第八十二話〜ファンタジー!〜
投下です!
***
「よーし、渡しに行くか」
『そうしましょう』
よーし、そうと決まれば善は急げだ。
早速渡しに行こう。
弾は多すぎても困るだし、二十発くらいで良いだろう。
少なめにと言っても、ほとんど全部な訳だがな、一応念のため、量産用の予備を残しておく程度だ。
「では出発!」
***
場所は変わって王城の門の前、いつもと違い門番さんが増えている。
それにここに来るまでにも資材を積み込んだ馬車が壁外に向かっていた。
やはり戦いに備えているのだろう、雰囲気がピリついている。
まあそりゃそうか、国の主要部分が直接攻められそうになってるんだもんな。
焦るに決まってる、俺でも焦る。
「すいません」
「はい、どうかされましたか?」
「シーニャさんという侍女の方に少し用がありまして……これを渡したいのですが、大丈夫ですか?」
「すみません、今は関係者以外の立ち入りを禁止しておりまして、専用の許可証が必要なのですが……こちらにシーニャを呼ぶことなら出来ます。いかがされますか?」
「お願いします」
「はい、少しお待ちください」
そう言って門番の一人を呼び出しに行かせてくれた。
するとそれと入れ替わりに新しい門番が出てきて門の警備人数は変わらないままだ。
やはり警備がかなり厳しくなっているな、門番の人達もみんな強そうだ。
でもこんな時でも個別に対応してくれるとは親切な話だ、その上こちらにシーニャさんを呼んでくれるまでしてくれる。
やはり印象が良い、名も知らぬ受付の人の株が爆上がりしている。
そういえば名前を聞かれなかったな。
何回も来ているから名前を把握されているのだろうか。
そんな事を考えていると、
「アキトさん、どうしたんですか?」
後ろから声がかけられる、どうやらシーニャさんが到着したようだ。
振り返るとシーニャさんがちょうど門をくぐったところだった。
関係ないけがやはり長身だな、流石は推定身長百八十センチ超えだ。
周りから頭ひとつ抜けている。
「ああ、渡したいものがありまして……これなんですが」
そう言って腰のポーチからリボルバーと、弾薬が入った袋を取り出す。
「これは?」
「マグナムです、簡単に言うと、爆発の力を使って銅の塊を物凄い速度で飛ばす道具です」
「威力はどれくらいですか?」
「少なくとも弓矢の数百倍は」
「それは凄いですね、私が貰っても良いんですか?」
少しだけだが驚いたような顔をするシーニャさん。
シーニャさんにそんな顔をさせたというだけで嬉しいというか……と、今はそうじゃない。
「はい、是非とも使って貰いたいです」
「そういう事なら、ありがたく頂きます。ちなみにどうやって使うのですか?」
「ああ、それはですね━━━━━━━━」
マグナムの使い方を手取り足取り教える。
なんだかこういう雰囲気って良い……
俺は人に何かをするのが好きな人種なのかもしれない。
これまでは何かをしてもらう側だった訳だ、そう考えるとシージアにも何かしてやらないとな。
いつも感謝ばかりだからな。
***
「━━━━━━そこを押せば安全装置が外れて、引き金を引けば弾が出るようになります。普段は安全装置は外さないでくださいね」
「わかりました」
一通り説明し終わった。
それにしてもシーニャさんは飲み込みが早い。
教える側からすると楽で良いが、個人的にはその分触れ合える時間が短くなるので少し残念だ。
いや、良い事なのに変わりはないのだけれど。
「そういえばアキトさんはどうやって迎撃戦に参加するつもりなんですか?」
「……考えてませんでした」
完全に忘れていた。
装備を最優先する余り、どうやって軍に混ざるのか考えていなかった。
「傭兵とかはどうでしょうか? 私も傭兵として参加しようと思っています、一緒にどうですか?」
おお!
それは願ったり叶ったりじゃないか!
「是非とも!」
「では登録しに行きましょうか」
シーニャさんが受付さんと何やらゴニョゴニョと話し合っている。
何をしているのかと見ていると、受付さんがシーニャさんに札を渡した。
あれは……許可証かな?
「お待たせしました、では行きましょう」
「わかりました」
まあ別にいいや。
気にしても何か変わるわけでは無いからな。
***
それにしてもこの頃は晴れ続きだな。
気分のいい天気だ。
人通りの少なさも相まってか、爽やかなような不思議な気分になってくる。
あー……なんだか空と一緒になってるような……
「アキトさん、アキトさん?」
「はっはい?」
シーニャさんの声で現実に引き戻された。
危ない危ない、完全にトリップしてた。
「どうかしましたか?」
怪訝そうな雰囲気を醸し出すシーニャさん。
「いえ、ちょっとびっくりしただけです」
「そうですか……本題に戻りますが、傭兵申し込みはパーティーを組んだ方が良いのですが、アキトさんが良ければ何ですが、私と組みませんか?」
「俺で良いんですか? シーニャさんに比べたらよわよわですよ?」
「いえいえ、私からお願いしたいくらいですよ」
そう言ってもらえると嬉しいが、プッレッシャーが……お断り……いや、ダメだな。
折角お誘い頂いたのだ、ここは受けるべきだろう。
それにシーニャさんと居れば生き残れそうな予感がするしな。
「では、是非ともお願いします」
「はい……と、そろそろ募集している場所に到着です」
「ここは?」
通りの中に大きめの石造りの建物が建っていた。
看板には……“冒険者ギルド”と書かれている。
ふむふむ……ええええええ⁉︎ この国って冒険者ギルドあったのか⁉︎
(シージア! 冒険者ギルドなんてあったのか⁉︎)
『ある……みたいですね。ええ……? こんな組織普通は不可能な筈……誰か転生者が作ったんですかね?』
(ちょっと聞いてみる)
『ええ、お願いします』
「シーニャさん」
「どうかしましたか?」
「このギルドっていつからあるんですか?」
「確か七百年ほど前だったと思います、この国よりも昔からありますね」
「なっ、七百年?」
どういうこっちゃ、意味がわからんぞ?
いや、でも日本にも金剛組とかいう千年以上続いてる会社がある訳だし……ありえるのか?
「原型となる組織が発祥してから、名称は変わっていますが実質としては変わっていない筈です。何でもトップが長寿で二代目から変わっていないという噂もありますね。そしてそのトップはこの大陸で一番の魔術学院の学長だとか何とか」
待て待て、急にファンタジー臭が強くなりすぎてわけが分からないぞ?
魔術学院だって? まずそんな組織がある事自体初耳だが……シーニャさんの言い草からすると複数あるっぽいぞ?
専門学校とか大学みたいなイメージでいいのか?
それにしても冒険者ギルドに魔術学院か……やっぱり剣と魔法の世界にはロマンがいっぱいだな。
叶うのならば、いつかこの世界をゆっくり旅でもしたいものだ。
殊更ここでは死ぬ訳には行かなくなってきた。
というか獣人とかはいるのだろうか?
いたら是非ともモフらせてもらいたいものだ、いかんせん輝夜だけではモフみが足りないのだ。
よし、聞いてみよう。
「シーニャさん、この国には獣人とかの亜人は居ないんですか?」
亜人のニュアンスが伝わるかは分からないが、そこはシュンヤの翻訳機に頼るとしよう。
俺にはどうしようもないからな、最悪シージアに助けてもらうとしよう。
「ッ……アキトさんは亜人が嫌いなのですか?」
「いえ? むしろ好きですけど……それがどうかしましたか?」
「いえ……やはり亜人ということで差別が多かったりするようなので、アキトさんはどうなのか、と」
出た! ファンタジー御用達の亜人差別だ!
まあそりゃそうだよな、地球でもたかだか肌の色で人の命を奪うような有様だからな……肌の色どころではない違いだ。
差別がある地域もも多いに違いない。
「大変ですねぇ」
「……とりあえず登録しましょうか」
「ですね」
男の子の夢が詰まっていると言っても過言では無い冒険者ギルドだ!
いやー! 楽しみだ、ワクワクするなぁ!
遅くなって申し訳ありませんorz
少し余裕が出てきたので投稿を再開したいと思います!
次回投稿は明日とさせて頂きます!
感想や評価、ブクマ等いただけると作者がブレイクダンスもかくやという勢いで転げ回って喜びます。




