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鎧の魔物奮闘記  作者: 晴れ甲羅
第一章 転生編
68/110

第六十六話〜ゴブリンスペリアー〜

投下です!


***


場所は変わってドゥリットル市場、転生者達はどこだと聞き込み中である。

シーニャさんには転生者だということは言わずに特徴と銃を持っているという事だけ伝えておいた。

意外だったのはシーニャさんが銃を知っているということだった、なんでもシュンヤの仲間たちが作ろうとしているというのを聞いた事があったらしい。

結局銃を作るのには失敗した様だがな。


「ではその青年達は街道沿いの森に魔物退治に向かおうとしていのですね。ありがとうございます、これはお礼だと思って取っておいて下さい」


そう言って露天の主人に銅貨を数枚握らせるシーニャさん。

こういうのが好印象を与えて良いのかもしれない。


露天の主人によると黒髪の青年は二人の少女と一人の少年を連れていたようで、恐らく少年はスリの犯人だろう。


「では街道沿いの森へと急ぎましょう」


「わかりました」


魔物討伐ってことは魔物が出るってことだよな。

軍隊は何故……そう言えば戦時中だったな。


***


「ここからは魔物に襲われる危険もあるので武器を持っておきましょう。これをどうぞ」


そう言ってメイスを渡してくれるシーニャさん、一体どこから出したんだ。

ていうかいつの間にか鎌を構えている、いや割とマジでどこから出したんだ……


「アキトさん、その青年というのは確か三人組でしたよね」


「はい、そこに少年が一人ついているはずです」


「それらしい痕跡は見つけたのですが……おかしいですね。少し身長の低い青年一人に少女が二人そしてもう少し小さい女の子が一人居ます」


見つけるの早っ⁉︎

ていうか少年じゃなくて女の子? もしかして俺が見間違えた可能性もあるのか……?


「とりあえず追ってみますか。違ったりしたらその時はその時です」


「そうしましょう」


よーし、早速追いかけようではないか。

きっちり損害分は支払ってもらうからな……!



痕跡を追いかけ、歩くこと三十分が経った頃だった。

鬱蒼と茂った森の中は光が届かず、薄暗く湿っている。

だが俺が転生した森よりかはかなり歩きやすい、とそんな事を考えていると、


「見つけました、正面を歩いていますね。あいつらで合ってますか?」


どうやら見つけたようだ。

目を凝らしてみると確かにあの転生者だ。


「はい、そうです」


かなり大きい声で喋っている様だ。

耳を澄ませば何を言っているのか聞こえるほどだ。


えーとなになに……「あのゴロツキも大し事なかったよ、それにしても君が大丈夫で良かったよ」だと……?

かあー! はら立つー!

それにあのクソガキ、何が「いえいえ、本当にありがとうございます。この語音は一生忘れません」だ! 巫山戯るのも大概にしやがれ!

んん? それに青髪が何か言ってるぞ、えーと「ユウゴは本当に強いね! あこがれるよ!」はい、やっぱりなんか腹立つな。


ていうかあいつ、ユウゴって言う名前なのか、覚えたからな。

そういえばさっきからもう一人の女の子が喋ってないけど……無口系女子なのかな?

あ、喋り出したぞ「ユウゴは他の女の子に優しすぎ、もっと私達だけをみるべき」だと……?

キィィィィ! 許せん、断じて許せんぞ。

それに対して「ははは、ちゃんとみてるだろ?」と答えてるのがまた許せん

なんだ、貴様は鈍感系主人公か? あ゛?


『落ち着いて下さい、負のオーラが流れ出てますよ』


おっと、これは失敬。

深呼吸深呼吸、スー、ハー、スー、ハー……よし、これで落ち着いたぞ。


「いつ仕掛けますか?」


「魔物と戦闘を終えて疲弊したところを狙いましょう。幸いにも魔物はこの近くにいますからね……仕掛けて来た様です」


魔物はゴブリンの様だ。

ファンタジー定番の魔物である、小柄な体躯にみすぼらしい装備、まさに典型的なゴブリンである。


「おかしいですね、この近辺でゴブリンの出現例は無かったはずなんですが……」


「そうなんですか?」


「ええ、しかもゴブリンが武器を持っていると言うのが気になりますね。普通のゴブリンのみなら精々木の枝や石を投げてくるといった程度なのですが、あいつらは石器に近いものを持っています。強力なリーダーがいるとみて良いでしょう」


そんな事を話していると、


「始まった様です」


どれどれ、どうせ無双するんだろうが相手の手の内を知る為にもしっかり観察させて頂こうではないか。


まずはまだユウゴ達に気が付いてない三体のゴブリン達に弾を撃ち込む、ゴブリン達はあっさり頭を撃ち抜かれ、崩れ落ちる。

だがその銃声でさらに大量のゴブリンが襲いかかってくる。


青髪の女の子は氷の槍を撃ち出して攻撃している。

無口の女の子は……拳闘士だな。ガントレットを装着してゴブリンを殴り殺しまくっている。

スリの少年(?)は何もしていないな、なんで連れて来たんだ。


と普通のゴブリン相手に無双していると矢が飛んできた。

矢にユウゴが銃を振り抜いたかと思えば、その銃身からは刃が伸びており、矢を真っ二つにしていた。

その一瞬の隙を突き、二の矢三の矢と次々と矢が飛んでくる。

その矢は発射地点がバラバラで、ゴブリン達の練度の高さが窺える。


「これでリーダーがいることはほぼ確定ですね、あそこまで統制の取れているゴブリンなんて珍しいです。しかも見て下さい、ホブゴブリンまで出て来ました」


『あれ?』


突然シージアが驚いたような声を上げる。

一体どうしたのだろうか。


(何かあったのか?)


『いえ……後で話します』


ホブゴブリンは通常のゴブリンよりも大きな体躯で、ゴブリンと上手くフェイントをかけながら攻撃を行う。

だがユウゴが手をかざすと複数の光の槍が現れ、追尾しながらゴブリン達を貫く。

……あいつに銃って必要なのか?


「ゴブリンスペリアーが現れました。あいつがあの群れのリーダーでしょう」


そこにはゴブリンとは思えない筋骨隆々のゴブリンが立っていた。

成人男性ほどもある全身を皮の様な鎧で覆い、手には盾と槍が握られている。

その目には確かな知性の光が宿っていた。


『んんん?』


シージアが訝しげな声を出す。

さっきから一体どうしたんだろうか、後で話すと言っていたしその時に合わせて聞くとしよう。


「オオオオ!」


ゴブリンスペリアーが叫び、盾を構えて突撃する。

そこへ青髪が魔法を撃ち込むが、ゴブリンスペリアーは盾を斜めに構えて逸らす。

なんちゅう反応速度だ。普通の冒険者とか兵士じゃ手も足も出ないかもしれない。

あんまり良く知らないけど。


ゴブリンスペリアーは間髪入れずに距離を詰め、槍を薙ぎ払う。

それをユウゴが銃剣で受けようとするると、ゴブリンスペリアーは槍を手放す。

槍はそのまま上方に弾き飛ばされるが、予想外の衝撃の軽さにユウゴは体勢を崩す。


「ゴアアアア!」


そこへシールドバッシュを喰らわせて弾き飛ばす。

横合いから無口が殴り掛かり、その拳を脇腹に叩き込むが効いていない。

いや、あえて打ち込ませたのか。ゴブリンスペリアーはその無口に向けて盾を振り抜く。

ガッ、と鈍い音がここまで響いて来た。


と、体勢を立て直したユウゴが光の槍を生み出し、ゴブリンスペリアーに向けて撃ち出す。

さっきよりも数は多い、目算でも二十は優に超えているだろう。

それを撃ち込むとゴブリンスペリアーは木を盾にし、その木が倒れると転がり、打ち払い、槍を次々と叩き落とす。

だが無傷とは行かなかったようで太腿と肩から血を流している。


「ゴォォォ!」


そうゴブリンスペリアーが叫ぶとどこからか矢が飛んでくる。

それをユウゴが切り払う、だがその一瞬の隙にゴブリンスペリアーは姿を消していた。


ゴブリンスペリアー強すぎじゃないか?

下手したら俺も普通に負けるぞこれ。


「では仕掛けましょう」


「はい、わかりました」


「私がユウゴをやります、なのでアキトさんはあの二人とスリ犯の確保をお願いします」


コクリと頷き、覚悟を決める。

シーニャさんがいる限り負けることはないだろう。

あまり緊張しすぎるのも良くないからな。


いかがだったでしょうか?

次回投稿は今日の夕方辺りを予定しております!

良ければ評価、感想、ブクマ等頂けると嬉しいです!

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