリーは笑った。

私が何を考えているのかわかるようになったね。


シャーリー、いつまでも愛してる。






「ねぇ、エリック?忘れていたけど妖精の血が半分入ってると何があるの?」

「ん…一週間は食べなくても、大丈夫かな?」

「ラッキー!じゃあご飯作らなくてもいいのね。楽できる。」

「あ、いや。エリーの手料理は、食べたいかも…。」

「じゃあ、あまり得意じゃないけど頑張るようにする…。」

「もうエリー、可愛い。」

「あ、嫌っ!今日は疲れたから寝るわ。」

「そうそう、それとあまり寝なくても大丈夫かな?」

「へっ?どういうこと?」

「こういうこと。」

「ちょっと…エリック!やっ…私は人!人だから!!無理!寝る!ねたい!!やっ…」



お読みいただきありがとうございます。

また、ブックマーク、評価していただき本当にありがとうございます。

本当に読んでいただき感謝しかありません。


こんなに長くなるとは思いませんでした。

前にも書きましたがイベント小話を書くのが夢だったのでまたクリスマス小話が上がるとおもいます。


割と書いていてエリック好きでした。

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