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鎧の魔物奮闘記  作者: 晴れ甲羅
第一章 転生編
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第八十一話〜迫撃グレネードランチャー〜

投下です!


***


『アキトさーん! おはようございます!』


「ふぬぁ⁉︎」


び、びっくりした……

多少はマシになったとは言えまだシージアの起こし方には慣れない。

毎度毎度の事ながら心臓に悪い、いつか心臓発作でも起こしてしまうのでは無いだろうか。


『起きましたね! では早速弾を作りましょう、今日は少なめで良いですよ! ライフル用が十発、マグナム用が二十発の合わせて三十発で良いでしょう!』


「それは嬉しいな……ちなみに今何時だ?」


『五時です』


「早いなオイ!」


通りでまだ部屋が薄暗いわけだ。

まだ太陽も登りきっていないのだから当然っちゃ当然だな。

形式だけのランプを灯すために、起き上がる。


『そうそう、後どれくらいで到達するか予測が出来ましたよ』


「どれくらいって、魔物の群れがだよな?」


『はい、そうです。魔力探知の出力を強化したら断片的にですが探知出来ました、そこから割り出したんです』


「そうか……で、どれくらいだ?」


『遅くても六日、早くて四日です』


「覚悟はしていたが……短いな」


やはり短い、装備を揃えるのもかなりカツカツな日程になる。

シージアが居るからおそらく間に合うだろうが……やはり心配だ。

巻いていく分には何の問題もないだろう、急がねば。


「じゃあ、今日はダイナマイトとか弾薬とかグレネードランチャーとか作るのか?」


『はい、そうです。とりあえずグレネードランチャーは必須です。前にも言った通り今のままでは圧倒的に単発火力が不足していますからね』


「よーし、そうとなれば取り掛かるか」


『ですね、今回は口径が大きいですが、ライフリングを彫らない滑腔砲なのでまだ楽だと思います。ですがその分と言ってはアレですが砲弾が安定翼をつけたりするのでその辺は難しいと思います』


「まあそれは仕方ないか、まあライフリングを掘るより面倒くさいなんて事はそうそう無いだろうからな」


ライフリングを素手で彫るのはもんのすごーくしんどいのだ。

それを大口径砲でやれと言われた日にはもう発狂してしまう。

でもそう考えたらユウゴ凄くないか? どうやってリボルバーを作ったり弾薬を作っていたのだろうか。


『その前にライフル弾とマグナム弾を作っちゃいましょーねー』


「おう、任せてくれ」


***


朝食も食べて、時刻は七時回ったと言った頃だ。

今日も天気が良く、魔物の大群が迫っているとは思えないような長閑さだ。


『よーし、では早速作りましょう』


「そうだな」


このやり取りにももう慣れたものだ。

どんなものを作るのかとワクワクしている自分さえ居る。

やはり俺は物作りが好きなようだ。


『設計としては大口径グレネードランチャーといった具合を目指します』


「グレネードランチャーといえば四十ミリか三十ミリのイメージだが……何ミリにするんだ?」


『六十ミリですかね、威力と持ち運べる弾の数の折り合いをつけるのがそこら辺ですね』


六十ミリか、結構大きいんだな。


「仕組みは大きいライフルみたいな感じで良いのか?」


『はい、それで進めようと思います』


それは嬉しいことだ。

かなり簡単にできる筈だ、もう真っ直ぐな筒を作るのには慣れているからな。

弾薬も一度作ってしまえばあとは型を使って作ってしまえば簡単な話だ。


『まずは弾薬から作りましょう、それが一番の難関ですからね』


「了解」


シージアに言われた通りに砲弾を組み立てる。

信管は発火金の中にシホ先生からもらった爆薬を詰め、その周りにダイナマイトの中身を詰めた容器を被せ、二重容器を作る。

シージアによると中身まで完全にダイナマイトと同じにしてしまうと発射の衝撃で砲身の中で爆発してしまうそうだ。


信管を作り終えると、お椀細長くしたような容器を二つ、一方は短めに、もう一方は長めに成形し、火薬を充填してくっ付ける。

その短いお椀の先端に信管を取り付け、長い方のお尻に安定翼を取り付ける。

安定翼に被せるようにして発射薬を薬莢ごとくっつける。

発射薬はライフルのものより少し大きめにして燃焼速度を抑える。

こうすることによって長い距離で加速するので砲身の中の圧力が安定するのだ、それと同じ原理でマグナムは発射薬を細かくしている。


「よっし、完成だ」


『いや早いですね⁉︎ まだ一時間も経って無いですよ⁉︎』


「慣れだよ慣れ、熟練の職人のワザってやつかな?」


そうは言ったものの、うん、正直自分でもびっくりしてる。

なんでこんなに早く正確に出来るのだろうか。

確かにこれまでかなりの量の工作をこなしてきたし技術もそれなりに向上して来ているとは思っていたが……

ここまでとは思っていなかった、実際シージアも驚いているしな。


『ま、まあ良いでしょう。早いに越したことは無いですからね』


「そうだな、じゃあ本体の製作に取り掛かろうか」


『ですね。基本としてはさっき言った通り、ライフルの大型化で良いでしょう。モデルとしてはM79グレネードランチャーです、中折れ式のグレネードランチャーなので大口径にもある程度は対応出来ます』


ほう、M79か、ベトナム戦争で有名になったグレネードランチャーだな。

それをモデルにして作るのか、全金属製だからかなり重くなりそうだが……まあ誤差だな。

そうそう、運ぶためのホルダーも作らないとな。


まずは筒を作る作業だが、これは砲弾が出来上がっているから簡単だ。

砲弾の一番太い部分に合わせて筒を成形する。

長さは一メートル二十センチとかなり長めだ。


成形した円筒の下に大きい、支点が二点ある蝶番を付け、パタパタ開くようにする。

機関部は単純なものだ、ライフルの機構をそのまま流用し、トリガー等の細かい部品を整える。

その円筒と機関部をくっ付けて、固定機構と安全装置を付ける。

よーし。


「完成だー!」


迫撃グレネードランチャー的なものが完成したぞ!

これで単発火力が改善待ったなしだな!


『はやーっ⁉︎ いやめっちゃ早く無いですか⁉︎ 二時間もかかってませんよ⁉︎ 何か覚醒でもしたんですか⁉︎ いや、してないとおかしいくらいの速度ですよこれは!』


「いや……そう言われても自分でも驚いてるんだ」


うん、砲弾の時といい、正直何でここまでスムーズに出来るのか自分でもわからない。

あれか? 陸上選手がある日突然、タイムが伸びるみたいな。


『ま、まあ良いです。昨日作ったマグナムはシーニャさんに渡すのでしょう? 早めに渡しに行きましょうよ』


「そうだな、そうしようか」


シーニャさん、喜んでくれると良いな。

そうだ、名前を彫っておくか、何となくだが気分は刀匠だな。


いやめっちゃギリギリでした!

次回投稿は四月三日の予定とさせていただきます!

感想や評価、ブクマ等いただけると嬉しいです!

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