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鎧の魔物奮闘記  作者: 晴れ甲羅
第一章 転生編
72/110

第七十話〜銃を作ろうPart2〜

投下です!


***


「よーし、早速加工に取り掛かるとしようか」


『ですね、じゃあまずは弾丸自体から作成するとしますか。真円にするのは難しいとは思いますが頑張って下さい。あ、そうそう弾丸の直径は十三ミリにして下さい』


なんでも十二・七ミリの口径にキチンと食い込ませるには少し大きめに弾丸を作らなければいけないそうだ。

十三ミリと言われても物差しもないからシージア頼りになるんだがな。


まずは銅を円柱状に加工する。

この作業が中々神経を使うのだ。

やはり真円と言うのは難しいものだ、どうしても歪みが出てきてしまう。


『うーん、少し太いですね』


「こうか?」


『うーん、今度は少し歪んでますね』


「これでどうだ!」


『うーん、少し曲がってますね』


「ああああああああ!」


『落ち着いて下さい、あせったら負けですよ。ほら、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー』


「それはラマーズ法だ……っ!」


『おお、良く分かりましたね』


そんなこんなで三十分、やっとのことで円柱が完成した。

直径は十三ミリ、長さは九十九ミリより少し長めだ。

ここからが本番だ、気を抜くとこれまでの努力が一瞬でお釈迦だ。


「ふぅ……」


先端をどんぐり状に削り取る。

この作業が地味に、と言うか鬼ほど難しい。

弾頭が曲線を描いているのが難所も難所、めちゃんこ難しいのだ。


『少し親指のあたりが歪んでますね』


「これでどうだ?」


『あー、今度はお尻の部分が微妙に傾斜がキツイですね、もう少し緩めましょうか』


「こうかな?」


『今度は全長がちょっと短いですね』


「キィィィィ!」


『はいはい、落ち着いて下さい。口を軽くすぼめて鼻から吸った息をゆっくり吐いて下さい』


「それはシステマだ……っ!」


我ながら良くわかったと思う。

いやまて、システマはリラックスを旨とする武術だから効果があるのか?


そんな事を考えながら弾丸を作ること四十分、やっと弾丸が完成した。


「つ、疲れたぞ……」


『まだまだですよ、薬莢はこれの二十倍はめんどくさいですよ!』


な、なんだって……心が折れそうだ。

とりあえず型を取って弾だけでも次から作りやすいようにしておこう……


弾丸を上下から鋼鉄で挟み、型を取っておく。

こうすることで次から型にはめるだけで弾が出来るようになるのだ。


『よーし、早速ですが薬莢を作ってしまいましょう!』


「……頑張ります」


『ちなみに薬莢は二段になっているのでかなり工作難易度が高いですが頑張りましょう!』


「うぼぁぁ……」


***


「やっと……やっと出来たぞ」


地面に倒れ伏した俺の手には黄金に輝く真鍮製の薬莢が握られていた。

苦節数時間、やっとのことでぴったりはまる薬莢が出来上がった。

その間にいくつ呼吸法を教えられたか……肋間呼吸、逆腹式呼吸、ここら辺はまだ簡単だった。

数息観、調和道丹田呼吸法、火の呼吸やら武術からなんか鬼を殺してそうな呼吸法まであった。


あれ? 俺の目的ってなんだっけ。呼吸法をマスターするのが目的ではなかったはずなのだが……

まあ良いとしよう、呼吸法のお陰で精神は落ち着いたのは事実だ。


『やりましたね! ここに火薬を詰めて雷管を発火合金で作って雷汞の代わりにシホ先生からもらった爆薬を詰めたらそれで弾丸の完成ですよ!』


「…………多くね?」


『気のせいですよ! ちゃっちゃと終わらせちゃいましょう!』


その前に薬莢の型を取っておかないと。

薬莢をパッカリ半分に割って片方ずつ弾丸と同じようにして型を取る。

そして薬莢をくっつけて完成だ。


やっぱり鎧の魔物の能力って地味なようでかなりのチートだな。

くっつけた継ぎ目が完全に見えなくなっている。


よし、じゃあまずは薬莢に火薬を詰めよう。

爆発しないように慎重に詰める。


『そうそう、ギッチリ火薬を詰めるのではなく、少しだけ隙間を開けておいて下さい。それによって火薬が燃えるんです』


「ほうほう、こうか?」


『はい、それで問題なさそうですね』


今度は一発でオーケーが貰えた、やったぜ。


では雷管だ。まずは反対側に小さい穴を開け、薄く発火合金を詰める。

そこへシホ先生からもらった爆薬を一滴垂らし、これまた発火号金で蓋をする。


よし、これで……


「完成だあぁぁぁ!」


『やりましたね!』


「ああ、俺は遂にやり遂げたんだ……!」


『お疲れ様です。じゃあお昼にしますか?』


そうだ、いつの間にか日は高くなっている。

腹が減っては戦は出来ぬ、マーサさんに頼んで少し鍋の中身を貰ってきておいたのだ。


荷台から籠を下ろし、中に入った陶器製の容器を取り出す。

うん、良い匂いだ。

分厚い蓋つきの陶器の器に入れていたからかまだまだ温かい。


『良い匂いですね、これは牛煮込みですかね?』


「ああ、そうみたいだな。この鳥のガラから出た出汁の匂いが堪らないな……シージアって鼻が効くのか?」


『え? 今更ですか? 普通に常人並かそれ以上には効きますよ?』


「いや初耳なんだが……」


いや、確かに思い返してみれば森でも焚き火をの煙を嫌がってたような気がする。

そうか、鼻が効くのか……鼻が効く霊体ってなんなんだろうな。


ちなみに牛煮込みは中に入ってた玉ねぎの甘さが引き立って非常に美味しかったです。


いかがだったでしょう?

次回投稿は二月二十日の土曜日の予定です!

やっぱり銃とか呼吸法って何かしらのロマンがありますよね……!

良ければ感想、評価、ブクマ等頂けると嬉しいです!


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